ITEM2018 富士通 ブースレポート 
電子カルテと連携して放射線部門の業務を支援するPACS,RIS,周辺機器をアピール


2018-4-24

富士通


富士通ブース

富士通ブース

富士通は,同社のヘルスケアソリューションの豊富なラインアップの中から,PACS,レポート,RISなど放射線部門での読影や検査業務を支援するソリューションを中心に展示した。富士通では,国内でNo.1のシェアを持つ電子カルテシステムを中心に,クリニックから大規模病院まで,また病院内だけでなく地域包括ケアシステムから介護福祉システムまでトータルソリューションの提供でヘルスケアICT基盤の構築をめざしている。展示では,電子カルテとの連携や高い親和性を特長として開発された放射線部門システムとして,放射線治療業務支援の「HOPE LifeMark-治療RIS」,PACSの「HOPE LifeMark-PACS」,院内の部門システムのデータを統合管理,一括参照を可能にする統合ストレージ「HOPE LifeMark-VNA(仮称)」と「ユニバーサルビューア」などのソリューションを紹介した。また,ロボットを使った受付システムなど放射線部門の業務を支援するソリューションや造影剤注入器との連携機能など,基幹システムと連携する周辺機器やシステムについても紹介した。さらに,教育機関向けのソリューションとして,富士通のスーパーコンピュータによるシミュレーションデータを活用した3D心臓モデルのデモも行った。

●心臓の動きや働きを3Dでインタラクティブに確認できる「Heart Explorer」

2018年4月11日に発売された医療教育用の心臓ビューワ「FUJITSU ヘルスケアソリューション Heart Explorer(ハートエクスプローラー)」を出展した。Heart Explorerは,富士通のスーパーコンピュータ「京」を利用して研究開発を行ってきた“心臓シミュレータ”の出力データを使って,心筋の動きや血流,心電図など心臓の挙動を3Dモデルで観察できる医学部や看護学部などの教育機関向けソフトウエアである。標準心臓(健康な状態)と心筋梗塞の3Dモデルが用意されており,それぞれで心筋,血流(心臓内),大動脈血管,大動脈内血流,冠動脈・静脈などのデータを表示できる。3Dモデルは,CTなどのデータから生成されたもので精緻な心臓の動きを再現し,マウスによる拡大や回転,任意断面の表示といったインタラクティブな操作が行えるほか,疾患状態のシミュレーションや物理量を抽出したグラフ表示などが可能になっている。また,VR拡張機能によって,三次元立体視ディスプレイ(zSpace 200)とメガネによる立体視も可能で,ブースでは実際に自由に回転させて内部構造や心拍動の様子を観察できることをデモした。Heart Explorerの利点は,画像やテキストでは理解が難しい心臓の構造や動きを,3Dモデルで観察・分析できることだ。通常であれば観察できない,血流や興奮伝播の様子を可視化できるので,心筋の動き,梗塞が起こった場合の変化,心電図計測の仕組みなどを体感的に理解できる。

3Dによる心臓の心筋や心血管の動きを観察できるHeart Explorer

3Dによる心臓の心筋や心血管の動きを観察できるHeart Explorer

 

心筋を透過して血流や興奮伝播を観察可能

心筋を透過して血流や興奮伝播を観察可能

 

心電図計測をシミュレーションすることで仕組みを体感的に理解できる。

心電図計測をシミュレーションすることで仕組みを体感的に理解できる。

 

●電子カルテシステムと連携する「HOPE LifeMark 診療画像ソリューション」を展示

〈HOPE LifeMark-治療RIS〉
電子カルテシステムとの統合をコンセプトに開発された「HOPE LifeMark 診療画像ソリューション」では,チーム医療による放射線治療業務を支援する「HOPE LifeMark-治療RIS」を展示した。特長である電子カルテとの密接な連携を生かし,該当患者の治療RIS画面からワンクリックでカルテ起動が可能で,診察や照射前など必要な時にすぐにカルテの参照や記載が可能になる。画面は,放射線治療に必要な情報を1画面に集約,“治療歴”“原発部位”“プラン”“治療方針”などをタブで切り替えて参照できるほか,画面左に治療進捗を常に表示することで,情報の共有と業務の効率化を可能にしてチームによる安全で確実な照射をサポートする。また,医療安全のための機能として,確実な患者確認のため治療開始前に患者認証のウィンドウが表示され,バーコードなどによる認証を行わないと先に進めない仕組みを採用した。患者の基本情報の画面は照射室内などサブモニタにも表示でき,情報を確認しながら準備が行える。

