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Special Report 
日本HP主催オンラインセミナー 医療業界ビジネス情報交換会 Part6 
AIやVRなど医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)のための最先端技術導入の課題とその解決策を提案

2022-9-1

⽇本HP主催オンラインセミナー 医療業界ビジネス情報交換会 Part6 

株式会社⽇本HP主催オンラインセミナー「医療業界ビジネス情報交換会 Part 6 医療における最先端技術の導⼊における課題と解決策 医療改⾰の未来について」が,2022年7⽉29⽇(⾦)に開催された。医療における⼈⼯知能(AI)や仮想現実(virtual reality:VR),デジタルトランスフォーメーション(DX)の最新事例や,それを⽀える最新技術やサービスに関する講演が⾏われた。セミナーの模様をレポートする。

講演1:国内医療へ最新テクノロジー導入を進めるためには?

MICT コンサルティング(株)代表取締役
大西大輔 氏

MICT コンサルティング(株)代表取締役 大西大輔 氏

 

【医療のデジタルシフト】
コスト削減,業務効率化への取り組みが急務

大西氏は,日本における医療のデジタル化,DXへの取り組みついて,これまでの経緯や政策動向を中心に現状と課題を概説した。日本では,超高齢社会,人口減少社会を迎え,医療費高騰や人材不足といった問題を抱える中で,2020年からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックが重なった。大西氏は,コロナ禍でデジタル化は急速に進みつつあるものの,医療費抑制,働き方改革,感染症対策といった課題を解決するAIやDXなど最先端技術活用の動きがにぶいことを指摘。政府の施策として,AI関連では内閣府の「AI戦略2022」の内容を紹介し,医療分野では「保健医療分野AI開発加速コンソーシアム」の報告書から重点分野としてゲノム医療,画像診断支援,診断・治療支援,医薬品開発,介護・認知症,手術支援の6分野が挙げられていることを紹介した。その上で,AIの社会実装を進めるためには2次利用が容易なデータベースの構築,電子カルテをはじめとするデータの標準化,セキュリティ,人材育成などのハードルをクリアすることが必要だとした。さらに,今後の医療のデジタル化の方向性として,2022年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針2022)と自由民主党の「医療DX令和ビジョン2030」に注目し,今後,オンライン資格確認の義務づけ(2023年4月)と保険証の原則廃止,全国医療情報プラットフォームの創設,電子カルテ情報の標準化,診療報酬改定DXなどが推し進められていくと述べた。電子カルテは2026年度まで80%,2030年度100%の普及率をめざすという目標が掲げられており,HL7 FHIRの採用や補助金などの施策がポイントになると推測。壁は高いが,危機意識を持って壁を突き破ることが必要だとまとめた。

講演2:医療・ヘルスケアAIのトレンドとGPU活用

エヌビディア合同会社エンタープライズ事業本部ヘルスケア・ライフサイエンス 開発者支援シニアマネージャー
山田泰永 氏

エヌビディア合同会社エンタープライズ事業本部ヘルスケア・ライフサイエンス 開発者支援シニアマネージャー 山田泰永 氏

 

