最先端のヘルスケア事業などを紹介する「関西東芝グループ総合展」が開催

2014-9-8

東芝ヘルスケア

ヘルスケアIT


関西東芝グループ100周年の記念展示会

関西東芝グループ100周年の記念展示会

(株)東芝の関西支社は2014年9月4日(木),5日(金)の2日間,あべのハルカス(大阪府大阪市)で「関西東芝グループ総合展」を開催し,ヘルスケア事業などの最新技術,ソリューションをPRした。この展示会は,関西東芝グループの100周年記念事業の一環として催されたもの。同グループは,東芝の前身である東京電気(株)が1914年に大阪出張所を開設して以降,関西地方での事業を展開してきた。展示会は,「Human Smart Community by lifenology—the technology life requires」をテーマに,エネルギー,ストレージ,ヘルスケア分野の技術とソリューションが来場者に紹介された。また,両日ともに基調講演とセミナーが用意された。

関西東芝グループの歩みを紹介

関西東芝グループの歩みを紹介

 

4日の基調講演とセミナーでは,開始に当たり同社執行役常務関西支社長の田﨑 茂氏が挨拶を行い,関西東芝グループの歩みなどを紹介した。この後に行われた基調講演では,同社コミュニティソリューション社理事の篠原哲哉氏が「人々の暮らしを支えるコミュニティ・ソリューション Human Smart Community by lifenology」と題して,プレゼンテーションを行った。篠原氏は,まず人口増加と高齢化,エネルギー需要拡大,地球温暖化の進行,デジタルデータの増大といった世界のメガトレンドを説明。これらの課題を解決し,安心・安全・快適な社会である「Human Smart Community」の実現に向け,東芝として,効率的なエネルギーの活用,情報基盤を支えるストレージ,地域で生き生きした生活・ヘルスケアの好循環のための技術・ソリューションを提供していくと述べた。その上で,篠原氏は、効率的なエネルギーの活用として,基幹グリッドと連携した地域エネルギーマネジメントなどを紹介。情報基盤を支えるストレージについて,M2M技術の活用といった今後の展開を解説した。篠原氏は,健康で生き生きとした生活・ヘルスケアの好循環について,予防,診断・治療,予後・介護,健康増進の分野における技術とソリューションも説明した。さらに,篠原氏は,すでに成果を上げている「よこはまスマートシティプロジェクト」,神奈川県川崎市に開設した「スマートコミュニティセンター」「宮古島全島EMS実証プロジェクト」などを取り上げた。このほかにも篠原氏は,関西地方で進めている「茨木スマートコミュニティ」も紹介した。

田﨑 茂 氏(執行役常務関西支社長)

田﨑 茂 氏
(執行役常務関西支社長)

篠原哲哉 氏(コミュニティソリューション社理事)

篠原哲哉 氏
(コミュニティソリューション社理事)

 

 

次いで行われたセミナーでは,ヘルスケアに関する3テーマのプレゼンテーションが設けられた。まず,同社ヘルスケア社ヘルスケアIT推進部部長の西原栄太郎氏が,「東芝が目指すヘルスケアの姿と具体的な取り組み」と題し,ヘルスケア事業展開を紹介した。西原氏は,同社のヘルスケアビジョンとして,「より快適に,より安心に,より幸せに」「『みんなが健康でいきいき生活できる社会』の実現を目指す」「広範囲の技術を融合する“ニュー・コンセプト・イノベーション”を推進」「個人,家族,社会のヘルスケアに貢献する商品・サービスの提供」を挙げた。そして,これらの具体的な目標として,「診断・治療」においては病気を早期に発見し,患者さんの負担を減らすこと,「予防」では,日常の暮らしの中で病気の発症や重症化リスクを軽減すること,「予後・介護」については病気やけがの治癒後のフォローアップや生活を支援すること,「健康増進」では,食・水・空気などの生活環境を安心・安全にして,心と体の健康をサポートすることであると説明した。その上で,ヘルスケア事業のコンセプトとして,「Data-driven Healthcare」を挙げて,ビッグデータを解析し,そのデータを先制医療や個別化医療,個別化介護ケア,健康増進のソリューションに生かしていく考えを示した。さらに,西原氏は,「予防」「診断・治療」「予後・介護」「健康増進」のそれぞれの取り組みを紹介した。「予防」では,「東芝活動量計(WERAM1100)」や「Silmee」などのセンシング技術を用いたウエアラブルデバイスによる健康管理などを解説。「診断・治療」としては,東芝メディカルシステムズ(株)ADCT「Aquilion ONE」などのほか,被ばく低減技術“AIDR 3D”やMRIの静音化技術“Pianissimo”,非造影撮像法の“Time-SLIP”を紹介した。このほか「予後・介護」として多職種連携を支援する「音声つぶやきSNS」,「健康増進」としてシニア向け在宅サービス「大人の自由時間」などを取り上げた。

