低被ばくCTをテーマに,第17回CTサミットが開催される

2013-8-2

CT


会場となった笹川記念会館

会場となった笹川記念会館

2013年7月27日(土),笹川記念会館(東京都港区)を会場に第17回CTサミット〔共催:CTサミット/第一三共(株),協力:インナービジョン〕が開催された。当番世話人は福島県立医科大学附属病院の村上克彦氏。前回から,「全国X線CT技術サミット」の名称を変更し,新たなスタートを切ったCTサミットは,今回から東京での定置開催となり,633名が参加した。定置開催初回の今回のテーマは,「低被ばくCTの最前線」。CTの技術開発において,いま最も重要なキーワードとなっている「被ばく低減」に焦点を当て,フレッシャーズセミナー,ランチョンセミナー,シンポジウム1・2,特別講演で,プログラムが構成された。開会にあたり挨拶した代表世話人の辻岡勝美氏(藤田保健衛生大学)は,昨2012年のCTサミット後に急逝した世話人の故・八町 淳氏(当時・長野赤十字病院)の功績を讃えた上で,その遺志を継ぎ,“Next Stage”としてCTサミットを発展させていきたいと述べた。また,東千葉メディカルセンターの梁川範幸氏が新たに世話人となったと紹介した。さらに,辻岡氏は,今回のテーマについて触れ,低被ばくの技術進歩によって,これまで開発が滞っていた新しい技術の開発が進む可能性があると,テーマに込めた思いを説明した。

参加者が列をつくる受付の様子

参加者が列をつくる受付の様子

ほぼ満席となった会場

ほぼ満席となった会場

 

当番世話人:村上克彦 氏(福島県立医科大学附属病院)

当番世話人:村上克彦 氏
(福島県立医科大学
附属病院)

代表世話人:辻岡勝美 氏(藤田保健衛生大学)

代表世話人:辻岡勝美 氏
(藤田保健衛生大学)

故・八町 淳氏の功績をたたえる辻岡氏

故・八町 淳氏の功績をたたえる辻岡氏

 

新任世話人:梁川範幸 氏(東千葉メディカルセンター)

新任世話人:梁川範幸 氏
(東千葉メディカル
センター)

総合司会:平野 透 氏(札幌医科大学附属病院)

総合司会:平野 透 氏
(札幌医科大学附属病院)

 

はじめに行われたフレッシャーズセミナーでは,産業医科大学病院の小川正人氏が座長を務め,「この数値独り歩きしてない? 〜数値の意味を押さえよう〜」をテーマに3題の講演が行われた。まず,藤田保健衛生大学病院の小林正尚氏が,「X線CTの被ばく量=6.9mSv?」と題して発表した。この講演では,福島第一原子力発電所事故以降,マスコミが報道した「CTの被ばく線量は6.9mSv」という数値の由来について,原子放射線の影響に関する国連科学委員会の「UNSCEAR 2000」,国際放射線防護委員会(ICRP)や医学放射線総合研究所の報告などを紹介。その上で,6.9mSvという数値の背景や誤差要因等を理解して啓発し,注意深く扱うことが求められるとした。

次いで登壇した福井大学医学部附属病院の石田智一氏は,「CT検査における管電圧設定の意義」と題して講演した。石田氏は,管電圧の設定に必要な知識について解説し,画像にどのような影響を与えるか説明した。さらに,実効エネルギーや体格の違いなど、実際の臨床において管電圧が与える影響について述べた上で,低電圧撮影,dual energy imaging,photon counting imagingについても解説を加えた。

フレッシャーズセミナー最後は,「今一度 SD10を考える」をテーマに,大阪医科大学附属病院の吉川秀司氏が登壇した。吉川氏は,まず自動露出機構であるCT-AECの開発の歴史を振り返った。そして,メーカーやスライス厚などにより異なるSD値について説明し,さらにwindow幅とSDの関係についても解説した。

フレッシャーズセミナー座長:小川正人 氏(産業医科大学病院)

フレッシャーズセミナー
座長:小川正人 氏
(産業医科大学病院)

小林正尚 氏(藤田保健衛生大学病院)

小林正尚 氏
(藤田保健衛生大学病院)

 

石田智一 氏(福井大学医学部附属病院)

石田智一 氏
(福井大学医学部附属
病院)

