ホーム の中の取材報告の中の 2010の中の日本放射線腫瘍学会(JASTRO) 第23回学術大会 開催 ─メインテーマはチーム医療に注目した「明日の笑顔に願いをこめて」─

取材報告

2010
日本放射線腫瘍学会(JASTRO) 第23回学術大会 開催
─メインテーマはチーム医療に注目した「明日の笑顔に願いをこめて」─

渋谷 均 会長
渋谷 均 会長

特別講演3

座長:山田章吾氏(東北大学病院がんセンター)
座長:山田章吾氏
(東北大学病院がんセンター)

Ritsuko U. Komaki氏
Ritsuko U. Komaki氏

シンポジウム4

座長:中川恵一氏
座長:中川恵一氏

芳賀昭弘氏
芳賀昭弘氏

今江禄一氏
今江禄一氏

白石憲史郎氏
白石憲史郎氏

中村光宏氏
中村光宏氏

藤本隆広氏
藤本隆広氏

松尾幸憲氏
松尾幸憲氏

会場風景
会場風景

  日本放射線腫瘍学会(JASTRO)第23回学術大会渋谷 均会長(東京医科歯科大学腫瘍放射線医学分野教授)のもと,2010年11月18日(木)〜20日(土)の3日間,東京ベイ舞浜ホテル クラブリゾート(千葉県浦安市)で開催された。メインテーマは,「明日の笑顔に願いをこめて」。渋谷会長によれば,放射線治療にかかわる多くの医療関係者をはじめ,患者さんとその家族も含めた人々の協力と笑顔に焦点を当てて設定したテーマだという。

  放射線治療の評価や位置づけは,ここ数年間で大きく変わった。国民病と言われる“がん”の急増を背景に,社会的な知名度が上がり,いまや「切らずに治すがん治療」として高く評価されるまでになっている。医療関係者や患者さんなどの努力により2007年から施行された「がん対策基本法」と,それに基づく「がん対策推進基本計画」では,放射線治療の充実が特に重要とされ,その後の診療報酬改定の度に,各種加算の新設や保険適用の拡大が決定されてきた。さらに,放射線治療技術の進歩も近年著しく,より安全,確実な治療が可能になってきた。
  一方,放射線治療の最大の課題は,人材不足と言える。2008年から「がんプロフェッショナル養成プラン(略称:がんプロ)」がスタートし,放射線腫瘍医,薬物療法医,緩和医療医,がん専門看護師,医学物理士などの育成に取り組んでいるが,短期間で解決するような問題ではないことは明らかだ。実際,がん拠点病院構想にしても,人材不足で十分に機能していない現状が問題になっている。JASTROでは本大会に先立ち,異例のプレスカンファレンスを開催し,放射線腫瘍医を増やす具体的な方策や,がんプロの継続と放射線腫瘍学講座の独立など,国への要望をアピールした。主張する学会として,JASTROの今後の動向が注目される。

  本大会のプログラムではメインテーマに基づき,アメリカの腫瘍看護学の専門家であるLaura C. Beamer氏(Clinical Cancer Genetics City of Hope National Medical Center)の特別講演「Radiation Oncology Nursing in the US : State of the Science in 2010」や,シンポジウム6「放射線治療と看護─放射線治療認定看護師の活動状況と今後の展望・課題」が企画された。また,海外からは米国ASTROのK. Kian Ang代表,欧州ESTROのJan Bourhis代表,韓国KOSTROのU Han Kim代表を招いて,シンポジウム1「International activities in each Society and potential collaborations with JASTRO」が設けられ,放射線治療における国際的な協力関係の重要性が改めて確認された。また,特別講演3として,米国で活躍する著名な放射線腫瘍医であるRitsuko U. Komaki氏(小牧律子氏:The University of Texas MD Anderson Cancer Centerの胸部放射線治療主任教授)が,「Advancement in the management of limited stage small cell lung cancer」と題して講演した。

  ところで本大会では,IGRTやIMRTなど高度な放射線治療を取り上げたシンポジウムが2題企画されたが,そのうちのシンポジウム4「放射線治療の高度化が臨床に与える影響」(座長:中川恵一氏・東京大学医学部附属病院放射線科准教授)が,20日(土)の午前中に開催された。冒頭,座長の中川氏から,放射線治療の目覚ましい高度化が実際の臨床現場に及ぼす影響や成果,課題について,放射線腫瘍医,医学物理士,診療放射線技師がチームとして,それぞれの立場から検討し報告するという,シンポジウムの企画意図が説明された。多様な職種によるチーム医療が,治療成績の向上にいかに貢献しているかを検証することで,疲弊する臨床現場のモチベーションが高まることにつながるのではないかと期待を述べた。

  罹患率が高く,放射線治療の高度化も進んでいる前立腺がんと肺がんをテーマに,前者は東京大学医学部附属病院のチーム(医学物理士:芳賀昭弘氏,診療放射線技師:今江禄一氏,放射線腫瘍医:白石憲史郎氏)が,後者は京都大学医学部附属病院のチーム(医学物理士:中村光宏氏,診療放射線技師:藤本隆広氏,放射線腫瘍医:松尾幸憲氏)が各々の役割分担と治療成績の検証を中心にリレー発表を行った。放射線腫瘍医は治療プロトコール作成,臨床データの解析,医学物理士は治療計画作成,診療放射線技師は装置の品質管理(QA/QC),位置合わせなど,それぞれが協力しあって治療成績の向上を図ることの重要性を強調した。会場は午前の早い時間にもかかわらず満席となり,新しい高度な放射線治療には不可欠なチーム医療に対する関心の高さがうかがえた。
(本シンポジウムの概要は,月刊インナービジョン2011年3月号の放射線治療特集で報告する予定)

  次回の第24回学術大会は,2011年11月17日(木)〜19日(土),神戸ポートピアホテルにて開催される。会長は菱川良夫氏(兵庫県立粒子線医療センター 名誉院長)が務める。

企業展示風景(一部)
エレクタ(株)
エレクタ(株)
(株)バリアンメディカルシステムズ
(株)バリアンメディカルシステムズ
ブレインラボ(株)
ブレインラボ(株)
日本アキュレイ(株)
日本アキュレイ(株)
シーメンス・ジャパン(株)
シーメンス・ジャパン(株)
(株)日立メディコ
(株)日立メディコ
(株)千代田テクノル
(株)千代田テクノル
 

●問い合わせ先
日本放射線腫瘍学会第23回学術大会事務局
東京医科歯科大学放射線科
TEL 03-5803-5311

一般社団法人 日本放射線腫瘍学会事務局
http://www.jastro.or.jp/

【関連記事】

日本放射線腫瘍学会(JASTRO)第23回学術大会の概要と放射線がん治療の現状をアピール