エドワーズライフサイエンス,患者さんの血管にカテーテルを挿入せずに,体内の循環血液量などを測定できる新製品「クリアサイトシステム」発売
〜指にカフを巻く測定法で,体に負担の少ない手術における麻酔管理の向上に貢献〜

2015-11-10

エドワーズライフサイエンス


クリアサイトシステム

クリアサイトシステム

人工心臓弁と血行動態モニタリング技術の世界的リーダーであるエドワーズライフサイエンス社の日本法人,エドワーズライフサイエンス(株)(以下エドワーズ)は,血管にカテーテル(細い管)を挿入することなく,センサー付きのフィンガーカフを1つ指に巻くだけで,手術中に患者さんの全身を循環する血液量などを測定できる「クリアサイトシステム(以下クリアサイト)」を全国の医療機関に向けて発売した。クリアサイトは同社のEV1000クリティカルケアモニターに追加搭載が可能。

●クリアサイトの特長

カフを指に巻くだけで心拍出量*等の測定が可能
・患者さんの体を傷つけず,非侵襲**で測定
・血管にカテーテルを挿入して測定する従来の測定機器と比較して,遜色ない性能1)
・医療従事者にとっても使いやすく,即時に患者さんへの装着が可能

*心拍出量とは:心臓が送り出す血液の量。麻酔中に患者さんの循環血液量を管理する「循環管理」の指標のひとつ。
**侵襲(しんしゅう)とは:切開や穿刺の度合い。低侵襲ならば,その度合いが少ないこと。

●クリアサイトの使用により期待されること

・低侵襲手術時にも,心拍出量を測定
近年増加している低侵襲手術では患者さんへの侵襲を最小限にするため,血管カテーテルを使用した心拍出量の測定は選択が難しかったが,クリアサイトを用いることで,非侵襲で心拍出量を測定できる。

・心拍出量測定により,迅速な対応が可能に
これまで低侵襲手術の循環管理には血圧や尿量が指標に使われてきたが,連続して心拍出量を測定することが出来るようになると,麻酔科医は絶えず変化する患者さんの循環状態を即座に把握し,変化に適切に対応することが可能になる。

・合併症発生率の低減や入院期間短縮
患者さんの心拍出量を指標に加えることで,適切に循環管理ができ,合併症発生率の低減や入院期間短縮につながることが期待できる。

■体への侵襲なく,指にカフを巻くだけで心臓が送り出す血液の量を測定
クリアサイトは,患者さんの指にクリアサイトフィンガーカフを1つ装着するだけで,心拍出量などの指標の測定が可能。測定データはEV1000クリティカルケアモニターに表示される。
手術の際に行われる麻酔は,血液循環や呼吸などの生体反応を抑制させるため,麻酔科医は患者さんの容態変化を注意深く観察している。手術中は麻酔の影響だけではなく,出血など様々な要因で循環血液量が減少することがある。そのため麻酔科医は,心拍出量などの指標から患者さんの全身循環を絶えず監視(モニタリング)して変化を読み取り,減少時には点滴や薬剤を用いて,全身の循環血液量が適切になるよう管理する必要がある。クリアサイトはそのような重要な指標を,患者さんに対して侵襲なく測定できる点が特長である。

■クリアサイトについて
クリアサイトは,1回のみ使用可能な,センサー付きクリアサイトフィンガーカフ,およびポンプユニット等のセット。すでにEV1000クリティカルケアモニターを持っている施設は,クリアサイトを追加購入することで,モニターでの使用が可能になる。
名称:クリアサイトフィンガーカフ
素材:(カフ部分)ポリウレタン。
サイズ:Small,Medium,Largeの3種類
価格:37,000円(希望小売価格・税抜)
※カフを除くクリアサイト(含モニター)一式の価格は550万円(同上)。
※クリアサイトフィンガーカフは販売名:EV1000クリティカルケアモニター(認証番号:22300BZX00363)の構成品。

■低侵襲手術において,これまで難しかった心拍出量による患者さんの血液の循環管理が可能に
生命維持には,心臓や脳,肺などの各臓器が正常に機能し,それぞれの役割を果たすことが必要だが,そのためには,各臓器が血液から十分な量の酸素を受け取らなければならない。しかし手術中は麻酔薬の影響や出血など様々な要因により,患者さんの血液量は刻一刻と変化し,場合によっては各臓器の機能が低下してしまう。そのため手術中には,心拍出量をはじめとした様々な指標をモニタリングし,全身の循環血液量の変化を迅速に読み取り,即座に対応することが重要である

一方で,最近増加傾向にある***低侵襲手術においては,手術自体が,切開・穿刺を極力少なくする方法で行われることから,モニタリングも同様に低侵襲で行うことが望ましいといえる。そのため血管カテーテルを挿入する心拍出量測定は選択が難しく,血圧や尿量を指標にした循環管理が行われている。しかし,これらの指標では患者さんの血液循環を正確に評価することが難しい場合があった。
クリアサイトはこのような低侵襲手術においても心拍出量の測定を可能にするため,適切な循環管理の実施に貢献することが期待される。加えて,クリアサイトは従来の血管カテーテルと比較して,遜色ない性能を有していることが報告されている1)

***1例として,日本内視鏡学会による「内視鏡外科手術に関するアンケート調査第12回集計結果」によると,腹部外科領域の内視鏡手術件数は10年間で約2.5倍に増加。

■適切な循環を維持する「目標指向型輸液・循環管理」で,合併症発生率の低減や入院期間削減に期待
循環管理は,麻酔科医個人の経験や知識に基づいて行われることも多いため,同じ手術でも医師や管理の方法によって質が異なることがある。そのため最近では,心拍出量をモニタリングし,定められた方法で管理する「目標指向型輸液・循環管理(Goal Directed Therapy, GDT)」が英国を中心に実施されている2)。この方法に従い,適切かつ標準化された点滴(輸液)・循環管理を行うことで,手術後の合併症が減少する3‐5),また入院期間が1.16日短縮される6)などの効果が,複数の研究で報告されている。

クリアサイトの発売にあたり,同社代表取締役社長の加藤幸輔氏は,次のように述べている。
 「患者さんやご家族にとって,手術がより安全に行われることは一番の願いです。さらに手術後も合併症に悩まされることなく,速やかに回復して自宅に帰ることが出来るような,質の高い医療が受けられることは,何より望ましいことです。手術が安全に行える環境を,循環管理によって維持している麻酔科医や看護師などの医療従事者を,エドワーズの技術によってサポートすることで,患者さんがすこやかな日常生活を取り戻す一助となることを願っています。」

【参考文献】
1. Bogert LW et al. Anaesthesia. 2010;65(11):1119-25.
2. CardioQ-ODM oesophageal Doppler monitor. National Institute for Health and Clinical   
Excellence. NICE medical technology guidance 3. 2011
3. Grocott MP, et al.  Br J Anaesth. 2013;111(4):535-48.
4. Brienza N, et al. Crit Care Med. 2009;37(6):2079-90.
5. Dalfino L, et al. Crit Care. 2011;15(3):R154
6. Giglio MT, et al. Br J Anaesth. 2009 ;103(5):637-46.
注:1の文献はクリアサイトの前身である製品ccNexfinと肺動脈カテーテルとの比較論文。クリアサイトはccNexfinと同じアルゴリズムを用いて心拍出量を算出している。ccNexfinはBMEYE社の製品で,同社は2012年にエドワーズの一員となっている。

 

●問い合わせ先
エドワーズライフサイエンス(株)
TEL 03-6894-0500
http://www.edwards.com/jp/

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