統合PACSソリューション「XTREK」シリーズ,放射線部門業務システム「ACTRIS」/ ユーザー事例 江別市立病院(ジェイマックシステム)
「XTREK」と「ACTRIS」の導入で,安心・安全で質の高い医療提供をめざす。

2019-2-1

ジェイマックシステム

診療支援


江別市立病院について

江別市立病院は,1951(昭和26)年に江別町立病院として内科,外科,放射線科の3科28床で開院。その後,地域医療への貢献を図るために徐々に診療科を拡充し,1998(平成10)年の新病院建て替えでは新たに呼吸器科,循環器科,消化器科などを新設,現在は診療科目22科を標榜している。病床数は一般病床278床,精神病床59床の合計337床で,一般病床のうち44床は地域包括ケア病棟として運用している。また,2008(平成20)年4月からは,総合内科を配置,救急医療や複数疾患を抱える高齢者医療対応にも取り組んでいる。
同院では,「いたわりの心を持って,患者さん本位の医療を提供する」ことを理念とし,患者さんと医療従事者とが協同して医療を行えるよう,「患者の権利と責任」を制定。個人情報やプライバシーを保護し,医師の十分な説明に基づく患者さんの納得・同意(インフォームド・コンセント)を心がけ,療養環境の整備に努めることで,地域住民の方々が地元で,安心・安全で質の高い医療を受けられるよう,職員一丸となって取り組んでいる。

江別市立病院
1階外来受付

1階外来受付

 

診療技術部 放射線科技師長 佐藤博樹氏に聞く

─放射線科の概要についてお聞かせください。

佐藤博樹 技師長

佐藤博樹 技師長

当科は現在,診療放射線技師が12名在籍しており,うち3名が女性です。各認定については,X線CT認定が2名,マンモグラフィ認定が3名,それぞれ取得しています。また,2019年1月にはMRI認定の取得を1名が予定しています。
検査機器構成は,一般撮影が3台,2017年に更新したトモシンセシス対応のマンモグラフィ,骨密度,血管造影が2台(1台は心臓専用バイプレーン),CT(64列),MRI(1.5T),更新したばかりのRIという構成となっています。
各検査の年間の件数は,一般撮影が約4万件,ポータブル撮影が約3000件,マンモグラフィが約1700件,CTが約7000件,MRIが約2000件,RIが約600件,骨密度が約800件となっています。また当院は,他院からのCDなどの画像取り込みと受け渡し用の書き込みが多いことが特徴です。年間で取り込みは約1000件,書き込みは約2500件あり,煩雑で大変な業務の一つです。

─放射線部門のビジョンや特徴について,お聞かせください。

公的な病院ではどこの病院もあると思いますが,人事評価が制度的に規定されており,病院全体のビジョンに対して各部門の目標を部門長が設定し,さらにその部門目標を実現するための目標を科長が設定しています。当科であれば放射線科の目標があり,それに対して個々が年間の個人目標を設定,能力および実績の評価を行っています。それらの目標設定の中で各種認定取得や技術の習得,安全管理等の知識的な習得なども含まれています。
また取り組みとしては,ピンクリボン運動が年に1回,10月の第3週金曜日に全国的に行われていますが,それに伴い江別市でも第3週の日曜日にマンモグラフィーサンデーの名称で,平日来院できない方のための検診を行っています。これはとても反響が高く,募集を開始すると100名の枠がすぐに埋まってしまうほどです。検査に関しては地域中核病院ということもあり,近隣地域との連携が多く,CDでの画像提供の件数が1か月あたり約200件ととても多くなっています。加えて,地域の救急告示医療機関として24時間365日,患者受け入れを行っていますので,年間約2000件ほどの救急搬送患者の受け入れがあり,全体の検査件数の割合からすると,夜間の救急撮影件数が多いのも特徴です。このようなことから,すべての診療放射線技師が一般撮影をはじめ,CTや心カテにいたるすべての検査に対して,一定した技術,一定した画像品質を保つことが必要となります。そのために当科では,マンモグラフィとRI以外のモダリティを1週間ほどでローテーションし,撮像技術の習得向上に努めています。他施設ではモダリティごとに専門を作った方が各検査のクオリティが向上するという考えもありますが,その点では各検査認定の取得を進め,知識や技術を共有することで補えると考えています。