〈RTビューワ〉
LifeMark-治療RISのオプションで提供される「RTビューワ」は,電子カルテなどの病院情報システムの端末でのDICOM-RTデータの参照を可能にする。抗がん剤との併用など放射線治療の適用が拡大する中で,内科や泌尿器科など診療科とのカンファレンスの際に院内の必要な場所で線量分布画像などが参照できる。

〈HOPE LifeMark-PACS〉
「HOPE LifeMark-PACS」は,横河医療ソリューションズとの共同開発によって電子カルテとの連携を強化した読影ビューワである。PACS側で選択して展開すると,該当患者のカルテが連動して立ち上がる機能を搭載。読影時にはカルテを参照するケースが多く,読影ビューワの連携ボタンから電子カルテを開く機能を設けることはあるが,それを一歩進めたもの。検査情報や処方内容などがすぐに確認できるため読影の質と効率性を向上する。そのほか,他科レポートの参照機能など,システム間連携を中心にした機能が強化されている。

放射線治療業務をサポートする「HOPE LifeMark-治療RIS」

放射線治療業務をサポートする「HOPE LifeMark-治療RIS」

 

タブ分けすることで患者の情報を1画面で確認可能

タブ分けすることで患者の情報を1画面で確認可能

 

医療安全に配慮した治療が行える患者認証画面

医療安全に配慮した治療が行える患者認証画面

 

治療計画装置の画像データを参照できる「RTビューワ」

治療計画装置の画像データを参照できる「RTビューワ」

 

電子カルテと連携して機能を強化した「HOPE LifeMark-PACS」

電子カルテと連携して機能を強化した「HOPE LifeMark-PACS」

 

●統合ストレージ「HOPE LifeMark-VNA(仮称)」や造影剤注入装置との連携をアピール

昨年のITEM2017でも参考展示された,院内のDICOM,非DICOM,レポートや検査情報などの診療データをベンダーにかかわらず統合的に管理するvendor neutral archive(VNA)を「HOPE LifeMark-VNA(仮称)」として紹介した。部門データの統合管理だけでなく,さまざまなフォーマットに対応したゼロフットプリントビューワである「HOPE LifeMark-VNAユニバーサルビューア」によって電子カルテ上でのデータ参照を可能にする。ブースでは,電子カルテシステム「HOPE EGMAIN-GX」のマルチビューワ機能で,ウィンドウの一つとしてユニバーサルビューアを表示し,電子カルテ内で各部門システムのデータ参照が可能になることをアピールした。
富士通では,電子カルテや放射線部門のシステムで多様化する検査業務をサポートするため,さまざまな周辺機器との連携も強化している。その一つとして,CTやMRIの造影検査で用いられる造影剤注入装置(根本杏林堂)と,RISとの連携の仕組みを実機を使って紹介した。RIS側から造影剤注入装置側に患者基本情報や体重,身長,検査部位のほか電子カルテのプロファイル情報から取り込んだ禁忌のデータなどを送信,検査後は注入装置の平均注入速度,最大圧力や造影剤名などを取得し,RIS側で管理する。手入力などで手間がかかっていた業務を効率化し,正確な情報管理が可能になる。

HOPE LifeMark-VNAによって院内のさまざまな画像データを電子カルテ上で参照可能HOPE LifeMark-VNAによって院内のさまざまな画像データを電子カルテ上で参照可能

HOPE LifeMark-VNAによって院内のさまざまな画像データを電子カルテ上で参照可能

 

造影剤注入器とRISの情報連携もアピール

造影剤注入器とRISの情報連携もアピール

 

●お問い合わせ先
社名:富士通株式会社
住所:東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター
TEL:03-6252-2572
URL:www.fujitsu.com

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