2021-11-24
完成予想図:新陽子線治療施設(左)・
既存陽子線治療施設(右)
(株)日立製作所(以下,日立)は,筑波大学から,陽子線がん治療システム一式と,新陽子線施設の設計・建設から運営・保守・維持管理などを含む,PFI方式*による陽子線施設整備運営事業を受注し,2021年9月30日に契約を締結した。新施設にはコンパクトな配置で,加速器一式と回転ガントリ治療室2室を備えた陽子線がん治療システムを納入する。2025年夏頃に治療開始予定で,その後20年間にわたり日立が運営を支援していく。
本事業は,2001年に日立の陽子線治療システムを導入後,約20年が経過し老朽化が進んだため,新規に施設整備を実施するもので,新施設完成後,既存施設から移行する予定。既存の陽子線がん治療施設から,2基目を受注するのは,国内で初めてとなる。
* PFI(Private Finance Initiative)方式:公共施設などの建設や運営,維持管理などを,民間の資金や経営能力,技術を活用して行う手法。
<背景と今後について>
筑波大学では世界に先駆けて,1983年から陽子線加速器を用いたがん治療を実践している。2001年に日立の陽子線治療システムを導入し,これまでに約6,000名のがん患者へ陽子線治療を提供している。今後,日立は,国内外を代表する放射線治療の研究・教育・臨床拠点としてさらなる発展をめざす筑波大学との強いパートナーシップのもと,新たな陽子線治療施設を整備する。また,小児がんや,肝臓や肺など呼吸に伴って移動する臓器の腫瘍(移動性腫瘍)などの治療技術について,共同で研究を進めていく。
日立は本事業を推進することにより,子どもから高齢者にまで優しい治療や,治療後の患者のQoL(Quality of Life)の維持・向上などを支援する。また,粒子線がん治療システムのグローバル展開を加速させ,低侵襲ながん治療のさらなる発展に貢献していく。
粒子線がん治療について
粒子線がん治療は,放射線によるがん治療法の一つ。水素の原子核や炭素イオンを加速器で光速の約70%に加速させ,腫瘍に集中して照射することでがんを治療するもので,水素の原子核を加速したものを陽子線,炭素イオンを加速したものを重粒子線という。治療に伴う痛みがほとんどなく,他の放射線治療に比べて副作用が少ないため,治療と社会生活の両立が可能であり,生活の質(QoL)を維持しつつ,がんを治療できる最先端の治療法として注目されている。
●問い合わせ先
(株)日立製作所 ライフ事業統括本部 スマートセラピー本部 ヘルスケア事業部
放射線治療事業推進部[担当:髙田,島田]
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