RSNA2014 富士フイルム - X-ray
最軽量で高画質化によって線量削減を実現する「CALNEO Smart」を展示

2014-12-4

富士フイルム

X線装置


CALNEO Smartをブースの中央で大きく紹介

CALNEO Smartをブースの中央で大きく紹介

RSNA 2014[第2日目:12月1日]

FUJIFILM Medical Systems(富士フイルム)は,2014年12月1日から日本での発売が始まったDR方式のカセッテタイプデジタルX線装置(以下,カセッテDR)の新製品「CALNEO Smart(米国製品名:FDR D-EVOⅡ)をブースの正面に据えて大きくアピールした。米国での販売はこれからとなるが,富士フイルムがこれまで販売してきたCALNEO Cシリーズ(米国ではFDR D-EVO)から大きく飛躍する製品として,来場者からも高い関心を集めた。

CALNEO Smartは,X線照射面側にTFTを圧着したISS方式の採用と新しいノイズ低減回路により高いDQEを実現し,これも新しく開発された画像処理ソフトウエア“Virtual Grid”と組み合わせることで,従来のCRでの撮影に比べて撮影時の線量を約1/4に削減することができる。また,パネルにはマグネシウム合金とシェル型フレームを採用し,軽量性と堅牢性を両立させた。重さは14インチ×17インチで2.6kgで,バッテリー交換タイプのパネルとしては世界最軽量となる。パネルの蛍光体は,温度などの環境変化に強いGOS(ガドリニウムオキサイドサルファ)と,X線変換効率に優れたCsI(ヨウ化セシウム)の2種類で,サイズは14インチ×17インチ,17インチ×17インチが提供される。

会場では,新しいパネルの形状や薄さをアピールするように,扇型にパネルが並べられ,どの角度から見てもデザインが印象づけられるようにディスプレイされた。また,CALNEO Smartの24cm×30cmの小型サイズのパネルも参考展示された。小型サイズは,CsIタイプのみの販売を予定しており,高画質パネルによる低線量撮影で小児領域の撮影に貢献することが期待される。

パネルは縁の部分からiPadのようなカーブがついた形状となっており,平面に置いた時の持ちやすさや撮影時の身体とベッドの間への挿入のしやすさなど,ハンドリングが向上している。また,パネルの四辺の中央にLEDランプが埋め込まれており,撮影時のセンターの確認や5色の色の変化を使ってパネルの識別などが行える。さらに,充電と収納を兼ねたクレードルにもLEDが搭載され,パネルの状態を光で知らせるなど,使い勝手を考慮したさまざまな工夫が取り入れられている。

また,富士フイルムの写真フィルムで培った技術と,グループ企業である富山化学工業の抗菌性能評価の技術を生かして開発した抗菌コート技術“HYDRO AG(ハイドロ エージ−)”を用いてパネル全体をコーティングすることで高い抗菌効果が得られ,清潔を保てるようになっている。HYDRO AGは,塗布膜の表面だけでなく,内部の抗菌剤からも銀イオンが供給されることで,従来の抗菌コートに比べて100倍の抗菌性能を実現している。HYDRO AGについては,感染症対策などの観点から医療機関側の関心も高く,製品への使用のみならず,検査室の床や壁への塗布など,さまざまな用途が考えられる。現在はまだ事業化されていないが,今後可能性を追究していくという。さらに,CALNEO Smartでは,IPX6(防水の国際規格)準拠,耐荷重310kgと,医療現場での過酷な使用環境に耐える性能を備えている。

従来のCALNEO CおよびCALNEO C SQのラインナップは継続して販売され,CALNEO Smartはパネルのハンドリングの機会が多い,病棟などの回診撮影での利用がメインになると考えられる。最初は,ビルトインタイプのCALNEO Flexに採用し,回診車のCALNEO Goには2015年夏頃の搭載を予定している。

CALNEO Smartの軽さとスマートな形状をアピールするディスプレイ

CALNEO Smartの軽さとスマートな形状を
アピールするディスプレイ

2.6kgとバッテリー交換式では最軽量。パネルを持つのは富士フイルムモダリティソリューション部前田達男次長

2.6kgとバッテリー交換式では最軽量。パネルを持つのは富士フイルムモダリティソリューション部
前田達男次長

   
24cm×30cmの小型サイズのパネルも参考展示

24cm×30cmの小型サイズのパネルも参考展示

CALNEO Smartのカラーリングに合わせたFDR Go(日本ではCALNEO Go)を参考出展

CALNEO Smartのカラーリングに合わせたFDR Go(日本ではCALNEO Go)を
参考出展

 

●散乱線推定と粒状性の除去でグリッドレス撮影を可能にするVirtual Gridを展示

Virtual Gridのプレゼンテーションには人だかりができた。

Virtual Gridのプレゼンテーションには
人だかりができた。

富士フイルムが国内で新たに発売したCALNEO Smart(米国製品名はFDR D-EVOⅡ)に搭載される,新しい画像処理ソフトウエアである“Virtual Grid”について,1つのコーナーを設けてグリッドレスの画像や被ばく線量低減の効果についてプレゼンテーションした。

Virtual Gridは,撮影部位や撮影条件などから散乱線成分を推定する“散乱線推定技術”を使用して作成された散乱線推定画像を元画像から除去することで,散乱線の影響を除き,コントラストを上げて画質を向上させる。さらにそれに加えて,線量が下がることで増えるノイズを除去して,粒状性成分を抑える画像処理技術によって,さらなる線量の低減が可能になった。4月のITEM 2014前のニュースリリースでは,グリッドレスの撮影を可能にする散乱線推定技術についての発表だったが,同社では粒状性処理についても同時に検証を進めており,その効果についてエビデンスが得られたことから9月から製品に搭載,CALNEO Smartの発売にあわせて技術的な発表を行った。

同社が行った胸部,腹部を想定したCD-RADファントムと人体を想定したアクリル板を用いた検証では,80kVでグリッドあり,グリッドなし,Virtual Gridでの計測を行ったところ,Virtual Gridでの低線量での画質の画質指数(IQF)が向上することが確かめられたという。展示では,Virtual Gridによる画質の向上の効果について,胸部や腹部の臨床画像を示して,実際の低線量撮影における画質の向上をアピールした。

Virtual Grid(右)による臨床画像(日本人の腹部)

Virtual Grid(右)による臨床画像(日本人の腹部)

大柄なアメリカ人の腹部画像。Virtual Grid(右)で画質が向上している。

大柄なアメリカ人の腹部画像。
Virtual Grid(右)で画質が向上している。

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