─統合画像ビューア「XTREK VIEW」について,感想をお聞かせください。

XTREK VIEWの一番の特長は,各機能のボタンがアイコンではなく日本語ボタンであることだと思います。機能が多くなればなるほどアイコンはわかりにくくなりますし,クリックするボタンの判別という意味では,絵(アイコン)より文字の方が格段に優れており,使いやすいと思います。また,よく使用する機能をボタンとして自由に設定できることも良い点の一つです。例えば整形外科の医師から等倍のボタンが欲しいという要望があれば,お願いするとすぐに設定してもらえます。サムネイル画像の表示も見やすいですし,レイアウトも使いやすいように変更できます。過去画像との同期スクロールやFOVなどの機能も充実していますし,表示スピードについても速く,導入時から遅くなるようなこともありません。

─放射線部門業務システム「ACTRIS」について,感想をお聞かせください。

ACTRISだけでなくジェイマックの製品全体に言えますが,ユーザーやモダリティ端末単位での画面設定やカスタマイズが柔軟にできることが特長だと思います。ある技師が別のモダリティに移動し検査する場合も,個人で使いやすいように設定しておいた画面で,自分のペースでスムーズに検査業務を行えることはとても重要です。また画面周りについては,業務システムでは間違えてボタンを押してしまうケアレスミスがありますが,そのようなことが起こりにくいように考えられていると思います。
HIS(電子カルテ)とRISの連携についてですが,ACTRISの表示は電子カルテと同じ状態で情報を表示することはもちろんですが,例えば,軽度な造影剤の副作用があり,医師に確認したが,造影剤の副作用ではないという回答の場合,副作用歴はなしと入力しますので,電子カルテにも同様に反映されます。しかし当科では,万が一,次回の検査の際に副作用が起こることを考慮し,RISの「患者コメント」の欄に「軽度な副作用あり」と入力しています。これは電子カルテの情報だけではわからない患者さんの情報を補うことができ,とても有用です。患者さんの情報把握においても,耳が不自由,足が不自由ということだけではく,この患者さんは「障がいのことを言われるのを嫌われる」といった情報を入力しておくことで,次回の撮影では患者さんのことを把握した上で接することができ,患者さんの対応向上にも役立っています。

─始業・終業点検システムについて,感想をお聞かせください。

始業・終業点検については,初めは紙ベースの管理でした。プリントした点検表にチェックをし,閉じて台帳管理をしていましたが,紙もたまり,かさばってきます。その後DBソフトでも管理していましたが,各モダリティに移動してチェックするために,チェック表をプリントし,管理端末で入力せざるをえず,大変な作業でした。始業・終業点検システムの導入後は,各モダリティのRIS端末で点検入力できますので,効率的にも大幅に改善し,点検忘れやチェック漏れなどがほとんどなくなりました。管理者にとっても,どこのRIS端末でもすべての機器の点検を確認でき,とても助かっています。

─今後のシステム計画などがありましたらお聞かせください。

現在,線量管理の対応を検討中です。CTについては入れ替えが控えており,その際に一緒に導入することを検討しています。専用のソフトウェアを使った管理の方が,ほかのモダリティが増えた場合には便利ですし,ACTRISのオプションである線量管理システムについても,先日ご提案をいただきました。科内でも勉強会を開きいろいろと検討を重ねていますが,導入しているRISメーカーが作ったシステムであれば,接続費用がかからないという大きなメリットがあると考えています。
また現在,地域での検査機器の共同利用促進を目的に,地域医療連携の職員と一緒に近隣の医療施設を訪問しています。徐々にですがその成果も現れ始めており,検査依頼件数も伸びてきています。インターネットを利用した検査予約もあるようですので,検討したいと考えています。

ACTRISでの検査風景

ACTRISでの検査風景

 

