「Cardiovascular Imaging Symposium」が開催

2017-5-9


循環器内科医が多数参加

循環器内科医が多数参加

医療法人社団豊智会とバイエル薬品(株)は2017年4月19日(水),八芳園(東京都港区)において,「Cardiovascular Imaging Symposium」を開催した。豊智会は,画像検査・診断センター事業を手がけており,AIC八重洲クリニック,つくば画像検査センターを運営している。今回のシンポジウムは,循環器領域における画像診断の最新動向を紹介する場として設けられ,循環器内科医などが参加した。

プログラムは,第一部「循環器画像診断を利用した新しい医療連携の潮流」,第二部「特別講演」の2部構成で組まれた。バイエル薬品からMRI造影剤の「ガドビスト」についての製品説明があり,その後,開会挨拶が行われた。挨拶に立った豊智会経営企画室長の小山 望氏は,自身が循環器領域のCT・MRI検査にかかわった1998年当時は,心電図同期が困難で検査が施行できないことがあったと振り返り,現在は低コストで容易に検査ができるようになったが,それだけにCT・MRIをどのように循環器診療に生かしていくかが重要であると述べた。そして,今回のシンポジウムでは,心筋虚血を診断する手法として注目される冠血流予備量比(FFR)を算出できる東芝メディカルシステムズ社のFFRCTのアプリケーション“CT-FFR”をどのように診療に用いるか,今後の循環器診療におけるCT・MRIも活用についてディスカッションしたいとまとめた。

小山 望 氏(豊智会)

小山 望 氏
(豊智会)

   

 

第一部は,豊智会AIC八重洲クリニック循環器内科の手塚大介氏が座長を務め,2題の講演が行われた。先に登壇した医療法人彩珠会理事長・大井町とうまクリニック・虎ノ門とうまクリニックの當間弘子氏は,「かかりつけ医が求める理想的な冠動脈CT・心臓MRI—かかりつけ医と画像専門施設の最先端医療連携の構築—」をテーマに講演した。當間氏は,かかりつけ医におけるCT・MRI検査の必要性について,胸痛を訴え来院した患者を当日,AIC八重洲クリニックで冠動脈CTを施行し,オンラインで結ばれたワークステーションで画像情報を共有しながら,迅速な診断,治療に結びついた例を挙げて紹介した。そして,かかりつけ医が画像診断を行うことで,病院への不要な紹介を減らすことができ,医療費を抑え,病院勤務医の負担軽減にもなると述べた。さらに當間氏は,冠動脈CTの診断のポイントとして,有意狭窄の有無や石灰化の程度,不安定プラークの鑑別などを挙げたほか,心筋虚血の評価が困難な症例では,今後FFRCTが有用となるとの見方を示した。一方で,心臓MRI・冠動脈MRAについては,心筋疾患や先天性心疾患,川崎病の動脈瘤追跡などで有用であると述べた。

座長:手塚大介 氏(AIC八重洲クリニック)

座長:手塚大介 氏
(AIC八重洲クリニック)

當間弘子 氏(医療法人彩珠会)

當間弘子 氏
(医療法人彩珠会)

 

 

次いで講演した独立行政法人地域医療機能推進機構JCHO東京新宿メディカルセンター循環器内科部長の綾部征司氏は,「循環器画像診断を利用した医療連携の実践」と題して,外部施設での画像検査・診断の活用の実際について報告した。同センターでは,循環器内科医の減少,多列CTの導入の遅れ,心臓MRIの経験が少なかったことなどから外部の画像検査・診断センターに検査・診断を依頼するようにした。そのメリットについて,綾部氏は,専門医が診断すること,依頼元医療機関の設備投資を抑えられること,紹介・逆紹介が増えること,循環器内科医が治療に専念できること,などを挙げた。また,綾部氏は,検査・診断の外部委託により,虚血性心疾患のスクリーニングを外来で速やかに行えるようになったと述べた。

綾部征司 氏(東京新宿メディカルセンター)

綾部征司 氏
(東京新宿メディカルセンター)

   

 

この後,休憩を挟み,第二部の特別講演へと進んだ。特別講演は,座長を東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授の小室一成氏が務め,順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学講座准教授の藤本進一郎氏が演者として登壇。「外来で出来る,負荷も要らない! CTで視る最新の心筋虚血診断法~Aquilion ONE 320列CTを用いた冠動脈FFR計測の挑戦~」をテーマに講演した。藤本氏は,閉塞性冠動脈疾患や安定性狭心症の診断,冠動脈疾患患者の予後評価,プラーク評価,急性胸痛症候群のトリアージなどにおけるCTの位置づけなどを解説した上で,冠動脈疾患に対する血行再建術の適応の判断におけるCT-FFRの使用経験について報告。CT-FFRは血行再建術の適応を決定するための機能的評価が可能だと説明した。さらに,CT-FFRは,invasive FFRを基準として中等度以上の狭窄を有する患者に対し高い精度を持ち,自施設内で短時間に解析が可能である点を評価。エビデンスの確立など課題があるものの,診断・治療の流れを大きく変える可能性があるとまとめた。

藤本進一郎 氏(順天堂大学)

藤本進一郎 氏
(順天堂大学)

   

 

第一部,第二部ともに,講演後には質疑応答があり,CT-FFRの解析手法など,熱心な参加者から多数の質問が出された。最後は小室氏が閉会の挨拶を行い,盛況のうちに閉会となった。

 

●問い合わせ
医療法人社団豊智会AIC八重洲クリニック
医療連携室
TEL 0120-786-055
http://www.m-satellite.jp


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