西原栄太郎 氏(ヘルスケア社ヘルスケアIT推進部)

西原栄太郎 氏
(ヘルスケア社ヘルスケアIT推進部)

   

 

続いて,「東芝植物工場事業への取り組み」と題し,同社新規事業開発部戦略企画担当グループ長の有賀英雄氏が横須賀事業所(神奈川県横須賀市)の半導体工場を造り替えた「クリーンルームファーム横須賀」での野菜生産について説明した。この植物工場は2014年10月下旬からレタスやミズナなどの出荷を開始する予定。食の安全を担保しているほか,半導体製造技術を生かしており品質にバラツキがなく,食育パラメータ制御により誰でもおいしく食べられる野菜が提供できるという。また,柔軟な生産ライン設計により,ニーズに対応した多品種生産が可能である。グループの広範囲な技術を融合した“ニュー・コンセプト・イノベーション”で生活環境を安心・安全に整備する健康増進分野への取り組みである。

有賀英雄 氏(新規事業開発部戦略企画担当)

有賀英雄 氏
(新規事業開発部戦略企画担当)

   

 

セミナーの最後は,同社ヘルスケア社ウェルネス推進部ライフサポート部部長の伊集院明宏氏が,「ICTで拡がる シニア向けライフサポートサービス『大人の自由時間』」をテーマにプレゼンテーションした。伊集院氏は,超高齢者社会が進むわが国の状況を説明。さらに,タブレットなどを活用して健康管理を行うほか,ショッピングなどサービスを利用できる「大人の自由時間」について紹介した。「大人の自由時間」は,事業者によってはショッピング以外にも宅配や映画・音楽の視聴などのサービスを提供する。また,離れた場所で暮らす家族が,利用者の健康状態をチェックするといったことも可能である。

伊集院明宏 氏(ヘルスケア社ウェルネス推進部ライフサポート部)

伊集院明宏 氏
(ヘルスケア社ウェルネス推進部ライフサポート部)

   

 

これらのセミナーで紹介された技術・ソリューションは展示会でもPRされた。画像診断装置だけでなく,ウエアラブルデバイスやビッグデータ解析,SNSのヘルスケア事業を通じ,安心,安全,快適な社会を実現する「Human Smart Community」に向けた同社の取り組みは,今後さらに注目されるだろう。

ヘルスケア事業のプレゼンテーションが行われた基調講演・セミナー会場

ヘルスケア事業のプレゼンテーションが行われた
基調講演・セミナー会場

 

●ヘルスケア事業の最新技術・ソリューション

東芝のヘルスケア事業ビジョン

東芝のヘルスケア事業ビジョン

 

きれい℃ナビ
東芝が開発したBluetooth搭載の基礎体温計で基礎体温を検温。そのデータをスマートフォンに転送し,専用アプリで体温を管理できる。
楽天(株)と共同で美容や健康に役立つ情報提供サービスを展開。

きれい℃ナビ Bluetooth搭載の基礎体温計で基礎体温を検温。そのデータをスマートフォンに転送し,専用アプリで体温を管理できる。

 

東芝活動量計(WERAM1100)
加速度センサーを搭載した腕時計型デバイス。腕に装着するだけで歩数や移動距離,消費カロリー,睡眠時間を記録し,Bluetooth通信でスマートフォンにデータを転送し,健康管理に役立てられる。本体重量は27g,連続稼働時間は14時間。

