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取材報告

2010
「第3回 3D PACS研究会」が開催
―3D PACSの臨床応用を推進し,医療現場への貢献をめざす


会場風景
会場風景

当番世話人:富田博信氏(済生会川口病院)
当番世話人:富田博信氏
(済生会川口総合病院)

座長:立石敏樹氏(仙台医療センター)
座長:立石敏樹氏
(仙台医療センター)

柳 広一郎氏(エーザイ・ジャパン)
柳 広一郎氏
(エーザイ・ジャパン)

座長:牛尾哲敏氏(滋賀医科大学医学部附属病院)
座長:牛尾哲敏氏
(滋賀医科大学医学部附属病院)

双木邦博氏(さいたま市立病院)
双木邦博氏
(さいたま市立病院)

座長:金沢 勉氏(新潟労災病院)
座長:金沢 勉氏
(新潟労災病院)

吉田学誉氏(東京警察病院)
吉田学誉氏
(東京警察病院)

座長:丹治 一氏(北福島医療センター)
座長:丹治 一氏
(北福島医療センター)

山本勇一郎氏(大阪大学大学院)
山本勇一郎氏
(大阪大学大学院)

座長:津坂昌利氏(名古屋大学)
座長:津坂昌利氏
(名古屋大学)

杉原弘恭氏(リマージュジャパン)
杉原弘恭氏
(リマージュジャパン)

座長:麻生智彦氏(国立がん研究センター中央病院)
座長:麻生智彦氏
(国立がん研究センター)

池田龍二氏(熊本大学医学部付属病院)
池田龍二氏
(熊本大学医学部付属病院)

武田聡司氏(国立病院機構災害医療センター)
武田聡司氏
(国立病院機構災害医療センター)

野田一幸氏(日本メドラッド)
野田一幸氏
(日本メドラッド)

鈴木雅裕氏(国立がん研究センター)
鈴木雅裕氏
(国立がん研究センター)

  「第3回 3D PACS研究会」(代表世話人:立石敏樹氏・国立病院機構仙台医療センター)が12月19日(日),国立がん研究センター中央病院(東京・中央区)にて開催された。本研究会は,3D PACS製品とその周辺機器を使用する医療技術者の画像処理技術,臨床応用に関する研究促進と知識向上を図り,医療現場に貢献することを目的に2008年に設立された。3回目となった今回は,過去最高の100名を超える参加者があり,ボリュームデータの臨床的有用性を最大限に引き出すために有用な3D PACSへの関心の高まりがうかがえる。当番世話人を富田博信氏(済生会川口総合病院)が務め,心臓CT/MRIにおけるワークステーションの活用法や,CD-Rをはじめとする可搬媒体の運用,CT三次元画像を用いた大腸がん診断法であるCT Colonography(CTC)などをテーマに10演題が設けられ,活発な意見交換が行われた。なお,本研究会の講演資料は,3D PACS研究会ホームページで順次公開される予定である。

  午前には,はじめに立石氏が座長を務め,エーザイ・ジャパンの柳 広一郎氏が「心臓CTにおける至適造影法」と題してモーニングセミナーを行った。造影剤腎症への対策として,リスクファクターや至適造影剤投与量などについて詳述したほか,メトホルミン塩酸塩服用中の糖尿病患者に対するヨード造影剤併用の危険性とリスク回避について述べた。