【AI】
研究開発から実装までAI活用を支援するNVIDIA

AI活用を支えるGPUを提供するNVIDIAの山田氏は,医療・ヘルスケア領域におけるAI活用のトレンドを紹介した。NVIDIAでは,GPUだけでなく高速な計算を実現するハードウエアやソフトウエア,さらにはクラウドを利用して管理運用を行うサービスまで,AIの研究・開発・利用の環境を提供している。その分野は自動運転や産業用ロボットから医療・ヘルスケアまで幅広い領域に及んでいる。NVIDIAが期待するヘルスケア領域のAI活用として,先行する“診断(医療画像による診断支援)”に加え,創薬やロボットによる手術支援などの“治療・処置”,モニタリングや看護・介護支援といった“ケア”,センシングや大規模計算による将来予測・介入といった“未病・先制医療”領域を挙げた。さらに,これらすべてにかかわるゲノム情報活用ではベンチャー企業買収によって全ゲノム解析を高速に行う基盤を充実させていることを紹介した。
NVIDIAでは,これらの領域に対するGPUでの貢献として機器への組み込みから大規模クラウド・データセンターまであらゆるスケールで活用できるハード・ソフトウエアを用意している。その中でもワークステーション(WS)などのエッジ環境でのGPUの活用は,CT・MRI・X線での画像処理,内視鏡AIなどの外付けAI装置,医療画像AI研究用WS(MONAI開発環境の提供),超音波診断装置や手術ロボットなどのリアルタイム医療機器(NVIDIA Clara Holoscan)で進んでいる。さらに,今後,従来はAI があまり活用されていなかった検体検査装置,電子顕微鏡など各種測定装置でのAI処理や細胞などの画像認識など計測装置にも広がっていくことが期待できると述べた。また,開発環境としてNVIDIAも強くコミットして提供しているMONAI(Medical Open Network for AI)や“NVIDIA Clara Holoscan”についても紹介した。

講演3:ここまできた医療におけるVRの活用

(株)日本HP パーソナルシステムズ事業本部クライアントビジネス本部ワークステーション市場開発ビジネスデベロップメントマネージャー
島﨑さくら 氏

(株)日本HP パーソナルシステムズ事業本部クライアントビジネス本部ワークステーション市場開発ビジネスデベロップメントマネージャー 島﨑さくら 氏

 

【VR】
治療や教育の支援で進む医療でのVR利用

医療分野でのVRの活用は,手術計画,医療教育,セラピー,健康増進などで進んでいる。島﨑氏はVR活用の効果についてデータを示し,例えば患者が受けるメリットとして手術時間の短縮による手術費用の削減,麻酔下の合併症リスクの軽減,現場教育でのメリットとして知識定着率の向上,学習効果の時間の短縮など,数値として具体的に効果が報告されていることを紹介した。その上で,すでに市場に提供されているVRソリューションとして,「PeriopSim(周術期の看護師トレーニング)」,「enduvo(応急処置のトレーニング)」,「SURGICALTHEATER(医師の手術支援,患者への情報提供)」,「GAP/GAP-screener(ファインデックス社の視野検査ソリューション)」などを紹介した。今後,VRは対象や用途の広がりが期待されるが,その1つとして内閣府が掲げる“ムーンショット計画”の中で,2050年までに人が身体,脳,空間,時間の制約から解放された社会を実現することが挙げられている。また,医療分野では,術式のシミュレーションからカウンセリングや治療まで用途の拡大が期待される。
HPでは,「HP Reverb G2 VR Headset」というヘッドマウントディスプレイを提供している。HP Reverb G2は,4K解像度で500gと軽量であり,高解像度が実現できるPCVR方式となっている。HPでは据置型(デスクトップWS)やノート型(モバイルWS)の両方をラインアップしており,ヘッドセットとPCをワンストップでサポートできることもメリットだと述べた。

講演4:院内の内視鏡運用におけるDX化への取り組み

オリンパスマーケティング(株)医療国内マーケティング本部
横田公亮 氏

オリンパスマーケティング(株)医療国内マーケティング本部 横田公亮 氏

 

コニカミノルタジャパン(株)ヘルスケアカンパニーIoT 事業統括部クリニック戦略部
小林正憲 氏

コニカミノルタジャパン(株)ヘルスケアカンパニーIoT 事業統括部クリニック戦略部 小林正憲 氏

 