病院情報システム課 情報システム係係長 高橋紀久氏に聞く

─システム導入の経緯をお聞かせください。

高橋紀久 係長

高橋紀久 係長

当院ではオーダリングシステムを一部導入ずみで,PACSは放射線科の部門システムとしては導入されていましたがオーダリングとの連携はしていない状況でした。電子カルテの導入推進は国の施策として厚生労働省からも通知されており,当院でも今後を見据えて導入することを決定しました。選定についてはシステム検討委員会を立ち上げて,プロポーザル方式(複数メーカーの提案の中から優れた提案を選定する方式)で進め,電子カルテについては2社に絞り,富士通社のシステムを採用することになりました。そのような経緯の中で,RISおよびPACSについては富士通社のシステムとの連携実績があるメーカー3社で選定を進め,放射線科を中心に,各診療科の医師にも使いやすさや機能などを評価してもらいました。その結果,特に診療放射線技師の評価が高かったのがジェイマックのシステムでした。

─仮想化サーバーを採用されましたが,その理由をお聞かせください。

当初から仮想化でのシステム構築を検討しており,放射線科においては物理的な複数のサーバー上で,メイン/バックアップそれぞれのPACS/RIS関連のサーバーと,それぞれのDBサーバーが構築されています。仮想化のメリットについては,ハードウェア寿命や耐障害性,特に冗長化ということが挙げられます。ハードウェアの性能向上により物理サーバーを集約し,コスト削減や省スペース化が見込めますし,CPUやメモリの有効活用や管理面での効率化もあると思います。これらの技術については日進月歩だと思いますので,次期更新では,基幹システムにおいても検討したいと考えていますし,VNA(Vendor Neutral Archive)やHCI(Hyper-Converged Infrastructure),ほかにも有用な情報があればぜひ提供をお願いします。

 

診療技術部 放射線科主査 小松 学氏に聞く

─ACTRISをお使いの中で,特に良い機能についてお聞かせください。

小松 学 主査

小松 学 主査

検査のステータスが豊富なので,現在の患者さんの撮影状態が容易に把握できること,加えて,複数の検査室のスケジュール確認ができるので,時系列での確認が一目で把握できることが挙げられます。またRI検査においては,通常の放射線検査とは異なり,薬剤の発注/入庫管理や台帳記録が必要になりますが,これらも一括してできるのでとても便利だと感じます。必要な帳票や記録簿なども導入時にSEの方が時間をかけて対応してくれた,満足できるものができたと思っています。

─検像システム「XTREK QA」について,感想をお聞かせください。

当院では一般撮影を除き,すべての画像に関して検像サーバーを通してからPACSへ送信する運用を行っています。また当院では,近隣の医療施設から救急の患者さんが搬送されることや,江別市の夜間診療を行っている施設から画像が持ち込まれること,他施設で検査・手術をした患者さんのフォローアップで画像が持ち込まれることもあります。これらの他院の取り込み画像についてはアクセッション番号を付け直し,情報修正してからPACSへ送信しています。
機能についてですが,シリーズの変更や並び替え,削除などがドラッグアンドドロップで直感的にできることが特長だと思います。取り込んだ画像もサムネイルで確認できますし,使い勝手は良いと思います。一般撮影でマーカーのつけ忘れがあった場合なども検像で修正し,アノテーションをつけることができますので便利です。

 

診療技術部 放射線科 馬場聡美氏に聞く

─XTREK MAMMOについて,感想をお聞かせください。

馬場聡美 技師

馬場聡美 技師

あらかじめ登録した読影レイアウトをマウスホイールを使って簡単に表示できますし,過去画像も撮影日付をクリックするだけで表示できます。各機能の設定などもすべて日本語表示で,直感的に使えるようGUIを工夫されていると思います。また当院では撮影後に診療放射線技師が一次読影を行っているのですが,同方向から撮影した画像を並べて表示する過去比較機能は毎回使用しています。虫めがね機能もよく使いますが,ダブルクリックですぐに切り替わり,マウスホイールで倍率や領域変更もできます。大きい乳房の患者さんでは,虫めがねではなく全体のズームをよく使用しますが,あらかじめ設定したショートカットキーでワンボタンで切り替えられますのでとても便利です。

 

※さらに詳しいインタビューはジェイマックシステムのホームページで!
URL http://www.j-mac.co.jp/case/index.html

 

 

●問い合わせ先
株式会社ジェイマックシステム
〒060-0034 札幌市中央区北4条東1丁目2-3 札幌フコク生命ビル10F
TEL 011-221-6262
E-mail sales@j-mac.co.jp
URL http://www.j-mac.co.jp

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(ITvision No. 39 / 2019年2月号)
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