  続いて,「CT・MRI心臓検査におけるワークステーション活用法」と題し,4題の講演が行われた。前半2題については牛尾哲敏氏(滋賀医科大学医学部附属病院)が座長を務め,はじめに双木邦博氏(さいたま市立病院)が「心臓CT画像と画像処理の進め方」と題して,同院での心臓CT検査法を紹介した。適応や撮影条件,造影剤注入法などについて詳述したほか,テラリコン社製の3D ワークステーション(WS)「AquariusNetStation」と「Aquarius iNtuition」を活用した画像再構成方法や臨床で役立つテンプレート機能などについて解説した。富田氏は「Aquarius iNtuitionサーバを利用した無線LAN環境でのiPad活用例」と題し,iPadでの画像参照を可能にする「Aquarius Web」の動作環境,起動方法,使用可能なブラウザ,最適な通信環境構築などについて検討。iPadは,救急外来や手術室などのほか,アイデア次第でさまざまな場面での活用が可能であると述べた。後半2題については金沢 勉氏(新潟労災病院)が座長を務め,吉田学誉氏(東京警察病院)が「心臓MRI撮像と画像処理」と題して講演した。心臓の診断に有用なさまざまな種類の画像の特徴や再構成のポイントなどについて詳述したほか,それを踏まえて,心機能解析,心筋血流解析,冠動脈の描出と解析,診断方法,報告書作成に至る心臓MRIの一連のワークフローを紹介した。立石氏は「循環器領域におけるAquariusを活用した画像配信」と題して,前勤務先である国立病院機構函館病院で行っている包括的心臓MRI検査“One stop Cardiac Examination”と,3D画像院内外配信機能付きサーバ「AquariusNET Server」を用いた画像診断および地域医療連携への取り組みについて紹介した。AquariusNET Serverは,インタラクティブ・ストリーミング配信によってネットワークに負荷をかけることなく大量に発生する画像データを迅速に処理できるため,3D画像が必須となる循環器系診断にきわめて有用であるほか,VPN(Virtual Private Network)サービスを利用することで,少ない費用負担で地域医療連携が可能になると述べた。また,VPNサービスの詳細が,東日本電信電話(株)(NTT東日本)の木村雅寛氏から紹介された。

  ランチョンセミナーは,丹治 一氏(北福島医療センター)が座長を務め,山本勇一郎氏(大阪大学大学院医学系研究科)が「マルチベンダPACSにおける画像データ管理業務の効率化」と題して講演した。前勤務先である徳島大学病院における,マルチベンダPACS構築およびAquariusNET Serverを活用した院内全体でのthin sliceデータ活用への取り組みについて紹介したほか,成功のポイントとして,画像管理業務の効率化をシステムインテグレーションで実現するためのIHE準拠や標準化についても言及した。

  午後には,はじめに「Portable Data for Imagingセッション」として2題の講演が行われた。1題目は,津坂昌利氏(名古屋大学医学部保健学科)が座長を務め,リマージュジャパン(株)の杉原弘恭氏が,「IHE PDIの基礎―PDIから拡張版PDIまで」と題して,可搬媒体を用いた病院間での画像データ交換における問題点や,その解決に役立つIHEのPDI統合プロファイルについて解説した。また,2題目は麻生智彦氏(国立がん研究センター中央病院)が座長を務め,池田龍二氏(熊本大学医学部付属病院)が「可搬媒体業務―導入から運用までのポイント!」と題し,同院の現状や,可搬媒体業務の詳細な内容,検討項目,画像取り込み/出力における問題点などについて述べた。

  続いて,CTCに関する機器紹介と特別講演の2題が行われた。機器紹介は,武田聡司氏(国立病院機構災害医療センター)が座長を務め,日本メドラッド(株)の野田一幸氏が,「欧州における炭酸ガス注入器の使用事例紹介」と題し,安全かつ良好な腸管拡張を得るために有用な炭酸ガス注入器「MedicCO2LON」(CEマーク取得ずみ,日本国内薬事未承認)について紹介した。特別講演では,富田氏が座長を務め,鈴木雅裕氏(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター)が「CT Colonographyの実際」と題して講演が行われた。同院におけるCTC研究の成果が紹介されたほか,“明日からできるCTC”をテーマに,前処置法や腸管拡張法,撮影法,画像処理などについて詳述。さらに,今後の展望として,デジタル前処置法“Electronic Cleansing”やコンピュータ支援検出への期待を述べた。

  本研究会の最後には,津坂氏がiPadに関する発表の補足として,参照画像表示用モニタとしてのiPadの画質特性評価に関する検討結果を紹介した。iPadの階調特性はDICOM GDDFではないが,XGA 256階調の表示が可能なことから,CT,MRI,RI,内視鏡画像などの画像参照用に使用可能との見解を示した。

  なお,本研究会は,テラリコン・インコーポレイテッド(株)エルクコーポレーションインフォコム(株)(株)ナナオ日本メドラッド(株)リマージュジャパン(株)エーザイ(株)NTT東日本が協賛した。

  次回の第4回3D PACS研究会は,2011年12月に関東エリアで開催される予定である。

【協賛メーカーによる機器展示】  
吉田学誉氏(東京警察病院) 吉田学誉氏(東京警察病院)
吉田学誉氏(東京警察病院) 吉田学誉氏(東京警察病院)

 


●問い合わせ先
株式会社エルクコーポレーション
営業統括本部
TEL 06-6382-7454
http://www.3d-pacs.com/


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