Canon Clinical Report(キヤノンメディカルシステムズ)

2018年12月号

最新80列CTをメイン機として活用し冠動脈CTなど心臓検査の早期診断・治療に取り組む 〜16列CTとの2台体制で救急医療をはじめとする急性期の画像診断をサポート〜

大分中村病院

大分中村病院

 

社会医療法人恵愛会大分中村病院は、JR大分駅の北側、県庁など官庁が集まる市の中心街に位置する。“総合救急・急性期病院”として年間2000件の救急患者に対応するだけでなく、回復期、地域包括ケアまでトータルに地域医療に貢献している。同院では、2018年7月にCTをリプレイスし、新たにキヤノンメディカルシステムズの80列の「Aquilion Prime SP」と16列の「Aquilion Lightning」の2台のCTを導入した。高性能80列CTの導入で、整形外科や脳神経外科など外科系疾患に加え、冠動脈CTなど循環器領域の検査も充実させている。診療の概要とAquilion Prime SPの運用について、渡邉 充副院長、放射線部の餅原正徳部長とスタッフに取材した。

中村太郎理事長/院長

中村太郎
理事長/院長

渡邉 充 副院長

渡邉 充 副院長

餅原正徳放射線部部長

餅原正徳放射線部部長

     
秋月稔彦 技師

秋月稔彦 技師

大堀邦彦 技師

大堀邦彦 技師

 

 

救急医療など急性期から在宅復帰までトータルに提供

大分中村病院は、“障害者スポーツの父”として知られる故中村 裕氏によって1966年に開設された。その経緯から、診療は整形外科のウエイトが高いが、総合病院として24診療科を標榜する。特に救急医療は、救急救命室(ER)を設けて24時間365日、年間2000件の救急患者を受け入れている。
一方で、病床は一般・急性期病床134床、回復期リハビリテーション病棟60床、地域包括ケア病棟44床など260床で、急性期から回復期までをカバーし、さらに在宅復帰までを視野に入れたトータルな医療を提供している。裕氏の長男で、現在は理事長/院長を務める中村太郎氏は病院の運営について、「高度で標準的な医療の提供と同時に、急性期だけでなくリハビリや社会復帰までを含めた、患者さんに寄り添う医療を提供することが理念です」と述べている。
同院には、2台のCTのほか、1.5T MRI、血管撮影装置2台、RIなどが導入されている。診療放射線技師は12名で、当直では基本的に1名でCT、MRI、血管撮影装置の検査を含めてカバーする。運用について餅原部長は、「当直対応のため、スタッフは各装置の基本技術は身につけています」と述べる。

心臓CTなどより高度な検査の提供をめざしCTをリプレイス

同院では、長く稼働していた他社製の2台のCT(32列と2列)を更新し、2018年7月に80列と16列へ同時リプレイスを行った。更新では、改めて一から機種選定を行い、診療科と放射線部の要望や経営面を含めて検討を進めた。診療科の要望として大きかったのは、循環器内科の冠動脈CTをはじめとする高度な心臓検査への対応である。循環器内科の渡邉副院長(内科部長)は、冠動脈CTへの期待について、「循環器内科として近隣の開業医の先生方からの紹介による冠動脈CT撮影を行っていましたが、以前の32列のCTでは、呼吸やバンディングアーチファクトなどで十分な画質が得られず、高画質の心臓CTが可能な装置を強く希望しました」と述べる。
同時にリプレイスの際に、CT検査を止めないことも条件となった。同院では、1日40〜50件の検査があり、救急撮影も多いことから長期の検査ストップは診療面でも経営面でも影響は大きい。そこで、更新では一足先に2列のCTをAquilion Lightning(以下、 Lightning)にリプレイス、メイン機を32列からAquilion Prime SP(以下、Prime SP)へ移行する期間のCT検査を1台でカバーした。餅原部長はLightningについて、「管球容量などで連続撮影に対応できるのか不安な部分はありましたが、実際に稼働してみると管球の冷却待ちがなくパワフルで問題なく運用できました」と述べる。

ワークステーション(AZE)を活用して心臓CT検査に取り組む

ワークステーション(AZE)を活用して心臓CT検査に取り組む

バックアップ機として導入されたAquilion Lightning

バックアップ機として導入されたAquilion Lightning

 

