メディカルITセキュリティフォーラムが第1回セミナーを開催

2014-8-11

ヘルスケアIT


多くの医療・企業関係者が参加

多くの医療・企業関係者が参加

メディカルITセキュリティフォーラム(MITSF)は2014年8月9日(土),富士ソフトアキバプラザセミナールーム(東京都千代田区)において,第1回セミナーを開催した。一般社会において,顧客情報の流出やウイルス感染,乗っ取り・なりすましなどが問題になっているが,医療分野も例外とは言えない。地域包括ケアや地域医療連携において,複数の医療機関や介護施設間で,スマートフォンやタブレットなど持ち歩きのできるデバイスを利用して患者情報がやりとりされるようになってきたことにより,セキュリティの重要性は高まっている。このような状況を踏まえて,今年8月に設立されたMITSFは,サイバー攻撃の現状と,それに対する警察をはじめとした行政の対応やガイドライン,医療機関での取り組みといった情報を共有することを目的に設立された。当日は,代表を務める深津 博氏(愛知医科大学医療情報部部長・特任教授)の基調講演のほか,警察庁,厚生労働省の担当者が講演を行った。

まず,代表挨拶も兼ねて基調講演を行った深津氏は,MITSFの活動について紹介した。MITSFは,警察庁,厚生労働省の協力,企業会員の支援の支援を得て,病院や診療所,介護施設などの一般会員に対して,セミナーの開催を通じた啓発活動,ホームページでの情報発信のほか,コンサルテーションやソリューションを提供していくこととしている。深津氏は,2012年の産業別に見たデータ侵害状況において,医療分野が36%と最も多いというデータを示した上で,2013年に発生した医療機関に対する標的型攻撃の事例を挙げた。さらに,深津氏は,地域包括ケアの体制整備が進む中で,USBメモリやリモートアクセスでの情報共有といった,医療分野におけるセキュリティ上の課題の特徴を説明した。

次いで,警察庁警備局警備企画課課長補佐の山本貴之氏が登壇。「サイバー攻撃の脅威と対策」をテーマに講演した。座長は,MITSF発起人の一人である舟橋 信氏(デジタルフォレンジック研究会理事,警察庁OB)が務めた。山本氏は,政府は医療を重要インフラと位置づけており,サイバーセキュリティ対策については,事業者の責任において行われるが,政府も必要な支援をすると説明。サイバーセキュリティ対策のポイントとして,情報の重要性に応じ,機密性,完全性,可用性を確保することであると述べた。また,サイバー攻撃に対する警察の体制を紹介したほか,事業者との連携に関しても解説を行った。

代表:深津 博 氏(愛知医科大学)

代表:深津 博 氏
(愛知医科大学)

舟橋 信 氏(デジタルフォレンジック研究会)

舟橋 信 氏
(デジタルフォレンジック研究会)

山本貴之 氏(警察庁)

山本貴之 氏
(警察庁)

 

休憩を挟み,深津氏が座長を務めて,厚生労働省情報政策参事官室室長補佐の中安一幸氏が講演した。中安氏の講演テーマは,「医療における情報セキュリティについて」。中安氏は,2014年度の診療報酬改定にも盛り込まれた地域包括ケアについて触れ,その構築のために財政支援が行われ,地域医療連携ネットワークシステムの普及が進んでいると説明。患者の診療情報を多施設間で共有するために必要となる診療録の電子化について,e-文書法などの解説を行った。また,診療情報を医療政策などに二次利用するためのプライバシー保護といった医療分野における個人情報保護法に関しても言及した。

この後,MITSF事務局の一原武司氏が活動方針などを紹介した。MITSFは今後1年間に4回程度のセミナーを開催していく予定である。第2回は11月に大阪,第3回は2015年2月に名古屋,第4回は5月に東京での開催に向け,企画を進めている。また,分科会なども立ち上げていくことにしているほか,会員企業の協力を得て,有償・無償のコンサルテーションにも取り組む。

中安一幸氏(厚生労働省)

中安一幸氏
(厚生労働省)

一原武司 氏(事務局)

一原武司 氏
(事務局)

 

 

最近,民間企業による顧客情報の流出が大きなニュースとなり,医療分野における情報セキュリティも今まで以上に関心が高まっている。今回のセミナーにも多くの医療機関や企業の関係者が多く参加した。MITSFでは,医療機関の情報セキュリティ対策へのニーズを受け,今後活動を活発化させていくとしている。

 

●問い合わせ先
メディカルITセキュリティフォーラム
事務局
TEL 03-3525-4287
http://www.mitsf.jp/

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