富士フイルムメディカル50周年記念セミナー
Virtual Gridやトモシンセシスなど最新の画像処理技術について講演

2015-6-25

富士フイルム


50周年記念セミナーは7,8月を中心に全国で開催される。

50周年記念セミナーは7,8月を中心に全国で開催される。

富士フイルムメディカルは今年創立50周年を迎えるが,それを記念して同社の最新技術や製品の紹介,ユーザーからの使用経験,導入報告を中心とした記念セミナーを全国で開催している。2015年6月20日(土)には,JP TOWER Hall & Conference(東京都千代田区)で「FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2015 in 東京〜未来に向かって進化し続けるX線画像診断システム」が開催された。
開催に当たって挨拶した同社取締役常務販売統括本部の杉本和繁部長は,「富士フイルムメディカルは1965年に設立,医療用X線フィルムを主力製品としてきた。デジタル化の波の中で売上が減少したが,その危機を乗り切る基礎となったのが他社に先駆けて開発し製品化したFCRである。このFCRで培った技術が,その後のDRやマンモグラフィ,PACSなど,さまざまな領域の製品に生かされている。この50年間で,製品やサービスの販売を通じて得たのはユーザーとの強いつながりであり,それが富士フイルムメディカルの成長の基盤となっている。次の50年をめざして臨床現場のニーズを把握し,よい製品・サービスを提供していきたい」と述べた。

杉本和繁 氏(富士フイルムメディカル)

杉本和繁 氏
(富士フイルム
メディカル)

   

 

セミナーでは,第1部として,最初に富士フイルムR&D統括本部画像技術センターの山田雅彦氏が,「Fuji Computed Radiography 進化の系譜 〜進化する画像処理技術」と題して,FCRからDRへ,そしてVirtual Gridに至る画像処理技術の“進化”について講演した。山田氏は,富士フイルムの画像処理技術では,安定性と高画質,高画質と簡単さの両立をめざして開発が進められてきたとして,安定性と高画質では,年代ごとに“濃度安定化処理”,“アン・シャープマスク処理”,“マルチ周波数処理”などの技術を挙げて紹介した。これらの技術は医療画像に留まらず,民生用のデジタルガメラの撮影処理にも応用されている。さらに,簡単さを両立させるために開発された最新の画像処理技術である「Virtual Grid」について,グリッドレス撮影画像の画質を改善するための散乱線推定技術と粒状性改善処理の技術的な解説を行った。

山田雅彦 氏(富士フイルムR&D統括本部)

山田雅彦 氏
(富士フイルムR&D
統括本部)

田所秋宏 氏(日本大学医学部附属板橋病院)

田所秋宏 氏
(日本大学医学部附属
板橋病院)

 

 

続いて,日本大学医学部附属板橋病院中央放射線部の田所秋宏氏が,「Virtual Gridがポータブル撮影を変える!〜被ばく低減は可能?」について,救命救急センターに導入されたポータブル撮影装置でのVirtual Gridの使用経験を報告した。同院の救命救急センターでは,専用の無線LAN回線によるオーダ受信から画像転送まで可能なワイヤレス環境を構築し,2台のポータブルX線撮影装置で撮影を行っている。Virtual Gridの導入によって,パネルの軽量化が可能で業務の負担軽減し,画質の向上と安定した撮影が可能になった。Virtual Gridを使った時の被ばく線量低減については,リアルグリッド使用時と比較して検討を行ったところ,解像度特性(MTF)とノイズ特性(NNPS)からは30%程度の低減が可能であり,コントラスト特性(CNR)の検証では約50%低減しても,ほぼ同等の画質が得られることがわかった。田所氏は,Virtual Gridを使ったグリッドレスのFPDによる救命救急センターでの運用について,斜入の影響やコントラストのバラツキがなくなり画質が安定したことのメリットを挙げた。

第2部は,国立病院機構東名古屋病院の遠藤登喜子氏による「トモシンセシス画像への期待 〜デジタルマンモグラフィの最新情報2015」が行われた。遠藤氏は,最初に乳房画像について,スクリーンフィルム(SF)からCRのハードコピーに,そしてソフトコピーへと変遷した歴史を振り返った。1997年に高感度・高コントラストのSFが開発され,これがSFによるマンモグラフィ診断の主流となった。その後のデジタル画像においても,各メーカーがSFを基準として画質を追究してデジタル化が進んだ。その一方で,遠藤氏は現在のマンモグラフィのモニタ診断では,通常よりも高輝度,高画質のモニタを使っているにもかかわらず,読影医には腫瘤の濃度勾配が失われているような感覚があり,不安があるという。そういったモニタ診断への不安を補い,さらに進歩させる技術がトモシンセシスではないかとして,富士フイルムと進めているトモシンセシスの開発と検証の成果について,症例を交えて紹介した。

 
遠藤登喜子 氏(国立病院機構東名古屋病院)

遠藤登喜子 氏
(国立病院機構
東名古屋病院)

   

 

●機器展示
ロビーではシステム展示が行われ,セミナーで取り上げられた,デジタルマンモグラフィ「AMULET Innovality」で撮影されたトモシンセシス画像,Virtual Gridを用いた胸部,腹部,骨盤の臨床画像などをモニタで紹介し,「CALNEO Smart」シリーズなどを展示した。

AMULET Innovalityでのトモシンセシス画像を紹介

AMULET Innovalityでのトモシンセシス画像を紹介

胸部や骨盤などVirtual Gridによる処理画像をアピール

胸部や骨盤などVirtual Gridによる処理画像をアピール

   
CALNEO Smartの各サイズのパネルを展示

CALNEO Smartの各サイズのパネルを展示

 

 

●問い合わせ先
富士フイルムメディカル(株)
マーケティング部
TEL 03-6419-8033
http://fms.fujifilm.co.jp/

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