取材報告

2007
368社が出展,7万7600人が来場した
「国際モダンホスピタルショウ2007」

「国際モダンホスピタルショウ2007」入り口
「国際モダンホスピタルショウ2007」入り口

主催者企画展示「予防医療時代の健診イノベーション」
主催者企画展示「予防医療時代の健診イノベーション」

EHR構築に向けて ──医療連携ネットワークコーナー
EHR構築に向けて ──医療連携ネットワークコーナー

日立メディコの「メタボ・ナビ」
日立メディコの「メタボ・ナビ」

東芝メディカルシステムズと東芝住電医療情報システムズのブース
東芝メディカルシステムズと東芝住電医療情報システムズのブース

三洋電機の「Medicom-HR」
三洋電機の「Medicom-HR」

東芝メディカルシステムズのプレゼンテーションセミナー
東芝メディカルシステムズのプレゼンテーションセミナー

 7月11日(水)〜13日(金)の3日間,東京ビッグサイト(東京・江東区)において,「国際モダンホスピタルショウ2007」が開催された。1974年に始まった国際モダンホスピタルショウは,今回で34回目となる。保健・医療・福祉分野における製品やサービスを展示,紹介する場として発展してきたが,近年は特に電子カルテシステムに代表される医療情報システムに関連する展示が増えてきている。(社)日本病院会と(社)日本経営協会が主催しており,「自治体総合フェア2007」,「介護フェア2007」などの展示会を同時に開催することで,来場者にとって利便性の高いものとなっている。

 昨年,一昨年と同じテーマだったのを,今回は一新し,「健康増進で築く豊かな医療と福祉──新しい地域ケアの姿をめざして」というテーマが掲げられた。医療制度改革が進められる中で,医療費の適正化といった観点から予防医療を重視する施策がとられ,その目玉として2008年4月から保険者による特定健診・保健指導が義務化される。また,地域医療計画の見直しなどにより,医療機関の機能分化が行われるため,地域医療連携が今まで以上に重要になってくる。今回のテーマはこうした背景を踏まえたものだと言えるだろう。

 このテーマのもと,368の企業・団体が出展。会場は東4〜6ホールを使用し,展示面積は8000m2にも及んだ。毎回,全体のテーマに基づいて設けられる主催者の企画展示は,「予防医療時代の健診イノベーション」と題して行われた。会場内のコーナーでは,特定健診・保健指導の概要についてパネル展示が行われたほか,健診の流れに沿って,健診システムや検査機器,測定器,患者アメニティに関する製品などを展示する健診スペースエリアが設けられた。加えて,事例紹介のパネル展示も行われ,神奈川県藤沢市・藤沢市保健医療財団,トヨタ自動車健康保険組合など,先進的な取り組みをしている健診センター,医療機関,健康保険組合の活動が紹介された。このほか,セミナーステージでは,健診システムや検査機器を手がけるメーカーによるプレゼンテーションも行われた。

 一般展示は,「医療機器,環境設備」,「病院運営サポート・サービス」,「健診・ヘルスケア」,「看護」,「医療情報システム」の5つのゾーンに分けられた。このうち最も出展者数が多かった「医 療情報システム」ゾーンの中央では,「EHR構築に向けて──医療連携ネットワークコーナー」が設けられた。このコーナーでは,地域医療連携をキーワードに,電子カルテシステムやPACSなどを活用したソリューションについて,出展企業によるプレゼンテーションが行われた。また,今年4月に設立され,医療情報システムの相互運用性確保に向けた活動を展開している有限責任中間法人日本IHE協会もセミナーを行った。

 一般展示の中でも,医療のIT化に関する展示としては,特定健診・保健指導の義務化に関連するシステムやサービスが目を引いた。(株)日立メディコは,生活習慣病リスクをシミュレーションする「メタボ・ナビ」を紹介していた。また,電子カルテシステムの大手である富士通(株)も,健診ソリューションに力を入れた展示を行っていた。東芝メディカルシステムズ(株)と東芝住電医療情報システムズ(株)のブースでも健診PACSと称し,「MHC/e-α」,「C&I-Win/Sys」を展示していた。

 東芝メディカルシステムズは,診療所向けの電子カルテシステムにも力を入れた展示を行っていた。昨年11月にリリースした「TOSMEC TORINITY」を今回初めて出品。今後,新規開業する診療所の増加が予測されている上に,レセプトのオンライン請求が義務化されることから,診療所のIT化が加速することが予想される。こうしたことから診療所向けの電子カルテシステムについては,新製品も登場してきており,三洋電機(株)は同社として初めてとなる医事システム一体型の「Medicom-HR」を初披露した。初日には,記者発表会を行っており,新製品にかける同社の意気込みが感じられた。

 展示会場とは別に,会議棟,東6ホールセミナールームではホスピタルショウカンファレンスプログラムや出展社プレゼンテーションセミナーが行われた。2日目には,東芝メディカルシステムズが「電子カルテデータの2次利用によるプライマリーケアへの貢献」と題したセミナーを実施。柴田内科クリニック院長の柴田恒洋氏が講演した。

 3日間の会期中は,梅雨空で天候に恵まれなかったものの,参加者は7万7600人を数え,昨年を上回り,盛況であった。特定健診・保健指導の義務化を例に見るように,ITなどを活用して医療制度改革を乗り切り,新たなビジネスチャンスをつかむための情報収集の場として,参加者にとって有意義な展示会だったと言える。次回の「国際モダンホスピタルショウ2008」は,2008年7月16日(水)〜18日(金),東京ビッグサイトで開催される予定だ。


●問い合わせ先
社団法人日本経営協会
ホスピタルショウ事務局
TEL 03-3403-8615 FAX 03-5413-4327
http://www.noma.or.jp/hs