愛媛大学医学部附属病院脊椎センター整形外科外来で,2010年9月に1週間にわたりロケテストを実施した。問診票は腰椎用問診票,頸椎用問診票を対象とした。
1. 対象者
今回の対象者は,20〜89歳(平均57歳)の27名(男性10名,女性17名)であった。この中で半数以上がiPadを「初めて見た」「触ったことがない」という状態で,ほぼ前提知識のない状態でのスタートになった(図7)。

図7 iPadの認知度
2. 補助の必要性
20歳〜50歳では簡単な操作説明で操作できる人が大多数であったが,60歳以上ではスタッフの補助が必要になる傾向が目立った(図8)。高齢者の多くは安定させるために,膝の上にiPadを置き,うつむきの姿勢で操作する傾向がある。iPadはタブレットPCと比べて軽量ではあるが,まだ重さに課題を残していると言える。

図8 年齢と補助の必要性の関係
3. 記入時間と使用感
調査票の回答に要した時間は,紙媒体が平均13分,iPadが平均6分で完了した。使用感については,60歳以上の高齢者にスタッフの操作補助が必要であったことを割り引いて評価する必要があるものの,7割以上が「容易であった」と評価し,iPadと紙媒体との比較では84%がiPadに対して好意的な評価を寄せていた(図9)。

図9 使いやすさに関する感想
a:iPad問診票の感想
b:紙とiPadの比較
4. ユーザーインターフェイスについて
ここでは,否定的なフィードバックがあったものを中心に掲載する(図10)。われわれもこの問題点の指摘を受けて,改善を試みているところである。これからiPadを使った取り組みをされる方の参考になれば幸いである。基本的に,iPadで新しく導入された操作体系とその恩恵にあずかった入力方式は,同様な操作体験が利用者にないために操作が困難であることが示唆された。この問題については,ムービーやチュートリアル形式での操作方法の説明,誘導が必要であり,今後の課題ととらえている。
1) フリック操作による移動
選択項目が多く画面に収まらない時には,本システムでは「赤い三角」を表示し,フリックによって上下にスクロールできることを提示している(図10a)。
しかし,この試みは2つの意味で失敗であった。1つは,「赤い矢印」が次の画面にも選択項目があるということの認識につながっていなかったということ。2つ目は,利用者がフリック操作によるスクロールを知らなかったことである。項目が多いときは,項目をグループ別に分け直した方がよいだろう。
2) シェーマ入力
シェーマ入力もつまずきの多い部分であった(図10b)。日常的に見かけない入力方法であったので,戸惑いが多かったかもしれない。操作説明をすると全員が操作できたので,操作説明のムービーを挿入することを検討している。
3) 画面の任意の場所を押す操作
ビジュアルアナログスケール(VAS)入力は,痛みの主観的評価に使われる手法であるが,「目盛り」がないのが特徴である(図10c)。この目盛りがないために,任意の場所をタッチすることでマークをつけるような入力形式にしたのであるが,タッチしないと入力ができないということに気づくのに時間がかかったようである。

図10 操作が難しかった事例
a:フリック操作による移動
b:シェーマ入力
c:画面の任意の場所を押す操作
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