心臓検査の豊富なアシスト機能で高精細な撮影が可能

80列CTの最新機種であるPrime SPは、PUREViSION Opticsといった先進のハードウエアと、“SEMAR”など豊富なアプリケーションで高度な検査を提供する。放射線部の秋月稔彦技師はPrime SPについて、「通常検査では、ガントリ回転速度0.5秒×80列で広範囲撮影を行っています。また、救急や息止めが困難な患者さんでは0.35秒の高速撮影が可能で、ハードウエア性能の向上で画質を落とすことなくハイピッチ撮影ができています」と評価する。ワークフローの面では、以前の装置よりもコンパクトで検査室内に余裕ができ、ベッドやストレッチャーなどの取り回しが容易になり、ストレスなく検査が可能になった。また、78cmのワイドボアで老人性円背や両腕の挙上が難しい患者でも無理なく検査が行えるようになっている。CT検査を担当する大堀邦彦技師は「入室から撮影までのワークフローは確実に向上しました」と評価する。
心臓検査では、“Heart Navi”“Phase Navi”“ECG Editor”といったサポート機能を活用している。Heart Naviは、検査前に心拍数に応じて最適な撮影条件を自動で設定する機能で、Phase Naviでは撮影データから静止位相を自動的にピックアップして再構成できる。また、ECG Editorでは不整脈などの不要な部分を編集して最適なデータで再構成が行える。心臓CT検査について秋月技師は、「検査時には、ガントリのモニタと息止め練習用のソフトウエアで呼吸練習を行い、本スキャン前にHeart Naviで撮影条件を自動設定します。以前の他社製32列では、心拍数に応じて決まった撮影条件をマニュアルで入力していたので、最適な条件で撮影できないケースもありましたが、Prime SPの自動機能により撮影の失敗はなくなりました」と述べる。画像処理はワークステーション(AZE)で行うが秋月技師は、「他社製32列CTでは、ソフトの仕様から必ずしも最適な心位相が得られず、最適位相の検索に時間がかかっていました。Prime SPでは、Phase Naviの自動機能のほか、ECG WizardやECG Editorで最適な心位相を選択して再構成ができるので、時間も短縮できストレスなく作成作業が行えます」と評価する。

整形外科領域でSEMARを活用してアーチファクトを低減

同院では、整形外科のほか脊椎外科を標榜しており、CTについても脊椎や四肢など整形外科領域の検査の割合が高い。検査では、金属アーチファクト低減技術であるSEMARを適用した検査を行っている。大堀技師はSEMARについて、「人工骨頭留置後に内臓疾患などで検査を行う場合には、ブラックバンド状のアーチファクトの影響が出ますが、SEMARを適用することできれいに除去することができます。診療医のオーダに合わせて、SEMARの適用を使い分けています」と述べる。また、整形外科以外の臨床医からの評価としても、特に膵臓などを中心に高評価だと秋月技師は言う。
「腹部領域では、ダイナミックレンジの広がりで画像のコントラストがつき高い評価を受けています。また、チルトヘリカルや“AIDR 3D Enhanced”などの被ばく低減技術の使用で、J-RIMEの診断参考レベル(DRL)を大幅に下回る線量で撮影ができています」

■Aquilion Prime SPによる臨床画像

図1 RCA狭窄 豊富な心臓CTアシスト機能により、複雑な操作なく、狭窄部位が高精度に描出できる。 a:TREE画像 b:MIP画像 c:CPR画像 d:血管撮影画像

図1 RCA狭窄 豊富な心臓CTアシスト機能により、複雑な操作なく、狭窄部位が高精度に描出できる。
a:TREE画像 b:MIP画像 c:CPR画像 d:血管撮影画像

 

図2 腰椎後方固定術後の造影検査 SEMAR使用で金属アーチファクトが回避でき、隣接する血管の評価が可能であった。 a:オリジナル画像 b:SEMAR

図2 腰椎後方固定術後の造影検査 SEMAR使用で金属アーチファクトが回避でき、隣接する血管の評価が可能であった。
a:オリジナル画像 b:SEMAR

 

冠動脈CTによる心臓疾患の早期発見、治療に期待

渡邉副院長は冠動脈CTについて、「Prime SPの稼働で、胸痛など心臓疾患の疑いのある患者さんに対して迅速に低侵襲な方法でアプローチが可能になります。これまでは冠動脈CTでの評価に難があり、カテーテル検査などほかの方法でカバーすることがありました。今後は診断を冠動脈CTで行い、治療を考える時にカテーテルを行うことになりそうです」と期待する。さらに、渡邉副院長は地域の医療機関からの紹介検査にも期待する。「80列CTの稼働で、近隣の開業医の先生方にも心臓疾患の患者さんを紹介いただけるように、よりアピールできます。特に、糖尿病の患者さんは動脈硬化があっても症状として表れにくいことが多いので、少しでも症状が出て気になったときに紹介いただけることを期待しています。高精細できれいな画像を返すことで、次の紹介につながることも期待できますので、これから活用していきたいと思います」と述べる。
渡邉副院長は、これからの心臓CTについて、「ワークステーションを含めてさまざまなアプリケーションが利用できますので、CTによる心機能の評価は進めていきたいですね。また、冠動脈についても狭窄だけでなく、プラークの性状評価ができればより適切な治療戦略を立てることができるので、冠動脈壁評価にも期待しています」と述べる。
同院では、救急医療など急性期医療を担いながら、リハビリや回復期までを含めた長期的な視野で患者に寄り添う医療を提供していく方針だ。その中で、最新の80列CTが急性期医療において重要な役割を果たすことが期待される。

(2018年10月29日取材)

 

大分中村病院

社会医療法人恵愛会大分中村病院
大分県大分市大手町3-2-43
TEL 097-536-5050(代)

 

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