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取材報告

2009

フィリップスエレクトロニクスジャパン
第3回心臓イメージングワークショップを開催


会場風景
会場風景

中辻 博氏(ヘルスケア事業部常務執行役員マーケティング本部長)
中辻 博氏
(ヘルスケア事業部常務執行役員
マーケティング本部長)

座長:栗林幸夫氏(慶應義塾大学病院:右)と山科 章氏(東京医科大学病院:左)
座長:栗林幸夫氏(慶應義塾大学病院:右)と山科 章氏(東京医科大学病院:左)

望月輝一氏(愛媛大学医学部附属病院)
望月輝一氏
(愛媛大学医学部附属病院)

佐久間 肇氏(三重大学医学部附属病院)
佐久間 肇氏
(三重大学医学部附属病院)

寺島正浩氏(心臓画像クリニック飯田橋)
寺島正浩氏
(心臓画像クリニック飯田橋)

Michael V. McConnell 氏(Stanford University School of Medicine)
Michael V. McConnell 氏
(Stanford University School of Medicine)

 (株)フィリップスエレクトロニクスジャパンは10月27日(火),秋葉原コンベンションホール(東京)において,「第3回心臓イメージングワークショップ」を開催した。心臓イメージングの最新情報について,心臓CT/MRIのエキスパート4名による発表が行われ,循環器診療に携わる多数の医師および技師が参加した。

  同社ヘルスケア事業部常務執行役員マーケティング本部長の中辻 博氏の挨拶に続いて行われたワークショップでは,慶應義塾大学病院放射線診断科の栗林幸夫氏と東京医科大学病院循環器内科の山科 章氏が座長を務め,初めに愛媛大学医学部附属病院放射線科の望月輝一氏が「心臓CT検査の現状と将来展望〜256スライスCTのもたらすもの〜」と題して,同院で稼働する256スライスCT「BrillianceiCT」の稼働状況について報告した。256スライスCTでは,最短時間分解能が34msとなったことで,冠動脈CTアンギオグラフィ(CTA)では64スライス以下のCTと比べて冠動脈の描出能が大幅に向上し,ステント内腔もより明瞭に評価できるようになったと述べた。一方,心臓CTによる被ばくについては,Step and Shoot法を用いることで,画質を低下させることなく被ばく線量を3mSvにまで低減でき,64列CTを用いた従来法での撮影や核医学の検査と比べても,低く抑えられているとして,その仕組みを概説した。また最近では,CTで狭窄が認められなければ心血管疾患の発症率は1%以下というエビデンスが世界的にも確立しつつあると紹介したほか,冠動脈プラークイメージングでは0.5mmスライス厚で再構成すればプラークの性状診断がより確実に行えること,CTでは心機能と心筋灌流が同時に評価できること,冠動脈CTAと核医学画像などのイメージフュージョンによって責任冠動脈とバイアビリティなどとの関係がわかりやすくなることなどを挙げ,臨床的有用性を強調した。

  三重大学医学部附属病院放射線診断科の佐久間 肇氏は,「心臓MRIの最前線」と題して,同院における1.5Tおよび3T MRIによる心臓MRIの現状と展望について述べた。ルーチンの心臓MRI検査では,一般的にはシネMRIと遅延造影MRIが行われるが,主な適応は心筋梗塞における心筋バイアビリティの評価や心不全における虚血性・非虚血性の鑑別,各種心筋疾患評価などであり,PCIやCABGの適応決定の鍵となる虚血の情報が十分に得られないことが課題となっている。これに対して佐久間氏は,実際の症例を提示し,シネMRI,遅延造影MRIに加えて,81%に負荷パーフュージョンMRI,51%に冠動脈MRA,14%にBlack Blood T2強調像,5%にバイパスグラフト血流計測を行うことで,同院では心機能と梗塞の有無,バイアビリティの有無,虚血の有無,冠動脈狭窄の有無まですべて一度で診断していると述べた。この結果,同院の心臓イメージング検査は,2008年にはMRIが451件,CTが42件,SPECTが130件と,虚血性心疾患で高い診断能が得られるMRIが最も多く,また国内外におけるマルチセンタースタディにおいても,1.5T MRIによる負荷パーフュージョンMRIの診断能は,感度90%,特異度80%が標準であり,SPECTを上回っているとの結果が示されていると紹介した。さらに,3T MRIと32チャンネルコイルを用いた心臓MRIについて,検査時間の短縮による検査スループットの向上,検査成功率の向上,解像度の向上に伴う内膜アーチファクトの減少および特異度が91%に向上するといったメリットが得られると述べ,これらの特長を生かした新たな取り組みとして冠動脈不安定プラークの描出,冠動脈内皮機能検査などを挙げて,心臓MRIの可能性について展望した。

  心臓画像クリニック飯田橋の寺島正浩氏は,「循環器診療での心臓CT/MRIの使い方〜心臓特化型イメージングセンターの試み〜」と題して,11月1日に開設される国内初の心臓画像診断に特化した同クリニックについて,その理念と展望を紹介した。画像診断技術の急速な進歩により,心臓CT/MRIが急速に普及しつつあるが,実際に検査を行うためには,他部位の検査と比べて高度な知識・技術を要する,検査や画像再構成に時間がかかる,検査や読影にかかる時間に対して検査料の設定が低いといった,さまざまな問題を抱えている。そこで,循環器科医で放射線科医でもある寺島氏は,こうした課題の解消などをめざし,64スライスCTと1.5T MRIを活用して,主に紹介患者の心臓画像診断を行う同クリニックと心臓CT/MRIの三次元画像再構成を受託する3D画像ラボ,またそれらの運営をサポートするCVイメージングサイエンス(株)を設立。約7年半にわたって米国スタンフォード大学で行ってきた心臓画像診断の研究成果を,日本の医療現場および患者さんに還元していきたいと述べた。

  最後に,Stanford University School of MedicineのMichael V. McConnell氏が,「Future Prospect of Cardiac Imaging」と題して講演を行った。各疾患に適した診断法や,石灰化病変における心臓CTと心臓MRIの比較,3T MRIによるMRAの有用性などについて概説し,心臓イメージングの将来像について述べた。


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(株)フィリップスエレクトロニクスジャパン
お客様窓口
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