取材報告

2005
GEYMS,北海道PET特別セミナーを開催
― PET-CT診療現場からの報告 ―

会場風景


玉木長良 氏
座長:玉木長良 氏
(北海道大学)

塚本江利子 氏
塚本江利子 氏
(セントラルCI クリニック)

Jack Ziffer 氏
Jack Ziffer 氏
(Miami Baptist病院)

Edward Coleman 氏
Edward Coleman 氏
(Duke大学メディカルセンター)



 GE横河メディカルシステム(株)は1月12日,後楽園ホテル(北海道札幌市)において,PET特別セミナーを開催した。講師は,塚本江利子氏(セントラルCIクリニック院長),Jack Ziffer氏(Miami Baptist病院),Edward Coleman氏(Duke大学メディカルセンター)の3名,座長を玉木長良氏(北海道大学大学院医学研究科核医学分野)が務めた。

 セントラルCIクリニックは,北海道で最初にPET-CT装置を導入した施設で,塚本氏は今回,その使用経験について臨床のデータを中心に概説した。従来のPETによる診断法に比べ,局在診断のしやすさ,位置精度の高さなどの点から,PET-CTが腫瘍の画像診断に欠くことのできない存在となっている点を,実際の臨床画像を用いて説明した。また,従来,PET診断で指摘されている正常組織へのFDG集積との鑑別も容易になることを示した。

 Jack Ziffer氏は心臓PET核医学の分野での世界的な権威で,今回の講演においても,PET-CT装置の循環器領域における臨床応用について述べた。Ziffer氏はまず,心疾患による死亡率がアメリカにおいてはきわめて高く,したがって,その早期かつ正確な病態把握が重要であることを,ジョークを交えて説明した。その上で,PETが心臓の機能診断の観点からきわめて有用な検査であること,また,近年の技術開発によって,CT装置で心臓の形態学的情報,冠状動脈の評価,プラークの性状判定などができるようになったことも指摘,これらのデータを総合的に用いることで,きわめて精度の高い診断ができるようになったとした。また,それぞれの診断法の特性をよく理解して上手に組み合わせることが正確な診断につながると強調した。

 Edward Coleman氏は,Duke大学の核医学PET部門の教授であるが,長年にわたって,アメリカにおけるPETおよびPET-CTの臨床使用の有用性(いわゆるクリニカルPET)推進のリーダーとして活躍してきたことで有名だ。Coleman氏は,PET-CT装置の機械的な概要を説明した後,日常検査の流れを説明,PET-CTによって検査全体の時間が短縮されたことを示した。臨床的には,他の画像診断手法と比較して,ステージング診断に特に有用であると述べた。さらに,アメリカにおけるPET検査の保険適用に関して,2005年3月より,すべての腫瘍診断に対して保険適用が認められ,今後数年間でデータを解析し,再度,適用の妥当性などを評価するという点についても言及した。

 悪天候にもかかわらず,講演当日は100名近くの参加者が熱心に講演に耳を傾け,活発な討議が行われた。PETおよびPET-CT検査への関心の高さを実感することができた。



●問い合わせ先
GE横河メディカルシステム(株)FI営業部:林
TEL 042-585-9380
http://www.gehealthcare.co.jp