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取材報告

2007
東芝メディカルシステムズが
世界初320列検出器搭載CT装置「Aquilion ONE」の
発表報告会を開催


Aquilion ONE
Aquilion ONE

片田和広氏(藤田保健衛生大学放射線医学教室)
片田和広氏
(藤田保健衛生大学
放射線医学教室)
(写真1)

大久保優氏
大久保優氏
(写真2)

会場風景
会場風景

 東芝メディカルシステムズは12月6日(木),ウエスティンナゴヤキャッスル(名古屋)において,320列検出器を搭載した「Aquilion ONE」を紹介するセミナーを開催した。同社は,11月25日から30日まで米国シカゴで開催されたRSNA2007において同製品を発表。事前情報の256列を上回る製品が発表されたことで大きな注目を集めた。今回はその国内報告会であり,急な開催にもかかわらず200人近い医学関係者が参加して満席となり,Aquilion ONEへの関心の高さがうかがわれた。

Aquilion ONEは,ガントリが0.35秒で1回転し,最大16cmの範囲を0.5mmのスライス厚で撮影する。心臓や脳の撮影が1回転で可能になるため,心臓では被曝が約1/4に低減される。また,3Dボリュームデータを時系列に並べた動的解析により,臓器全体の機能解析を可能にする。2007年10月に世界初となる臨床応用が藤田保健衛生大学で開始され,現在では,米国,カナダ,ドイツの5施設でも臨床評価が行われている。

はじめに,同社の大久保優氏(写真2)がAquilion ONEの特徴を技術的な面から詳しく説明。大久保氏は,より速く,より広く,より細かくというMDCTにおける技術開発の流れを受け,ヘリカルCTからの脱却,すなわち寝台移動による誤差をなくし,被曝を増加させることなく精度の向上を実現させたことを強調。さらに,Area Detectorを採用したことで,Aquilion ONEは新たなモダリティに生まれ変わったと話し,連続検査を実施することで血管造影検査やSPECT検査に置き換わる可能性もあると期待を述べた。

次いで,名古屋大学大学院医学系研究科量子医学分野の長縄慎二教授が座長を務め,藤田保健衛生大学放射線医学教室の片田和広教授(写真1)が「320列面検出器CT Aquilion ONEの初期臨床応用」と題して,世界で初めてのAquilion ONEに関するフルレクチャーが行われた。講演に先立ち,長縄教授が,Aquilion ONEの発表はRSNA 2007での最も大きな話題だったとして日本人として非常に誇らしい気分だと述べた。開発に大きな役割を果たしてきた片田教授は,その経緯を述べた上で,頭部,心臓や,足首,膝などの関節の臨床画像を多数示しながらAquilion ONEの特徴を説明。頭部における"One Shot"検査の様子を動画で紹介し,そのスピードを参加者に実感させた。さらにきわめて高画質な画像に対して会場から驚きの声も上がった。このほか,スナップショットスキャン,高速連続ボリュームスキャン,機能検査などのAquilion ONEの意義を述べ,同装置に対する期待を示した。また,検査前に線量を知ることなどができるDose Guard(被曝線量ガイド)の有用性を紹介。今後のCT装置には必須の機能になると話した。さらに,膨大なデータを活用するためにAquilion ONEに搭載されたファイルシステム,大容量ストレージ・ネットワーク機能を高く評価したほか,頭部における非定量的SPECT検査や,頭部と心臓における診断目的の血管造影に置き換わっていく可能性を十分に持っているとした。最後に,Aquilion ONEは日本の医用機器メーカーで初めての上級仕様製品であると述べて講演を締めくくった。また片田教授は,2007年12月15日(土)に六本木アカデミーヒルズ40において開催される「The Best Image 2007」においてもさらに最新の臨床画像を提示する予定だという。


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