モニタの常識・非常識

Q4 ガイドラインの受入試験は,なぜ外部光を含まない計測を想定しているのでしょうか?

line

A4

 モニタ診断を行っている武ちゃん(放射線科医)とモニタを管理している奥ちゃん(診療放射線技師)との会話を聞いてみましょう。

武ちゃん:奥ちゃんが定期的なモニタの管理作業を行っている時に,いつも真っ暗にしているね。私たちが読影を行うときには照明がついているけど,それでいいの?

奥ちゃん:モニタは外部光の影響を受けるので,品質を管理する場合は,外部光の影響度をできる限りなくしたいのですよ。

武ちゃん:そうか。例えば,今日は真っ暗な環境で輝度などを測定し調整して,3か月後に,部屋の明かりをすべて点灯させて測定したら,純粋なモニタの劣化がどうなっているかが判断できないということだね。

奥ちゃん:はい,そうです。

武ちゃん:でもね,真っ暗な環境で調整してくれたモニタを明るい環境で使用していても問題ないのかな?

奥ちゃん:確かに……。明るくなると低輝度が見えなくなりますね。

武ちゃん:おいおい,それじゃあ困るよ。

奥ちゃん:でも外部光に変動があると品質管理はできないですし……。品質管理としての作業と読影環境としてのモニタの調整とを別に行うしかないかな……。

武ちゃん:そうしてくれれば私としては問題ないけど,奥ちゃんの作業が大変になるでしょ?

奥ちゃん:……。

武ちゃん:要するに,外部光が変動しなければ,品質管理としても読影環境としても問題ないし,奥ちゃんの作業も楽だよね。

奥ちゃん:でも,外部光の変動をなくすことは現実的には無理ですよ。

武ちゃん:照明機器を調整して,外部光を管理する時には同じにするとか,幸い当院の読影室は窓がないからいいけど,窓があるところでもブラインド等で外部光を遮断するとか,方法はあるでしょう。

奥ちゃん:でも,診察室とかは難しそうですね。

武ちゃん:何か良い方法はないかね??

奥ちゃん:管理する上で許容される変動域の目安として,テストパターン0%/ 5%パッチを活用をすればよいかもしれません。明るくなると低輝度が見えなくなりますから,もし5%パッチが見えなくなるような環境では,外部光を含めて再キャリブレーションすれば読影にも問題が出ないと思います。

武ちゃん:では,そうしよう。

(注)「医用画像表示モニタの品質管理に関するガイドライン」
http://www.jira-net.or.jp/commission/system/04_information/information.html)掲載ページ内の “運用上の注意事項” で,外部光を含めて管理することも可能であることを補足しています。詳細については納入メーカーにご相談ください。

奥田保男 岡崎市民病院情報管理室

▲ページトップへ

(月刊インナービジョンより転載)