シーメンスヘルスケア事業戦略説明会 
新組織体制で医療機関の価値を高めるサービスの提供に注力

2016-2-9

シーメンスヘルスケア


2015年10月に就任した森秀顕代表取締役社長兼CEO

2015年10月に就任した
森秀顕代表取締役社長兼CEO

シーメンスヘルスケア(株)は,2016年2月4日(木)に本社にて事業戦略説明会を開催し,代表取締役社長兼CEOの森秀顕氏が,新たな組織体制,日本における戦略と方向性などについて説明を行った。シーメンスヘルスケアは,独シーメンスAGの組織再編に伴い,2015年10月にヘルスケア事業を分社化して,経営を含め独立性を高めて新たなスタートを切った。

森氏は,最初にシーメンスヘルスケアの事業の概略について述べ,ワールドワイドの2015事業年度(2014年10月〜2015年9月)の売上高は129億ユーロ(約1兆7700億円)で,利益率は16.9%となった。地域別の売上では,日本を含むアジア・オセアニアが急速に伸びており,全体の1/4を占めるまで成長していることを紹介した。さらにシーメンスヘルスケアでは,研究開発費に10億1000万ユーロ,売上高の8.1%を投資しており,森氏はこれがシーメンスのDNAであるイノベーションを守る基礎となっていると述べた。

シーメンスヘルスケアのグローバル組織体制は,従来,イメージング&セラピー(CT,MRIやイメージングITなど),クリニカルプロダクト(X線や超音波装置),ダイアグノスティックス(臨床検査)の3部門とそれを横断するカスタマーソリューションズとなっていたが,新体制では図のように組織再編された。画像診断をベースにして治療領域への先進的なアプローチを行う「アドバンストセラピー」や,今後もさらなる成長が期待される「超音波」をひとつの部門として設けたのが特徴だ。さらに新設されたサービス部門は,従来のカスタマーサービスとは異なり,「シーメンスが提供する価値を製品から,サービスにウエイトを置くための組織であり,価値の高いサービスの提供を総括的に行うための組織」と森氏は説明する。具体的には,シーメンスが経営に参画し機器の運営や管理を継続的に提供する“Managed Equipment Service(MES)”,放射線科業務のアウトソーシング,複数のサイトの電子カルテや3DWSをデータのリンクするデジタルサービスなどを想定しているという。MESについては,新興国などを中心にすでに海外では展開されているとのことだ。

日本における戦略と方向性について森氏は,ビジョンとして「真に信頼されるパートナーとなること」を挙げ,「信頼されるパートナーとはどういうことか,単に製品を売る,コンサルティングをする,アドバイスをするだけでなく,顧客とリスクをシェアして一緒に経営できることが真のパートナーではないか」と述べた。そのためのミッションとして,シーメンスが従来から掲げているClinical,Operational,Financialの3つの側面から,開発やパートナーシップを提供していくとした。
さらに,特に日本市場は高齢化に伴う医療費の高騰,それに伴う医療政策の見直しによって急性期病床を中心に減少傾向にあり,今後さらに厳しい医療環境が予測されるとした。その中でシーメンスヘルスケアの今後の事業の方向性として,
1) 事業ポートフォリオ,販売チャネルを拡充
2) 顧客のニーズ,購買プロセスの多様化に対応
3) アジア地域との緊密な連携
を挙げた。
1)では,医療機関にとっても治療の質が今後の評価を左右する重要なポイントになるとして,M&Aを含めて遺伝子診断,治療領域などでの事業拡大を図る。また,低価格帯マーケットに対応するために製品ポートフォリオ拡充,MR装置のリモート操作などの新たなサービスの拡充を挙げた。
2)では,今後,画像診断機器など高額医療機器の導入に当たってはより経営者層の意思決定への関与の割合が高まることが予想されることから,医療機関の経営層へのアプローチを強化することが必要であるとして,本社直轄の組織として経営層への直接のアプローチを行うコーポレート営業本部を立ち上げる。また,マーケティング戦略の方向性を拡大として,これまで画像診断領域と体外診断薬領域で別々に行っていたマーケティング戦略を,One Healthcareとして統合してシナジー効果をねらう。さらにパートナービジネス,キーアカウントへの対応を強化として,すでに相良病院とのパートナーシップ契約による事業が展開されているが,トップtoトップのアプローチも含めて対応していく。
3)では,シーメンスの持つさまざまなルートやコネクションを活用した顧客の他地域進出やメディカルツーリズムのサポート,ベストプラクティスの共有やノウハウの提供,人材育成・交流の推進に取り組んでいくとした。

具体的な製品やサービスとして,RSNA2015で発表されたMR-PET装置「Biograph mMR」,クラウドサービス「teamplay」を紹介した。CTやMRI検査から得られる画像診断に関連する情報をクラウドで収集し,ユーザーにフィードバックするteamplayは,日本でも4月のITEM2016で発表の予定となっている。そのほか,2015年4月に締結した相良病院とのパートナーシップ契約の概要などについても紹介した。同院には,2016年1月にはハイエンド超音波画像診断装置「ACUSON S Family HELX Evolution」シリーズ5台が導入され,乳腺超音波検査に用いられている。

シーメンスヘルスケアの新組織体制

シーメンスヘルスケアの新組織体制

 

●問い合わせ先
シーメンスヘルスケア(株)
コミュニケーション部
TEL 03-3493-7630
http://www.healthcare.siemens.co.jp/medical-imaging

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