「第4回首都圏消化器画像技術研究会」が開催

2017-5-9


大腸CT導入検討施設も多数参加した会場

大腸CT導入検討施設も多数参加した会場

首都圏消化器画像技術研究会(M☆GIT)と伏見製薬(株)共催による「第4回首都圏消化器画像技術研究会」が,2017年4月22日(土),聖路加国際大学日野原ホール(東京都中央区)において開催された。この研究会は,大腸CTなど消化器領域の画像診断を広く一緒に学んでいくことを目的に設立され,2015年8月に第1回M☆GITが開催された。以降,1年に2回のペースで開かれている。

当日は,まず伏見製薬から,「コロンフォート」についての情報提供が行われた。コロンフォートは2016年3月に製造販売承認を取得した国内初の大腸CT検査用の経口造影剤。残渣があっても診断でき,大腸を完全に空にする必要がない。また,下剤を服用しなくても,腸管洗浄剤だけで検査を施行できる特長がある。

この情報提供後に,代表世話人の藤原正則氏(亀田メディカルセンター幕張)が,開会の挨拶を行った。藤原氏は,過去3回のM☆GITは大腸CTの前処置を主なテーマとして取り上げてきたと,これまでの経緯を説明。その上で,今回は,大腸CTを施行する施設が増えてきたことも踏まえ,質の高い検査を施行するために重要となる診療放射線技師の一次チェックについてもプログラムに取り入れたと述べた。そのプログラムは,参加施設の大腸CT検査の技術を発表する「みんなのCTC Annex」,基調講演,シリーズ企画「症例検討」の3セッションの構成で組まれた。

代表世話人:藤原正則 氏(亀田メディカルセンター幕張)

代表世話人:藤原正則 氏
(亀田メディカルセンター幕張)

   

 

まず,藤原氏と銚子市立病院の堀米英樹氏が司会を務め,「みんなのCTC Annex」が行われた。1番目には,千葉県消化器内視鏡技師会の若王子みのり氏が,「前処置にみる腸管洗浄精度について」と題して発表した。若王子氏は,日本消化器内視鏡技師会が,全国1814施設に対して行ったアンケートの結果として,使用する腸管洗浄剤や前処置薬減量のための取り組みなどを報告。洗腸度は被検者によって異なることや,大腸内視鏡の前処置薬にはPEG製剤が多く使用されること,減量のためには前日の処置が重要だという回答結果を紹介した。次いで,イーメディカル東京遠隔画像診断センターの鈴木雅裕氏が,「コロンフォートを使った前処置の提案」をテーマに登壇した。鈴木氏は,イーメディカル東京が大腸CT遠隔読影支援サービスとして提供する「大腸CTトータルパッケージ」を紹介した上で,洗腸剤に高張液と等張液を用いた場合の大腸CTの前処置について解説した。そして,検査開始時間を基に,腸管洗浄剤の作用時間を考慮して前処置を行うことが大事であると述べた。

「みんなのCTC Annex」司会:堀米英樹氏(銚子市立病院)

「みんなのCTC Annex」
司会:堀米英樹氏
(銚子市立病院)

若王子みのり 氏(千葉県消化器内視鏡技師会)

若王子みのり 氏
(千葉県消化器内視鏡技師会)

鈴木雅裕 氏(イーメディカル東京遠隔画像診断センター)

鈴木雅裕 氏
(イーメディカル東京遠隔画像診断センター)

 

3番目に登壇した亀田総合病院の秋田裕介氏は,「一次チェックレポートについて」と題し,M☆GITと消化管CT技術研究会の世話人が所属する11施設を対象に行った,診療放射線技師による大腸CTの一次チェックレポート作成の現状についてのアンケート結果を報告した。このアンケートでは,一次チェックを行った場合に誰に,どのような情報を,どのような形式で伝えるかについて回答を得ている。この結果に基づき,今後の大腸CT検査の普及に向け,読影補助における診療放射線技師の熟練度やチェックの精度を担保したレポートの標準化が重要であると述べ,日本放射線技術学会学術研究班の「大腸CTにおける読影補助の標準化の検討」についても言及した。

秋田裕介 氏(亀田総合病院)

秋田裕介 氏
(亀田総合病院)

   

 

休憩を挟んだ後,東芝メディカルシステムズ(株)と共催となる基調講演が行われた。栃木県立がんセンターの萩原芳広氏が座長を務め,おなかクリニックの村井隆三氏が「大腸がんの現況とCTCの位置づけ」をテーマに講演した。同クリニックでは2013年に東芝メディカルシステムズのCT「Alexion」を導入して,大腸CT検査を施行している。村井氏は,その検査の流れを説明した上で,ワークステーションを活用した読影方法について解説を行った。

基調講演座長:萩原芳広 氏(栃木県立がんセンター)

基調講演座長:
萩原芳広 氏
(栃木県立がんセンター)

村井隆三 氏(おなかクリニック)

村井隆三 氏
(おなかクリニック)

 

 

次に,アミン(株)と(株)AZE,富士フイルムメディカル(株)との共催であるシリーズ企画「症例検討」が行われた。このセッションは,大腸CT検査での画像解析の手法・技術についてワークステーションを操作しながら解説していくもので,毎回異なるテーマに基づいて症例が示され,進行していく。今回は,水戸済生会総合病院の黒羽克英氏,東京メディカルクリニックの三原嵩大氏が司会を務め,2つのテーマが設けられた。先に「偽陽性を作らない解析法とは?」をテーマに,国保軽井沢病院の渡辺朝久氏,聖路加国際病院予防医療センターの吉添孝明氏,松田病院の岩月建麿氏がワークステーションの操作,聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院の森本 毅氏が解説を担当して,偽陽性にならないようにする解析の方法や偽陽性となる病変の症例が提示された。2番目には,「直腸癌」をテーマに,川崎市立多摩病院の平野智之氏が術式や処理する血管,結紮・郭清のポイントを説明してから,術前の3D画像作成法を紹介した。

「症例検討」司会:黒羽克英 氏(水戸済生会総合病院)

「症例検討」
司会:黒羽克英 氏
(水戸済生会総合病院)

「症例検討」司会:三原嵩大 氏(東京メディカルクリニック)

「症例検討」
司会:三原嵩大 氏
(東京メディカルクリニック)

「症例検討」解説:森本 毅 氏(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)

「症例検討」
解説:森本 毅 氏
(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)

 

ワークステーションを使って解析法を説明する「症例検討」

ワークステーションを使って解析法を説明する
「症例検討」

ホール外に設けられた機器展示コーナー

ホール外に設けられた機器展示コーナー

 

すべてのプログラム終了後,鈴木氏が閉会の挨拶を行い,第4回M☆GITは閉会した。次回は2017年11月18日(土)に,県民共済みらいホール(神奈川県横浜市)を会場に,神奈川消化管撮影技術研究会との共催で開かれる。

 

●問い合わせ先
首都圏消化器画像技術研究会
http://metropolitan-ctc.kenkyuukai.jp


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