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取材報告

2010
JAHISが2010年度業務報告会を開催
−体制を強化して日本版EHRの構築に向け活動を推進

昨年度の活動報告と今年度の目標を毎年報告
昨年度の活動報告と
今年度の目標を毎年報告

運営会議議長の富田茂氏
運営会議議長の富田茂氏

特別講演の野口 聡氏
特別講演の野口 聡氏

功労会員を特別表彰
功労会員を特別表彰

  保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)の「2010年度業務報告会」が7月9日(金),東京都港区のコクヨホールで開催された。JAHISは,今年10月の一般社団法人化に向けて新しい執行部がスタートしており,新しいメンバーが2009年度の業務内容の報告と今年度の取り組みについて発表を行った。業務報告会は,部会ごとの前年度の実績報告と特別講演などで毎年開かれている。今年は,運営会議,標準化推進部会,医事コンピュータ部会,医療システム部会,保健福祉システム部会,事業推進部の各部会報告と,特別講演として内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官の野口 聡氏による「医療分野等における新たな情報通信技術戦略について」,また長年JAHISの活動に貢献のあった会員を表彰する特別表彰が行われた。

  まず,運営会議報告として運営会議議長の富田茂氏(NTTデータ)が「JAHISの現況と今後の取り組み」について発表した。現在,JAHISは会員数343社,2009年度の直接売上高は4400億円で,売上高の年平均増加率は6.7%となっている。2009年度の主な活動では,組織の基盤強化として法人化の推進など,保健医療福祉のIT化の環境整備として「2020年ビジョン」の発行など,対外活動強化として医科電子点数表への提言や「保健医療福祉情報基盤検討委員会」での活動などを紹介した。
  今年度の施策目標としては,「喫緊課題への対応およびEHRの実現に向けた具体的施策の実行」,「医療IT推進をめざした市場環境整備」,「広報・会員サービスの強化(戦略的情報発信)」,「法人としての基盤強化」の4つを柱にしている。喫緊課題への対応では,診療報酬改定時など業務が集中しがちな業界の特色の中で「医療IT従事者の労働環境調査分析」を東京大学の山本隆一准教授などと行っていく。医療IT推進では,市場成長ための環境整備を考えた「医療IT市場環境整備支援のためのロードマップ作成」を行うほか,会員へのサービス強化として関係団体を含めた「情報発信のためのロードマップ作成」を行っていくことを説明した。事業としては,2011年に行われる第28回日本医学会総会の博覧会展示を,JAHISの一般に向けたメッセージ発信の場ととらえて取り組んでいくと述べた。
  富田氏は,一般社団法人化などJAHISの組織としての基盤強化を背景として,健全な業界発展のために,よりプロアクティブな政策提言,先を見越した自発的な提案・行動を行うことが必要だとして,法人化へのスムーズな移行を進めてさらなる発展をめざしていくと目標を述べた。

  続いて,各部会の報告に移り,標準化推進部会報告として部会長の貴田武実氏(富士通)が標準化マップの作成など昨年度のトピックスと今年度の目標を説明した。医事コンピュータ部会からは,部会長の山口琢也氏(NEC)が「診療報酬改定作業」「レセプトオンライン請求」「マスタ類の整備と標準化」「会員サービスの向上」について昨年度と今年度の取り組みを紹介した。山口氏は,医事コン部会は継続的な活動が重要で大きな軸をぶらすことなく進めていきたい,とした。また,同部会が行った中国医療情報化事業視察について副部会長の山口智久氏(富士通)が報告した。
  医療システム部会からは,谷沢洋一氏(東芝メディカルシステムズ)が「電子カルテ」「検査システム」「部門システム」の3つの委員会と,それらを横串として貫く「セキュリティ」「相互運用性」の2つの委員会の概要と活動内容を報告した。谷沢氏は,これらの活動が「どこでもMy病院」やEHRに役立つものになるように取り組んでいきたいと抱負を述べた。
  また,保健福祉システム部会からは,紅林徹也氏(日立製作所)が昨年度の地域医療システムや健康支援システムなどへの取り組みを説明し,今年度の国の新たな情報通信技術戦略に対応した活動を述べた。同部会では,昨年度経済産業省の「地域見守り支援システム実証事業」の受託団体に参画して活動を行ったが,その成果について篠田英範氏(JAHIS・元PJリーダ)が報告した。
  最後に,事業推進部の大塚正明氏(富士フイルム)から教育事業や国際モダンホスピタルショウをはじめとする展博事業について報告があった。

  特別講演の内閣官房参事官の野口 聡氏は,「医療分野等における新たな情報通信技術戦略について」と題して,5月11日にIT戦略本部にて策定された「新たな情報通信技術戦略」の中の重点項目の1つである「地域の絆の再生」で新成長戦略として期待される「医療および高齢者などに対する取り組み」について具体的に述べた。野口氏は,「どこでもMy病院」構想,シームレスな地域連携医療の実現など医療分野の取り組みについて,取り扱う情報の内容やサービス・インまでの工程表について具体的に踏み込んだ内容を盛り込んでいるとして,この戦略をもとによりよいIT立国が実現できるようにJAHISなど業界団体にも協力してほしい,と述べた。

  また,今回からJAHISの運営に長年にわたり深くかかわり工業会の活動に貢献した会員に対して特別表彰が行われた。表彰者は次のとおり(順不同,敬称略)。
畝田 透(日立製作所)
工藤卓朗(NEC)
篠田英範(東芝メディカルシステムズ)
下總孝司(NTTデータ)
田原 保(富士通)
西原栄太郎(東芝メディカルシステムズ)
西村寿夫(三洋電機)
橋詰明英(日立製作所)
早川登志雄(日本IHE協会)


●問い合わせ先
保健医療福祉情報システム工業会
事務局
TEL 03-3506-8010
http://www.jahis.jp