情報提供:Canon CT 高精細技術について 
津島  総(キヤノンメディカルシステムズ株式会社 CT営業部営業技術担当)

2022-11-25


津島  総(キヤノンメディカルシステムズ株式会社 CT営業部営業技術担当)

■従来の2倍の空間分解能を達成したAquilion Precision

当社は高精細CTの開発において,国立がん研究センターとの共同研究を通じ,2017年にAquilion Precisionを製品化した。2018年にはAiCEを搭載し,高精細CTイメージングのパイオニアとしてAquilion Precisionは実績の更新と成長を続けている。
Aquilion Precision(図1)は,従来検出器の1/4のピクセルサイズで160列の撮影モードに対応した検出器を搭載,X線管球の焦点サイズを従来の約半分にすることで高精細なビーム照射を実現している。ハードウエアも設計を一新し,ガントリ回転や寝台移動に伴うブレの影響を従来の半分以下に抑えた。さらに,再構成においては512,1024,2048マトリックスでの出力に対応し,空間分解能150μm,0% MTFで50lp/cmを実測している。スキャンモードは,従来検出器と同等の分解能となるNRモード,その2倍の面内分解能となるHRモード,面内方向,体軸方向共に従来の2倍の分解能となるSHRモードを搭載し,焦点サイズはスキャンモードや撮影対象に合わせて6種類から選択できる。
世界ではすでに60編以上の査読付き論文が公表されており,その領域は頭部,頭頸部,胸部,心臓,腹部,整形と,全身領域にわたる。Aquilion Precisionによる高精細イメージングの臨床価値および関心の高さがうかがえる。

■PIQEによるAquilion ONEの高精細化

2021年11月にリリースしたPIQEは,Aquilion Precisionの高精細画像を教師データとして活用したDeep Learning再構成技術で,Aquilion ONEで得られた従来解像度の画像を超解像技術で高分解能化する。
Deep Convolutional Neural Network(DCNN)の構築には,Aquilion PrecisionのSHRモードで収集したデータを用いる。教師データには,“Forward projected model-based Iterative Reconstruction SoluTion(FIRST)”やAiCEで培った高いノイズ低減処理を施した再構成を適用し,一方,入力データには人工的にさまざまなレベルのノイズを付加したNRシミュレーションデータを用いる。多様な臨床例とノイズパターンを学習させることで,ロバスト性の高いDCNNが構築される。これをAquilion ONEに実装することで,16cmのボリュームデータに対する超解像効果および低ノイズ化処理を実現する。
当社は,さらなる低被ばく化,高分解能化,新たな臨床価値の提供をめざし,新領域への展開も含めて今後も開発・改良を進めていく。

図1 高精細CT Aquilion Precisionのスペック

図1 高精細CT Aquilion Precisionのスペック

 

*AiCE,PIQEは画像再構成処理の設計段階でAI技術を用いており,本システム自体に自己学習機能は有しておりません。
一般的名称:全身用X線CT診断装置 販売名:CTスキャナ Aquilion ONE TSX-306A 認証番号:301ADBZX00028000
一般的名称:全身用X線CT診断装置 販売名:CTスキャナ Aquilion Precision TSX-304A 認証番号:228ACBZX00019000


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