取材報告

2005
君津木更津医師会が
「PACS FESTIVAL 2005」を開催
かかりつけ医のPACSをテーマに講演とデモが行われる

展示会場でのデモ
展示会場でのデモ

 

古関啓二郎 氏
座長:古関啓二郎 氏
(写真1)

大日方 研 氏
大日方 研 氏
(写真2)

松田恵雄 氏
松田恵雄 氏
(写真3)

 7月1日(金),千葉県木更津市のホテルロイヤルヒルズ八宝苑で,君津木更津医師会とエーザイ(株)の共催による「PACS FESTIVAL 2005」が開催された。医療機関の経営がIT化やDPCの試行拡大などにより変革期を迎えている中,これまで大規模,中規模病院での導入が進んできたPACSが,小規模施設や診療所にも普及し始めている。こうした現状を踏まえ,「かかりつけ医においてのPACS」をテーマに,システムの仕組みや導入のメリット,課題についての講演会があったほか,デモを交えた展示も行われた。
 講演会は,古関啓二郎氏(木更津病院 写真1)が座長を務め,大日方 研氏(大日方医院 写真2)と松田恵雄氏(埼玉医科大学総合医療センター中央放射線部 写真3)が講演した。

 大日方氏は,「PACSとは? フィルムレスとは?」と題して,まずシステムの概念を説明。その上で,オーダリングや 電子カルテとの連携により,データが,診断,治療に有効に利用できる「画像情報」として扱え,フィルム以上に優れているとPACSの特長を述べた。また,フィルム保管場所が不要となるほか,データの一元管理や検索が容易になる点も,メリットとして挙げた。一方で,イニシャルコストとランニングコストがいまだ高く,システム管理者も必要といった運用面での課題にも言及。最後に,医療費削減の面からもフィルムレスが可能なPACSの導入を進めるべきであり,普及すればこれからの医療に大きく貢献するとまとめた。

 続く松田氏の特別講演は,「かかりつけ医におけるPACS導入への助言」がテーマ。PACSを導入した場合のメリットとして,フィルムよりもスピーディな運用,省スペース化,過去画像の長期保存などのメリットについて,具体例を挙げながら説明した。また,松田氏は,DICOM,HL7といった標準化規格や,その運用ガイドラインであるIHE-Jを用いたシステムを採用することの重要性をPACS導入時の注意点として指摘。それを踏まえて,小規模の医療施設がPACSを導入する際には,必ず将来のシステム更新を見据えた計画を立てることが重要であると述べた。

 講演に続き,会場を移して,(株)日立メディコなどの協賛メーカーによるPACSのデモが行われた。このデモでは,大日方氏が用意した共通のデータを使用して,参加者が各システムのビューワの操作を体験できるよう構成。参加者はそれぞれのビューワの特長や操作性を確かめながら,担当者に質問するなど,活気のあるデモとなった。

 経営面だけでなく,遠隔読影などの地域医療連携の観点からも,小規模病院,診療所へのPACSの普及が期待されている。それだけに,「かかりつけ医」をキーワードにした今回の「PACS FESTIVAL 2005」が開催された意義は大きいと言えるだろう。



●問い合わせ先
木更津君津画像研究会事務局
(萩原病院放射線科)
TEL 0438-22-5111
http://kkgk.hp.infoseek.co.jp/