技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)

2017年8月号

Women's Imaging 2017 最新技術

より安定した乳房MRI検査のための技術

近年,乳がんの広がり診断や多発性乳がんの検出などの精査に加え,遺伝性乳がんに対する任意型検診,乳房再建術後のシリコンインプラントのフォローアップ検査など,乳房MRI検査の需要が高まっています。今回は,乳房MRI検査における当社の技術を紹介します。

●乳房検査に欠かせない,より安定した脂肪抑制を実現
乳房は脂肪の割合が高く,病変の発見には確実な脂肪抑制が必要です。より安定した脂肪抑制を可能にする技術を紹介します。乳房専用シミング“eShim Breast”では,シミングの計算精度を向上することで,誰でも安定した精度でのシミングを行うことが可能です。さらに,当社独自の脂肪抑制法“Enhanced Fat Free”では,SPAIR法のような撮像時間の延長なく,2発の脂肪抑制パルスで残った脂肪成分を確実に抑制することができ,より安定した脂肪抑制を実現します。

●専用アプリケーションで安定したインプラント検査
2013年に保険適用となった,乳房再建術後のシリコンインプラントの破損や漏れの有無を,定期的にMRI検査で確認することが可能です。シリコンと脂肪の共鳴周波数の差が小さく,従来は,手動で中心周波数をシリコンに合わせてシリコンを高信号化していたため,設定を誤ると脂肪抑制不良やシリコン信号の描出低下を起こす問題がありました。“PASTA-Si”は,中心周波数を手動で設定する必要がなく,簡単にシリコンを高信号に描出可能です。

●解析技術の充実
乳がんの良悪性の判別には,dynamic解析が重要視されています。当社ワークステーション「Vitrea」では,撮像したdynamic画像からワンクリックで,time intensity curve(TIC)やマップなど,診断しやすい表示を行います。TICでは,カーソルを当てた場所のピクセルに合わせてリアルタイムに表示可能です。さらに,その解析結果から必要項目をチェックするだけで,簡単にBI-RADS MRI 2013年版に基づいたレポートの作成を行うことが可能です。チェック項目には,高濃度乳房(デンスブレスト)と背景乳房増強効果(BPE)もあり,診断の際に考慮が必要な事項に関してもチェック可能です(図1)。

図1 BI-RADSレポートの作成

図1 BI-RADSレポートの作成

 

●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon/

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