【DX】
協業でクリニックの画像管理のハードルをクリア

クリニックのDXについて,内視鏡画像のデータ保管やAI活用の環境構築に取り組んでいるのがオリンパスとコニカミノルタだ。消化器内視鏡で高いシェアを持つオリンパスと,CR/DRをはじめPACSやICTサービスを提供するコニカミノルタが,それぞれの強みを活かし課題を補完することで,遅れていると言われるクリニックのデジタルシフトに取り組んでいる。
両社は,2018年から内視鏡レポートや,内視鏡装置をLANでPACSに接続する「BLUE Link」などで協業してきた。その中で,オリンパスはAIを搭載したクリニック向け内視鏡画像・レポート管理ソフトウエア「Vivoly+(ヴィヴォリープラス)」を2021年11月にリリースした。Vivoly+は,AIが第2の目となって内視鏡の“撮影網羅性”と“画像の質担保”のチェックをサポートし内視鏡業務を支援する。Vivoly+はサブスクリプションサービスとして提供され,初期費用不要,月額制でインターネット環境があればすぐに導入できる。しかし,クリニックでの導入時に障壁となるのが,クラウドに接続するセキュアな環境の確保や専用端末の必要性だ。この課題をクリアするために,コニカミノルタとの協業をさらに一歩進めて,コニカミノルタの医療情報プラットフォーム「infomity」を利用することで,専用端末を追加することなくクラウドからアップロードできる環境を用意した。さらにコニカミノルタのPACSユーザー以外でも接続できるようにしたのが,内視鏡イメージゲートウエイ「BLUE Gate」だ。BLUE Gateは,PACSへの自動出力,静止画記録,Vivoly+との連携の機能を搭載し,コニカミノルタが自社のinfomityのプラットフォームを使って構成し,オリンパスの製品として提供される。オリンパスマーケティングの横田氏とコニカミノルタの小林氏は,両社の協業によって医療機関のDX にさらに貢献できるだろうと述べた。

※ ※

今後,さまざまな局面で医療機関においても“デジタルシフト”が求められるのは間違いないところだ。すでにAIやVRの活用は当たり前になりつつあり,実際にどう活かすかが課題だと言えるだろう。具体的な導入のノウハウの提供と同時に,最新技術導入の目的は何かを考えさせるセミナーとなった。

【日本HP/ 菱洋エレクトロ】
医療業界向けの高品質ワークステーションとハイクォリティサービスを提供

セミナーでは,菱洋エレクトロから同社の医療業界向けビジネスの概要が紹介された。同社はエッジからクラウドまで幅広い製品群を提供し,NVIDIAやマイクロソフトなどメジャーITメーカーの一次代理店としてキッティングセンターや保守,設置サービスまで提供する。実績としては,PACS,各種モダリティや検査装置,読影端末,オンライン資格確認などにWSやGPU,認証端末,保守サービスを提供している。さらに,クリニックに向けたワンストップ保守サービスについても紹介した。

講演5:クリニック様向けワンストップ保守サービス

菱洋エレクトロ(株)
ソリューション事業本部 青木良行 氏

菱洋エレクトロ(株) ソリューション事業本部 青木良行 氏

 

同サービスビジネス企画開発グループ 四宮亮平 氏

同サービスビジネス企画開発グループ 四宮亮平 氏

 

また,日本HPは,オリンパス/ コニカミノルタのBLUE Gateにも採用されているHPのWSのアドバンテージを紹介した。デスクトップからモバイルまで幅広い製品ラインアップをそろえ,信頼性の高い高性能のマシンを適正な価格で提供し多くの企業や病院で採用されている。最新のGPUを搭載した最新のWSのラインアップとして「HP Z 2 シリーズ」,ノート型の「ZBOOKシリーズ」の概要をアピールした。

講演6:医療現場に最適なHPのポートフォリオ

(株)日本HP パートナー営業統括第二営業本部第二営業部部長
浦山高明 氏

(株)日本HP パートナー営業統括第二営業本部第二営業部部長 浦山高明 氏

 

セミナーの動画とプレゼンテーション資料は,以下より参照できます。
https://jp.ext.hp.com/techdevice/liveandmovie/dx_20220729/