吉川秀司 氏(大阪医科大学附属病院)

吉川秀司 氏
(大阪医科大学附属病院)

 

この後,済生会中和病院の大沢一彰氏,梁川氏が座長となり,協賛企業によるランチョンセミナーが行われた。さらに,ランチョンセミナーの後には,シンポジウム1と2が設けられた。座長は,耳鼻咽喉科麻生病院の宮下宗治氏と広島大学病院の石風呂実氏。シンポジウム1では,「低被ばくCT 最前線(基礎編)」として,3題の発表が用意された。まず辻岡氏が,「低被ばくCTの性能評価」をテーマに講演した。辻岡氏は,最新の被ばく低減技術として,スキャン条件からのアプローチによるもの,再構成法からのアプローチによるもの,そのほかX-CAREやOrgan Dose Modulationなど,大きく3つに分けて解説。その上で,逐次近似応用再構成法,TV法,DTV法による画像ノイズの低減効果や鮮鋭度についての評価結果について報告した。

ランチョンセミナー座長:梁川範幸 氏(東千葉メディカルセンター)

ランチョンセミナー座長:
梁川範幸 氏
(東千葉メディカル
センター)

ランチョンセミナー座長:大沢一彰 氏(済生会中和病院)

ランチョンセミナー座長:
大沢一彰 氏
(済生会中和病院)

 

シンポジウム座長:宮下宗治 氏(耳鼻咽喉科麻生病院)

シンポジウム座長:
宮下宗治 氏
(耳鼻咽喉科麻生病院)

シンポジウム座長:石風呂 実 氏(広島大学病院)

シンポジウム座長:
石風呂 実 氏
(広島大学病院)

 

続いて「CT画像再構成の現状を理解しよう!」と題して,栃木県立がんセンターの萩原芳広氏が発表した。萩原氏は,解析的再構成法,代数的再構成法,統計的再構成法などの画像再構成法について説明した上で,CTメーカー各社の被ばく低減技術の仕組みについて解説した。次いで講演した川崎幸病院の石田和史氏は,「PhyZiodynamicsって何者? —paradigm shiftを起こせるか!?—」と題して,ザイオソフト(株)のPhyZiodynamicsと逐次近似応用再構成法を組み合わせたSD低減について解説。さらに4D-CTについても腹部大動脈ステントグラフト術での症例画像を提示して,その有用性を紹介した。

辻岡勝美 氏(藤田保健衛生大学)

辻岡勝美 氏
(藤田保健衛生大学)

萩原芳広 氏(栃木県立がんセンター)

萩原芳広 氏
(栃木県立がんセンター)

石田和史 氏(川崎幸病院)

石田和史 氏
(川崎幸病院)

 

シンポジウム2「低被ばくCT 最前線(臨床編)」では,1番目の発表として,土谷総合病院の舛田隆則氏が,「小児心臓CTの被ばく線量低減技術」と題して登壇した。舛田氏は,被ばく線量を低減させるための低管電圧撮影について,CT値に与える影響などを解説したほか,CNRを指標としたCT-AECの使用を説明した。さらに,逐次近似応用再構成法を用いて,画質を下げることなく一般撮影の被ばく線量レベルで検査を行えていることを紹介した。続いて登壇した秋田県立脳血管研究センターの大村知己氏は,「頭部領域における4D imaging」をテーマに発表した。大村氏は,CTパーフュージョンにおいて,精度を考慮した線量低減のために,スキャンタイミング間隔の適正化,1時間あたりの線量の適正化,管電圧による定量値への影響を解説した。この後,シンポジウム2の最後の発表に,日本大学医学部附属板橋病院の市川篤志氏が登壇。「肝臓Perfusion CTの現状と展望」をテーマに発表した。市川氏は,逐次近似応用再構成法を用いることで,従来診断に不向きとされていた画像が使用できるようになったことや,body registrationによって10〜20%の被ばく低減をできる可能性があることなどを報告した。

舛田隆則 氏(土谷総合病院)

舛田隆則 氏
(土谷総合病院)

大村知己 氏(秋田県立脳血管研究センター)

大村知己 氏
(秋田県立脳血管
研究センター)

市川篤志 氏(日本大学医学部附属板橋病院)

市川篤志 氏
(日本大学医学部附属
板橋病院)

 