東芝活動量計(WERAM1100) 加速度センサーを搭載した腕時計型デバイス。腕に装着するだけで歩数や移動距離,消費カロリー,睡眠時間を記録し,Bluetooth通信でスマートフォンにデータを転送し,健康管理に役立てられる。本体重量は27g,連続稼働時間は14時間。

 

Silmee
小型のデバイス「Silmee Bar type」をゲルで胸部に装着することで,心電位,脈波,3軸加速度,皮膚温を同時に連続的に測定する。データは内部保存され,Bluetooth通信でAndroid OSのタブレットやスマートフォンに送信される。自律神経解析や睡眠解析などを行え,タブレットやスマートフォン上で,グラフ化された結果を見ることができる。Silmee Bar typeは,重量14.6g,24時間連続使用が可能。健康増進や予防の分野での活用が期待される。

Silmee

 

大人の自由時間
健康管理のほか,見守りシステムの機能も有したシニア向けの在宅サービス。体重や血圧,歩数などをタブレットやPCなどから入力し,日々の健康状態を管理。Bluetoothを搭載し,規格に対応した体重計や血圧計ならば,データを自動的に記録する設定もできる。また,服薬の時間などを音声で知らせる機能もある。これらの情報を遠隔地に住む家族も,PCなどから参照することが可能である。また,利用者がショッピングや映画の配信,食事の宅配といったサービスを受けられる。利用に当たっては,タブレットと設置費用のほか,月額利用料を支払う。

大人の自由時間

 

音声つぶやきSNS
地域包括ケアにおいて,多職種間で情報を共有できるSNS。スマートフォンの音声認識機能を用いて,患者・介護者の情報をつぶやき,タイムライン表示する。画像データも添付することができ,きめ細かな情報を,視覚的にわかりやすく共有することが可能である。すでに京都大原記念病院でも運用が始まっている。今後はつぶやきの中からキーワードを自動抽出して,その情報を分析できる機能が追加される予定である。

音声つぶやきSNS

 

DNA検査システム
現在,製品化に向けて開発が進むDNA検査システムは,独自の電流検出型DNAチップを用いて,トータル2時間程度で簡単・迅速に遺伝子検査を行える。細菌やウイルス,動植物品種の識別を行え,1回に30遺伝子を検査できる。

DNA検査システム

 

呼気分析装置(東芝新規事業開発部)
呼気の成分を分析し,その数値から個人の健康状態を把握できる装置。例えば,呼気に含まれ るアセトンから脂肪酸代謝の情報を得て,肥満や糖尿病対策に役立てることができる。従来の検査よりも短時間,容易に分析が可能で,スポーツクラブなどでの 健康管理といった用途での利用が想定されている。

呼気分析装置

 

ルネキャット(RENECAT)(東芝新規事業開発部)
光触媒の技術を用いた消臭・除菌製品。スプレーを塗布し,室内光を当てるだけで,臭いの成分を分解するほか,除菌を行う。一般的な消臭・除菌剤と異なり,光が当たっているかぎり,臭いの元を次々と分解するので,効果が長持ちする。医療機関の壁などにスプレーをすることで,清潔な状態を長時間保つことが可能である。

ルネキャット(RENECAT)

 

植物工場(東芝新規事業開発部)
水・照明・空調,半導体生産管理などの社内技術を応用し,ほぼ無菌状態のクリーンルームの植物工場で生産,長期鮮度保持が可能な無農薬野菜を提供することができる。

植物工場

 

医療用裸眼3Dディスプレイ「HyperViewer」(東芝メディカルシステムズ)
Aquilion ONEのオプションとして提供されている裸眼3Dディスプレイ。血管や臓器などの3D画像をグラスレスで観察でき,直感的な理解に役立つ。複数人が同時に観察可能なため,術前シミュレーションなどに有効である。

医療用裸眼3Dディスプレイ「HyperViewer」

 

●問い合わせ先
株式会社東芝
関西支社総合営業部
TEL 06-6130-2118

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