GEヘルスケア・ジャパン,がん治療効果判定に客観的指標をもたらすPET/CTの新機能「Q.Clear」を発売
〜PETの「画質向上」と「定量精度」双方の実現により患者さんのQOL向上・医療コストの削減にも貢献〜
2014-4-7
GEヘルスケア・ジャパン(株)は,4月11日(金),PET(陽電子放射線断層撮影装置)とCT(コンピューター断層撮影装置)を一体化したPET/CTの最上位機種であるDiscovery PET/CT 610*1及びDiscovery PET/CT 710*1に搭載可能な,最新PET画像再構成機能「Q.Clear(キュークリア)」の発売を開始する。
*1: 搭載はともに128スライスのみに限る
患者さんの治療効果判定を行う臨床医や腫瘍医にとって,精度の高い画質による診断精度の向上とともに診断薬の集積度合いを示す数値である定量値の「精度」の向上は,迅速かつ的確な治療方針の判断をサポートするものとして望まれていた。今回発売するQ.Clearは,従来の画像再構成法ではできなかった,「画質」と「定量精度」の双方の両立と向上を実現したもので,これにより,がん治療における診断能向上が期待されるのみならず,治療効果を前後で比較判定する際に使用するSUV値(定量値の指標)の信頼性・安定性を改善し,より客観的な治療効果の検証や新たな治療法への迅速な切り替え判断などを可能とする。
近年増加の一途をたどるがんの罹患者数は,超高齢社会を背景に,今後さらなる増加が見込まれている。がん治療において,治療効果の適切な判定と治療方針策定を行うための信頼できるPET検査を実現することで,患者さんのQOL向上と負担の軽減,また社会的課題でもある医療費の削減にも貢献することが期待される。
●臨床現場におけるPET/CTの活用と開発における課題
2003年に同社が国内初のPET/CT 「Discovery LS」を発売以来,PET/CTは主に医療機関の放射線科において,脳や心臓の機能検査および特にがん診断(早期発見や腫瘍のステージング)を中心に活用されてきた。
PET検査は,体内に投与した放射性薬剤の集積を画像化するため,同時に薬剤の分布量からがん細胞のグルコース(ブドウ糖)代謝量を定量情報(SUV)として数値化することが可能。そのためこの“SUV”を治療前後で比較することで,治療の効果を簡便に確認でき,測定結果に応じて現在の治療を続けるか,あるいは別の治療法を選択するか,最適な治療方針の判断に利用することが期待されている。しかし近年主流のPET逐次近似画像再構成法では, “演算”を繰り返して(逐次)正しい画像データに近づけ(近似)ようとその繰り返し回数を多くすると,同時に画像中のノイズを増幅させてしまうため,「画質」を優先して,正しい「定量値(SUV)」に至る前に“演算数”を制限せざるをえなかった。そのため「SUV定量精度」の向上が強く求められてきた。
●新たな演算アルゴリズムの組み込みによる「画質」「PET定量精度」双方の機能向上Q.Clear
こうした課題を克服するために,「Q.Clear」では,“逐次近似法”において画像を再構成する際に演算の繰り返しを多く行ってもノイズが増大しないよう,アルゴリズム内にノイズをコントロールするための新たな演算式を組み込んだ。これによって,従来相反関係にあった「画質」と「定量値」の双方が向上し,一貫性のある“SUV”を提供でき,継時的な治療効果判定へのPET利用が可能となる。
加えて「Q.Clear」では,従来PET画像再構成法と比較して,画質を約2倍(GE社内比較)に向上,微小病変の描出能力や,隣接する病変の識別能力が高まる。さらに肝臓のようにノイズの多くなりやすい部位でもクリアな画質を実現するため,診断精度が飛躍的に向上する。
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