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取材報告

2011
JAHIS平成23年度第1期定時社員総会
一般社団法人化後初めての総会で復興への取り組みを含めた事業計画を承認

総会風景
総会風景

功績表彰では16人が表彰された
功績表彰では16人が表彰された

懇親会で挨拶する山下 徹会長
懇親会で挨拶する山下 徹会長

石黒憲彦氏
石黒憲彦氏

唐澤 剛氏
唐澤 剛氏

山本隆一氏
山本隆一氏

  保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は,平成23年度第1期定時社員総会を,6月10日(金),経団連会館(東京都千代田区)で開催した。昨年10月に一般社団法人化したJAHISの最初の定時社員総会となる。山下 徹会長(NTTデータ代表取締役社長)を議長として,6つの議案(平成22年度の事業報告と収支決算,平成23年度事業計画と収支予算,定款変更,役員選任)について諮られすべて承認された。新しい役員として,副会長に玉井光一氏(富士フイルム取締役・執行役員),理事に加藤隆一氏(三洋電機執行役員)が選任された。また,昨年度JAHISの活動に貢献した関係者への功績表彰が行われ,16名が表彰された。
  なお,JAHISでは,6月24〜26日に科学技術館(東京都千代田区)で開催される第28回日本医学会総会「わかろう医学 つくろう!健康EXPO2011体験博覧会」に出展する。嘉門達夫氏,勝谷誠彦氏による特別講演会,アニメ映画「赤ひげ先生の未来見聞録」,お笑い健康劇場などのプログラムを予定している。
  定時社員総会終了後には,懇親会が開かれ,厚生労働省,経済産業省,総務省などの関係省庁,日本医療情報学会,日本IHE協会などから関係者が多数出席した。冒頭の山下会長をはじめ,来賓からの挨拶が行われ,東日本大震災のお見舞いと復興祈願のコメントが相次いだ。要旨は次のとおり。

山下 徹会長
「東日本大震災には,工業会も被災地支援や復興に向けたさまざまな取り組みを行っているが,ヘルスケアITは復旧・復興の中でより必要性が高まっていると感じている。
今年度の工業会の重点施策は3点である。1つは,あるべきヘルスケア社会の実現に向けた取り組みの強化である。JAHISでは,『2020年ビジョン』を取りまとめて,その実現に向けて取り組んでいるが,今回の震災を受けて,その内容を改めて見直してみるとわれわれがめざす方向性に間違いはなく,さらに加速させる必要性を感じている。関係省庁や自治体とも連携して一層取り組んでいく。2つめは,JAHISの活性化である。工業会活動の輪を強化すると同時に,会員数も増やしていきたい。そのためには,JAHISの会員になるメリットや工業会活動の利点がフィードバックされることが必要で,JAHISのみならず会員企業の事業の発展に利するように持って行きたい。その上で,国の施策への協力,関係学会や団体との連携も重要であり,国民にヘルスケアITの重要性や意義を理解してもらうことが,なにより重要だ。3点目として,JAHISは一般社団法人としてはまだ生まれたばかりであり,運営体制,基盤をしっかりと固めていくことが重要な仕事だと考えている」

石黒憲彦氏(経済産業省商務情報政策局長)
「東日本大震災によって,医療情報のあり方を見直す必要性に迫られている。今回の震災で,3県で10の医療機関が全壊し,289が一部損壊を受けた。その中で,カルテが流されたりして診療データが失われたケースがあり,今後,クラウドコンピューティングの利用など,さまざまな意味で新しい情報システムのあり方が問われている。経産省では,厚生労働省と今年度,全国10のフィールドで“どこでもMY病院”や“地域医療の情報共有システム”の実証実験を進めている。この成果を早くまとめて,全国的に展開することを積極的に進めていきたい。また,産業構造審議会情報経済分科会では,ITを使った各分野での新しい取り組みの議論をしている。例えば,“IT×エネルギー”は“スマートグリッド”となるが,その中でさらなる可能性がある分野に“IT×医療介護”がある。“どこでもMY病院”からさらにスケールアップし,社会的なシステムとして“IT×医療介護”について取り組んでいきたい。これは,国内はもちろんだが,経産省としてそれを“システム輸出”するという,新しい視点で取り上げたい。さまざまな医療機器と情報システムの組み合わせで,日本の技術力を生かした最高峰の社会システムを構築し,それを世界に輸出するような道筋が描けないかと期待している」

唐澤 剛氏(厚生労働省大臣官房審議官)
「3月の震災以降,医療や介護の面でいろいろな提案をいただいたが,これが震災前にあったらと思うすばらしい提案ばかりで,今後の災害対策に生かしていきたいと考えている。岩手,宮城の両県には医療復興のための検討委員会が立ち上がっており,特に宮城県では,気仙沼,石巻,南の3地域で部会を設けて,医療ネットワークの構築に向けた具体的な議論が始まっている。今回の被災で厳しい状況ではあるが,それを逆手に取って,統一された1つの医療情報ネットワーク構築の契機とすることを,厚労省としても両県にお願いしている。これについては,JAHISにも協力していただきたい。
また,“税と社会保障の一体改革”の議論は,全体的な財政システムがメインではあるが,高齢化が進行する地域社会での生活の基盤の構築や,税・社会保障のための“共通番号制度”の問題もあり,JAHISに関連する問題として,今後,さまざまな提案や協力をお願いしたい」

山本隆一氏(日本医療情報学会)
「3月の東日本震災の影響は大きく,学会にも診療情報の継続性ということで現地からの問い合わせが続いた。カルテが一切なくなり薬の処方内容がわからないので,過去のレセプトを検索させてほしいというような要望があり,関係機関を調整して対応した。災害への備えとしては,事前にその必要性を指摘しながらも,十分に対応できなかった部分もあり,例えば,厚労省の“医療情報システムの安全管理に関するガイドライン”でも,2007年以降はBCP(Business Continuity Plan)について項目を独立して設けて大規模停電やテロに対する対応を取り上げていたが,それが有効だったかといえば厳しいものがあった。学会としても,シンポジウムや学会企画として,防災や災害に対する対応の研究を深めていきたいと考えているので,ご協力をお願いしたい」


●問い合わせ先
保健医療福祉情報システム工業会
事務局
TEL 03-3506-8010
http://www.jahis.jp/


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