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取材報告

2009

カナダ大使館,Bio Japan 2009で
カナダ ライフサイエンスセミナーを開催

最新鋭の手術室と脳神経外科的シミュレータを紹介


セミナー会場風景
セミナー会場風景

ジョナサン・T・フリード氏(駐日カナダ大使)
ジョナサン・T・フリード氏
(駐日カナダ大使)

ピーター・ブレンダー氏(バイオテックカナダ)
ピーター・ブレンダー氏
(バイオテックカナダ)

ライアン・ダルシー氏(カナダ国立研究機構バイオ診断研究所/ダルハウジー大学)
ライアン・ダルシー氏
(カナダ国立研究機構
バイオ診断研究所/
ダルハウジー大学)

アントニー・クランティス氏(QBMセルサイエンス/オタワ大学)
アントニー・クランティス氏
(QBMセルサイエンス/
オタワ大学)

 カナダ大使館は10月9日(金),パシフィコ横浜で7日(水)から開催中のBio Japan 2009において,カナダ ライフサイエンスセミナー「カナダの再生医療技術の現状と可能性」を開催した。Bio Japan 2009は,健康,環境,食料,クラスター&バイオベンチャーをテーマに,国内外の大手企業やベンチャー,自治体,政府などのバイオテクノロジーのオピニオンリーダーによる,未来のバイオ産業に関する議論の場となっている。中でも,カナダのライフサイエンス産業は世界第3位の規模を誇り,世界のバイオ薬産業,特に研究開発や臨床試験,製造の分野で高い能力を発揮している。Bio Japan 2009の展示会場にはカナダパビリオンが設けられたほか,本セミナーにおいても,診断装置やバイオ診断などにおける最新の研究成果について,それぞれの専門家が発表を行った。

 はじめに,駐日カナダ大使のジョナサン・T・フリード氏が挨拶に立ち,科学的・実験的な研究を対象に法制化された税の優遇策や人的支援といった政府の取り組みを挙げ,カナダにおける産官学共同でのライフサイエンス研究の現状について紹介した。また,バイオテックカナダCEO兼代表取締役社長のピーター・ブレンダー氏は,カナダのバイオ産業の発展を目的に約250のベンチャー,大学・研究機関,金融機関などで構成された非営利団体であるバイオテックカナダについて紹介し,カナダのバイオ産業の現状と強みについて述べた。

 カナダ国立研究機構バイオ診断研究所グループリーダー/ダルハウジー大学脳神経学科准教授のライアン・ダルシー氏は,最新の診断装置および脳神経研究への応用について,その研究成果を発表した。神経学分野においては現在,MRIを応用したさまざまな技術が研究されており,イメージング技術の進歩によって臨床にも応用されつつある。ダルシー氏はその核となる装置として,天吊り型のMRIを備えた高度な外科手術用イメージソリューション「Innovative MRI System(IMRIS)」を紹介。MRIが移動できるため,施設の状況に応じたレイアウトが可能であると述べた。また,MRI画像を応用した研究事例としては,アルツハイマー病による記憶障害に関する研究と脳腫瘍の除去手術への応用の2つを挙げ,特に,言語野や運動野などといった高度な脳機能を司る領域を回避し,安全・正確かつ迅速に行う必要のある脳腫瘍の除去手術に有用なシステムとして,自身が開発した脳神経外科的シミュレーター「ニューロタッチ」を紹介した。ニューロタッチでは,MRIデータを元に患者個人の脳の3Dデジタルコピーを作成し,メスの動きに応じた血管や脳組織の反応などを実際に手に感じながら,非常にリアルな術前シミュレーションを行うことができる。治療計画の立案のほか,外科医のトレーニングなどにも応用できるとして,その将来性について述べた。

 最後に,QBMセルサイエンス代表取締役社長/オタワ大学ディレクター兼教授のアントニー・クランティス氏が,ニューロチップを用いたスクリーニングとバイオ診断について述べた。

天吊り型のMRIを備えた高度な外科手術用イメージソリューション「Innovative MRI System(IMRIS)」
天吊り型のMRIを備えた高度な外科手術用イメージソリューション
「Innovative MRI System(IMRIS)」

脳神経外科的シミュレーター「ニューロタッチ」 ニューロタッチによるシミュレーション画像
脳神経外科的シミュレーター
「ニューロタッチ」
ニューロタッチによるシミュレーション画像