ゲティンゲグループ・ジャパン,The Heart Surgeon’s Cookbook : 心臓血管外科医の人材不足問題の啓発および手技鍛錬の支援に向けた新たな取り組み

2024-1-11


世界的に著名な心臓血管外科医,ミシュラン星付きシェフ,心臓血管手術関連機器メーカーが,外科手術から着想を得たレシピ集を共同制作した。調理と外科手術の技能を融合した同レシピ集は,心臓血管外科医の卓越した手技にスポットライトを当て,当該領域での人材不足問題の啓発を目的としている。

ゲティンゲグループ・ジャパン(以下ゲティンゲ)は,外科手技に着想を得た「The Heart Surgeon’s Cookbook-心臓血管外科医のレシピ集-」を発表した。本書を通じ,心臓血管外科医のスキルの高さに焦点を当て,心臓血管外科における人材育成の課題を啓発することを目的としている。中でも,4月からの医師の働き方改革関連法適用による心臓血管外科医における人材不足加速のリスクを 心疾患治療におけるスキルロス問題」と題し,一層トレーニングや業務効率化などの支援の必要性を説いていく。

この料理本はニューヨーク在住の心臓血管外科・胸部外科医のニラヴ・パテル氏と,ニューヨークのミシュラン二つ星レストランAskaの創設オーナーのフレデリック・ベルセリウス氏のコラボレーションで実現した。

料理本に含まれる9つのレシピでは,外科医の手技やメンタルコントロールの向上効果を狙った手術室外で取り組める意外性と遊び心のある訓練法が提案されている。各レシピは,精緻な切開,狭い箇所への注入,縫合,解剖,反復など繊細な手先の動きと集中力を試す内容。

魚で花を模るレシピを例にとり,料理が手術の技量向上に役立つ理由について,パテル氏はこのように述べている。
「魚をさばく前に手で触れて確認する行為は,外科手術において切開の前に私たちが組織に触れて確認する作業と似ています。筋腱の解剖を知ることが外科手術の基本です。魚の身から花びらを作る作業はメスでの精緻な切開訓練になります。花びらとキャビアの盛り付けは手先の繊細な動きが要求され,組織を損傷することのないように細心の注意が払う必要のある手術の感覚のシミュレーションになります。」

心臓病患者が増える中,心臓血管外科において次世代の育成は喫緊の課題である。日本胸部外科学会が2021年に医師1,533名に実施した医師の働き方改革に関するアンケート調査によれば,3人に1人以上が 手術技量の向上が困難になる」と回答し,54%が 人材育成が困難になる」と回答している。1)

本書制作の背景について,ゲティンゲグループ・ジャパンの代表取締役社長の長澤悠子氏はこのように述べている。「多くの場合,術後の管理を担う若手の先生方は,手術技量向上の時間が十分確保できない上に,働き方改革によって,関わることができる臨床時間や手術件数の減少に伴う技量維持や教育機会への影響が懸念されています。医療の質の維持に貢献するためにも,今回の”Cookbook”にとどまらず,心疾患治療に携わる皆様のトレーニング機会をサポートしていきます。」

1)2022年8月 医師の働き方改革に対する胸部外科医の展望」アンケート調査,日本胸部外科学会

ゲティンゲについて
Getingeは,すべての人と地域社会が最善のケアを受け得ることを願い,病院やライフサイエンス関連施設に,臨床結果の向上と最適なワークフローの実現を適える製品・ソリューションを提供している。その領域は,集中治療,心臓血管手術,手術室,滅菌再生処理,ライフサイエンスといった多様な領域にわたる。Getingeは,世界で10,000人以上の従業員を擁し,製品・ソリューションは135か国以上の国で使用されている。

ニラヴ・C・パテル氏について
ニラヴ・C・パテル氏はインドで育ち,Baroda Medical College で医学の学位を取得した。その後,3 カ国にわたり医学研修を受けられた。現在パテル氏は,Northwell Health のロボット手術ディレクターであり,ニューヨーク州 Lenox Hill 病院の心臓血管および胸部手術部門の副会長を務めている。パテル氏は毎年 350 件ほどの手術をこなしている。

フレデリック・ベルセリウス氏について
フレデリック・ベルセリウス氏はスウェーデンのストックホルムで育ち,2000 年にニューヨークに移住後,Aquavit や Per Se 等のレストランで働いた。2012 年,ベルセリウス氏はニューヨークのブルックリンで Aska をオープンし,1 年も経たないうちに初のミシュランの星を獲得。2016 年の夏,Aska はリニューアルオープンし,ミシュランの 2 つ目の星を獲得していり。このレストランでは,米国北東部の食材とスカンジナビアの影響を重視した独特な食事体験を提供している。
 

「働き方改革」による「心疾患治療におけるスキルロス」について
2024年4月1日より医療従事者にも適用される働き方改革関連法により,残業時間規制が強化されることで物流や医療など基盤を支える業界での人材不足の加速などの影響が予測されている。医師やスタッフの奉仕的な長時間労働の改善が期待される一方,慢性的な人手不足を抱える中で増員も容易ではなく,医療水準の維持の難しさが懸念されている。また,臨床時間が減少することは能力育成に割かれる時間の減少を意味し,各病院や教育機関は限定された時間内での若手医師の訓練機会の提供を求められている。
 

The Heart Surgeon’s Cookbook -心臓血管外科医のためのレシピ集-について
https://www.getinge.com/jp/campaigns/cookbook/

 

●問い合わせ先
ゲティンゲグループ・ジャパン(株)
https://www.getinge.com/jp/campaigns/cookbook/


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