ITEM2017 トーレック ブースレポート 
医用X線装置の安全・適正な使用と精度管理に貢献する各種ツールを取りそろえ,来場者にアピール


2017-4-24


トーレックブース

トーレックブース

医療におけるX線の適正使用に貢献する製品を豊富にそろえるトーレックは,医用X線装置の“精度管理”と“医療被ばく管理”を2つの柱に展示を展開し,安心・安全で被検者の負担の少ない医療に貢献するための提案を行った。医用X線測定器は半導体式インテリジェントX線測定器「RaySafe X2」,被ばく管理の製品は前回のITEM2016で新製品として紹介されたリアルタイム皮膚線量計「RD-1000」が中心に展示されたほか,X線乳房組織画像表示装置「MB-1024DR」やMRI用磁性体検出装置「フェロガード」などが幅広くラインナップされた。

●医療被ばく管理のための製品はリアルタイム皮膚線量計「RD-1000」を中心に展示

近年,低侵襲治療であるIVRへの関心が高まっているが,複雑で難易度の高い治療では手技時間が延長して透視時間が長くなることもあり,患者被ばく線量の増加が問題となる。そのような場合の患者被ばく線量測定に有用なのが,リアルタイム皮膚線量計RD-1000である。トーレックが開発し2016年に発表したRD-1000は,耐久性とX線透過性に優れた新開発のシンチレータ(蛍光素子)を採用した高輝度センサを患者の皮膚に直接貼り付けることで,皮膚入射線量をリアルタイムに測定することができる。センサは径20mmと非常にコンパクトで,かつケーブルには光ファイバー素材が採用されているため柔軟性があり,センサの取り付け位置の自由度を高めている。また,コンパクト設計の本体ディスプレイはタッチパネル方式が採用されており,操作をできる限り簡略化。画面をタッチするだけで測定値表示を線量率表示や積算線量表示に簡単に切り替えられるほか,専用ソフトウエアをインストールした既存のPCもしくは専用PCに測定データを転送して,表示や保存,分析を行うこともできる。本体ディスプレイは表面がフラットなため,清掃性にも優れている。

面積線量計「PD-9000シリーズ」も,RD-1000と同様に患者の被ばく線量管理を目的としているが,PD-9000は一般撮影装置や透視装置などの検出器に取り付けて使用する。常時取り付けておけるため撮影ごとの事前準備は不用なほか,面積線量,入射線量の測定がリアルタイムに同時に可能である。また,専用ソフトウエアを用いて,PCにて受診者ごとの吸収線量,面積線量,線量率,面積線量率のデータ管理を容易に行うことができる。

熱蛍光線量計(TLD)システム「TLD READER TD-1000」(以下,TD-1000)は,簡単な操作で放射線被ばく線量の高精度な測定と管理が可能なシステム。TLD素子にX線を照射することでエネルギーが蓄積され,それをTLDリーダーで読み取ることで放射線量を測定する。個人被ばく管理,施設放射線管理,環境測定などに使用可能であるが,現在は主に,ファントムに埋め込んで撮影条件ごとの線量測定などに使用されている。

患者に直接センサを取り付けて使用するリアルタイム皮膚線量計「RD-1000」

患者に直接センサを取り付けて使用する
リアルタイム皮膚線量計「RD-1000」

検出器に取り付けて測定する面積線量計「PD-9000シリーズ」

検出器に取り付けて測定する面積線量計
「PD-9000シリーズ」

 

熱蛍光線量計(TLD)システム「TLD READER TD-1000」

熱蛍光線量計(TLD)システム
「TLD READER TD-1000」

 

●精度管理のための製品は「RaySafe X2」などをラインナップ

精度管理のための製品は,レイセイフ社製の半導体式インテリジェントX線測定器RaySafe X2が中心に展示された。RaySafe X2は,大型のタッチスクリーンが採用されたベースユニットと,一般撮影・透視装置用,マンモグラフィ用,CT用,サーベイ用,ライト用の各センサで構成されており,一式そろえれば,すべての医用X線装置の測定が可能となる。検出器(CTを除く)に半導体積層式スタックセンサを採用したことでX線の測定感度がきわめて高く,センサに方向依存性がないため,X線がセンサに当たるように置いて照射するだけで簡単に測定することができる。また,スティック状のCT用センサは,ファントムに差して測定する。サーベイ用センサでは検査室の漏洩放射線や散乱線が測定可能なほか,ライトセンサでは画像診断用モニタの輝度や照度の測定が可能である。
また,同じくレイセイフ社製のマルチファンクションX線測定器「ThinX RAD」は,RaySafe X2よりもコンパクトかつ簡易的な製品で,本体そのものに照射を行うだけで,線量や線量率,照射時間などを測定することができる。

デジタルマンモグラフィでは繊細な画像が要求されるが,その精度管理のための製品として乳房撮影精度管理キット「MQAシリーズ」が展示された。MQAシリーズは,日本放射線技術学会の『乳房撮影精度管理マニュアル(改訂版)』に基づいた精度管理に適したX線測定器や各種ファントム(画像評価ファントムはオプション)など一式が,専用トランクケースにパッケージされている。

このほか,X線撮影装置やX線TVシステムなどの画像品質日常管理ツール「JSGIファントム」と,DIN規格に適合したIBA Dosimetry社製の「Primus L」も展示された。

半導体式インテリジェントX線測定器「RaySafe X2」(右)とマルチファンクションX線測定器「ThinX RAD」(左)

半導体式インテリジェントX線測定器「RaySafe X2」(右)とマルチファンクションX線測定器
「ThinX RAD」(左)

 

X線画像品質日常管理用ツール「JSGIファントム」(右)とIBA Dosimetry社製の「Primus L」(左)

X線画像品質日常管理用ツール「JSGIファントム」(右)とIBA Dosimetry社製の「Primus L」(左)

乳房撮影精度管理キット「MQAシリーズ」

乳房撮影精度管理キット「MQAシリーズ」

 

●X線乳腺組織画像表示装置「MB-1024DR」など,安心・安全な検査のための各種製品もアピール

精度管理や医療被ばく管理以外の製品では,X線乳腺組織画像表示装置「MB-1024DR」が注目を集めた。これは,マンモグラフィ検査後のバイオプシー検査時に,採取した組織をすぐにその場で撮影して画像表示するシステム。FPDを採用したコンパクトな設計となっており,マンモグラフィ撮影室に設置して使用することを目的としている。X線センサは高解像度かつ高精度で,吸引した組織を検査台にセットし撮影操作を行うと10秒程度で画像が表示されるため,石灰化した病変が確実に採取できているかをその場で確認することができる。これにより,再検査などが不要となり,患者の負担軽減につながる。

このほか,メトラセンス社製のMRI用磁性体検出装置「フェロガード」(ゲート型),「フェロガード・スクリーナ」(1本式)が紹介された。いずれもきわめて高感度なフラックスゲートセンサ技術が採用されており,最大3m離れた場所からでも磁性体を検知する。ゲート型のフェロガードは2本のセンサが独立しているため,ドアの幅にかかわらず設置可能である。また,1本式のスクリーナは,場所を選ばずに設置でき,センサの前で患者に1回転してもらうことで磁性体を検知する。

バイオプシー検査時に採取した組織をその場で画像表示する「MB-1024DR」

バイオプシー検査時に採取した組織を
その場で画像表示する「MB-1024DR」

 

 

●お問い合わせ先
トーレック株式会社
住所:神奈川県横浜市港北区綱島東5-6-20
TEL:045-531-8041
URL:http://www.toreck.co.jp/


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