NEC医療セミナー2017東京
医療におけるICT活用の一歩先を考える

2017-3-10

NEC


会場風景

会場風景

NECは,“医療におけるICT活用の一歩先を考える”をテーマに「NEC医療セミナー2017」を,2017年2月24日(金)に東京(NEC本社ビル),3月3日(金)には大阪(ホテルニューオータニ大阪)で開催した。東京会場では,2題の講演とNECおよびパートナー企業による電子カルテシステムや関連システム・機器の展示が行われた。

講演に先立ち,同社医療ソリューション事業部の中家章雄事業部長が挨拶し,社会環境の変動とそれを支える医療提供体制の変化に対応しながら,安心・安全,医療スタッフの業務支援,介護・福祉を含め地域をつなげるネットワークを提供し,医療におけるICT活用の一歩先を考えることでQuality of Lifeの向上に貢献していきたいと述べた。

中家章雄 氏(NEC)

中家章雄 氏
(NEC)

美代賢吾 氏(国立国際医療研究センター)

美代賢吾 氏
(国立国際医療
研究センター)

松村泰志 氏(大阪大学)

松村泰志 氏
(大阪大学)

 

最初に国立国際医療研究センター理事長特任補佐・医療情報管理部門長の美代賢吾氏が,「雲の上の未来:A Future beyond the Cloud.-病院情報システムの新たな役割とその先への展開-」と題して講演した。美代氏は,複雑かつ多様なニーズに対応する必要がある医療機関の情報環境の中で,1)外部アクセスとセキュリティのバランスを取った情報共有の方法,2)クラウドセンターを構築した診療情報収集手法,3)SDN(Software-Defined Networking)などを用いたサイバー攻撃からの防御について最新の取り組みを紹介した。具体的には,1)ではOffice365+MFA(多要素認証)+RMS(暗号化)によって,施設外からのメールや院内資料の確認が可能になり迅速な情報の伝達と共有によって組織の活性化につながっている。2)では,日本糖尿病学会と国立国際医療研究センターが協力して開発した大規模多施設糖尿病レジストリ「J-DREAM」で,SS-MIX2 GWによる電子カルテと連携した効率的な症例登録が可能になる。3)では,標的型メール攻撃のさまざまな例を紹介し,同センターで導入したSDNとセキュリティ製品を組み合わせて構築したシステムを紹介した。最後にその先の展開として,美代氏はクラウドやビッグデータ,AIが医療にもたらす影響について言及し,その中での人が果たす役割と教育の重要性を強調した。

講演の2題目は,大阪大学大学院医学系研究科医療情報学教授の松村泰志氏による「医療の質向上に資する電子カルテに向けて」。松村氏は,電子カルテでのデータ入力と後利用の課題を解決する方法として開発された「ダイナミックテンプレート」を利用したさまざまな入力支援,データ利活用の取り組みを紹介した。ダイナミックテンプレート(DT)は,階層化した入力で複雑な項目の記述を可能にし,自然言語表現に変換することで記録としての読みやすさも実現する。DTでは,患者基本情報や検査データの取り込み機能,計算機能や判定機能を利用することで,診療ガイドラインなどの複雑な指標を自動で計算して表示し診療中に確認することできる。テンプレートはXMLで書かれたマスタとテンプレートプログラムによって作成できるが,阪大病院ではテンプレートマスタと患者データ(Data XML)を管理する機能をサービス化して“テンプレートサービス”として独立されることで,電子カルテ内のアプリケーションや部門システムから利用しやすくした。現在,テンプレートマスタ数は2182,テンプレート登録件数は月間12万3200件となっている。松村氏は,さらにDTを利用した看護診断のサポート,臨床研究や患者レジストリへのデータ送信など進化する機能について紹介した。

講演と同時に行われたシステム展示では,電子カルテシステム「MegaOakHR」の重症病棟機能や地域医療連携ネットワークサービス「ID-Link」,そのほか電子カルテ用カートや通信機能付バイタルサイン測定器など周辺機器を含めて展示された。

なお,大阪会場では松村氏の講演と,林田潔氏(佐賀県医療センター好生館),永尾隆裕氏(白石共立病院)による「地域完結型医療および地域包括ケアに向けたICT活用」が行われた。

システム展示会場

システム展示会場

センサやUIを備えたイヤホン型端末である“ヒアラブルデバイス”を出展

センサやUIを備えたイヤホン型端末である
“ヒアラブルデバイス”を出展

 

●問い合わせ先
NEC 医療ソリューション事業部
TEL 03-3798-6756
http://www.nec.co.jp/medsq/

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