シンポジウムの後には,特別講演が行われた。「動態CT —撮影技術と解析技術の進歩—」と題して,大原綜合病院附属大原医療センター副院長の森谷浩史氏が講演した。森谷氏は,胸部領域におけるHRCTの診断法について解説した上で,Area Detector CTによる動態撮影を取り上げ,被ばく低減技術などにより超低線量撮影が可能になっていると述べた。また,動態CTにおけるPhyZiodynamicsの解析技術についても取り上げ,形態の経時的変化を観察する上で有力なツールであると説明した。

森谷浩史 氏(大原綜合病院附属大原医療センター)

森谷浩史 氏
(大原綜合病院附属
大原医療センター)

 

なお,次回第18回CTサミットは,済生会中和病院の大沢一彰氏が当番世話人を務め,2014年7月26日(土)に今回と同じ笹川記念会館を会場として開催される予定である。

協賛企業(順不同)
アクロバイオ,ザイオソフト/アミン,クオリタ,シーメンス・ジャパン,第一三共,テクマトリックス,東芝メディカルシステムズ,日本メドラッド,根本杏林堂,日立メディコ,フィリップスエレクトロニクスジャパン,AZE,GEヘルスケア・ジャパン

●機器展示

機器展示

 

機器展示
機器展示

 

全プログラム終了後には,ポスター展示の表彰が行われた。11題のうち,金賞は富山労災病院の野水敏行氏ほかの「四肢骨領域における管電圧の違いによる画像変化の検討」が選出された。このほか,銀賞は宮城県立がんセンターの後藤光範氏ほかの「イメージングプレートを使用した回転方向オーバースキャンの測定」,銅賞は福島県立医科大学附属病院の二瓶友美氏ほかの「X線CTにおける回転照射中の平均実効エネルギー面内分布の測定」,デザイン賞は県立広島病院放射線診断科の高橋正司氏ほかの「未破裂脳動脈瘤におけるひはく部のCFDによる解析」が受賞した。

ポスター展示

ポスター展示

 

ポスター展示の受賞者記念撮影 左から,辻岡氏,野水敏行氏,高橋正司氏,後藤光範氏,二瓶友美氏

ポスター展示の受賞者記念撮影
左から,辻岡氏,野水敏行氏,高橋正司氏,後藤光範氏,二瓶友美氏

 

●金賞
5「四肢骨領域における管電圧の違いによる画像変化の検討」
(富山県)富山労災病院・野水敏行氏ほか

金賞 5「四肢骨領域における管電圧の違いによる画像変化の検討」 (富山県)富山労災病院・野水敏行氏ほか
金賞 5「四肢骨領域における管電圧の違いによる画像変化の検討」 (富山県)富山労災病院・野水敏行氏ほか

 

●銀賞
11「イメージングプレートを使用した回転方向オーバースキャンの測定」
(宮城県)宮城県立がんセンター・後藤光範氏ほか

銀賞 11「イメージングプレートを使用した回転方向オーバースキャンの測定」 (宮城県)宮城県立がんセンター・後藤光範氏ほか
銀賞 11「イメージングプレートを使用した回転方向オーバースキャンの測定」 (宮城県)宮城県立がんセンター・後藤光範氏ほか

 

●銅賞
9「X線CTにおける回転照射中の平均実効エネルギー面内分布の測定」
(福島県)福島県立医科大学附属病院・二瓶友美氏ほか

銅賞 9「X線CTにおける回転照射中の平均実効エネルギー面内分布の測定」 (福島県)福島県立医科大学附属病院・二瓶友美氏ほか
銅賞 9「X線CTにおける回転照射中の平均実効エネルギー面内分布の測定」 (福島県)福島県立医科大学附属病院・二瓶友美氏ほか

 

●デザイン賞
2「未破裂脳動脈瘤におけるひはく部のCFDによる解析」
(広島県)県立広島病院放射線診断科・高橋正司氏ほか

デザイン賞 2「未破裂脳動脈瘤におけるひはく部のCFDによる解析」 (広島県)県立広島病院放射線診断科・高橋正司氏ほか
デザイン賞 2「未破裂脳動脈瘤におけるひはく部のCFDによる解析」 (広島県)県立広島病院放射線診断科・高橋正司氏ほか

 

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●問い合わせ先
第17回CTサミット
http://ctsummit.jp/

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