技術解説(GEヘルスケア・ジャパン)

2023年1月号

医用画像ワークステーションガイド

放射線検査における,最新技術を用いた画像処理アプリケーション

大森 孝憲[GEヘルスケア・ジャパン(株)ヘルスケア・デジタル本部マーケティング] / 松本 和也[GEヘルスケア・ジャパン(株)イメージング本部MICT営業推進部MICTマーケティング]

GEヘルスケアは,放射線画像検査において,撮影後の画像再構成から,読影支援までのワークフローをサポートするための技術開発に日々取り組んでいる。画像再構成は撮影装置側で行うものと,ワークステーション側で行うものがある(図1)。ここでは,ワークステーションが行う画像再構成および画像処理における最近の技術を使ったアプリケーションを紹介したい。

図1 放射線検査ワークフローにおけるアプリケーションの役割

図1 放射線検査ワークフローにおけるアプリケーションの役割

 

■人工知能技術の活用

ご存じのとおり,近年,人工知能の役割が注目されている。医療分野においても,その技術が活用され始め,2022年には診療報酬の画像診断管理加算3の施設基準に人工知能技術を活用したソフトウエアの管理に関する基準も組み込まれた。当社の画像ワークステーションの最新バージョンにも,deep learningアルゴリズムを使った機能を搭載したアプリケーションがある。2022年11月時点で,CT心臓血管解析(CardIQ Xpress),CT肝臓解析(Hepatic VCAR),CT椎体ラベリング(BoneVCAR),CT頭部灌流解析(Perfusion 4D),MR前立腺解析(PRO View)におけるセグメンテーション機能にdeep learningアルゴリズムを搭載しており,医療機器製造販売認証を得ている(図2)。これらの解析アプリケーションは,ワークステーションだけでなく,目的や運用に応じてサーバでの運用も可能であり,さらには院内の既存ITインフラの有効活用という点で,ソフトウエアのみを調達し,仮想サーバ環境上で運用することも可能である。

図2 Deep learningアルゴリズムを使ったアプリケーション例

図2 Deep learningアルゴリズムを使ったアプリケーション例

 

■高度な心臓CT画像処理技術

次に,画像処理においては,撮影装置側の技術と組み合わせて,高度な画像処理を行う機能がある。これは人工知能技術ではないが,モダリティメーカーのノウハウを生かした技術である。代表的な技術として,心臓CT画像において心臓全体のブレを補正する「SnapShot Freeze2.0(SSF2.0)」がある(図3)。SSF2.0は,心臓を構成する各ボクセルの動態(動きの向き,動きの量など)を三次元的にベクトル解析し,偏移量をフィードバックし静止画像を生成する当社独自のモーション抑制アルゴリズムであり,冠動脈だけでなく心臓全体のモーションを抑制することができる。これにより,高心拍や不整脈患者への心臓CT検査の適応拡大,ブルーミング,ブラーリング,バンディングなどアーチファクトを抑えた高分解能画像による読影負荷の軽減と診断確信度の向上への貢献,撮影条件選択,最適心位相検索,解析処理などでの作業負担・時間短縮が期待できる。さらには,160mm wide volume検出器と組み合わせることで,心臓全体の4D情報が取得できるため,構造的心疾患への低侵襲的なカテーテル治療や,自己弁温存手術,大動脈弁形成術など外科的手術の安全な実施にも貢献できる。

図3 SnapShot Freeze2.0 によるモーション抑制

図3 SnapShot Freeze2.0 によるモーション抑制

 

アドバンテージ ワークステーション
医療機器認証番号:20600BZY00483000
汎用画像診断装置ワークステーション AW サーバー
医療機器認証番号:22200BZX00295000

 

【問い合わせ先】
製品,営業案件に関するお問い合わせ窓口
TEL 0120-202-021
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