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日本メドトロニック,仙骨神経刺激療法における全身MRI対応システムを実現した世界最小の充電式デバイス「InterStim™ Micro」の販売を開始

2023-3-9

日本メドトロニック(株)は,難治性の過活動膀胱または便失禁の改善を目的とした充電式仙骨神経刺激システム「InterStim Micro(インタースティム マイクロ)」(以下,InterStim Micro)を2月1日より発売した。また,2022年11月より従来品であるInterStim Ⅱと組み合わせて使用する「InterStim SureScan MRI(インタースティム シュアスキャン エムアールアイ)リード」(以下,MRI対応リード)を販売している。これにより,充電式および非充電式両方の神経刺激装置において,条件付き全身MRIの撮像が可能になった。

InterStim Micro

 

(販売名:InterStim Micro 仙骨神経刺激システム/承認番号:30300BZX00217000)
(販売名:InterStim Ⅱ 仙骨神経刺激システム/承認番号:22500BZX00419000)

過活動膀胱は,膀胱に尿が十分に溜まっていなくても本人の意思とは関係なく勝手に膀胱が収縮する病気で,急に尿意をもよおしたり(尿意切迫感)我慢できず尿が漏れてしまったり(切迫性尿失禁)する等の症状を伴う。日本では1,000万人を超える患者がいると言われている(*1)
便失禁は,本人の意思に反して便が漏れてしまう病気。加齢のみならず,出産時に肛門の筋肉が傷ついたり直腸がんの手術で直腸を切除したりする等のさまざまな背景により発症し,日本では約500人の患者さんがいるとされている(*2)

過活動膀胱や便失禁の治療には,薬物療法を含めた保存的治療と外科的治療がある。仙骨神経刺激療法は症状の改善を目的として使用される外科的治療で,保存的治療法が無効または適応でない患者に検討される。仙骨神経刺激療法は,欧米では30年ほど前から実施されており,これまで全世界で約35万人に使用されている。

リードと呼ばれる細い電極を仙骨孔に挿入し,おしりのふくらみ部分に植え込んだ心臓ペースメーカのような神経刺激装置と接続し,骨盤内の神経に持続的に電気刺激を与えて症状の改善を図る治療法で,生活の質を向上させることが期待されている。神経刺激装置を植込む前に,試験刺激で効果を確かめられ,効果が認められない場合にはリードを抜いて,以前の状態に戻すことができる。

一方で,仙骨神経刺激療法を受けた患者がMRI検査を行う場合,これまでは頭部のみに限定され,全身MRI検査ができなかった。MRI装置から発生される強力な磁場は製品の動作に影響を及ぼす可能性があるためで,全身MRI検査を受けられるデバイスが求められていた。

MRI対応のリードは,従来の非充電式神経刺激装置InterStim Ⅱおよび充電式神経刺激装置InterStim Microと組み合わせて使用し,条件付き全身 MRI検査を可能にする SureScan™ MRI 技術が搭載されたことで,1.5テスラ,3.0テスラでの全身MRI検査が可能になった。また,充電式神経刺激装置InterStim Microの導入により,患者のライフスタイルに合わせて,充電式あるいは非充電式のいずれか最適なデバイスを選択できるようになった。今後は,過活動膀胱と便失禁でお困りのより多くの患者に,仙骨神経刺激療法を提供することを目指している。

医療法人社団 健育会 湘南慶育病院 副院長 前田 耕太郎氏は,次のように述べている。
「仙骨神経刺激療法の登場により,これまでの治療法では効果の得られなかった患者さんにとって新たな治療選択肢の一つとして大いに期待されてきました。仙骨神経刺激療法は一人ひとりの患者さんの症状や状態に合わせて電気刺激を調整し,よりきめ細やかな治療が行えることが特長です。従来品では,MRIを必要とする患者さんには十分な対応ができなかったですが,今回の全身MRI対応品や充電式デバイスの導入により術後の課題も克服できたので,さらに,治療の普及が加速するものと期待しています。便失禁の患者さんは,誰にも相談できず,外出や旅行を控える等,普通の生活を楽しむことが難しく悩まれている方が多いですが,さらに患者さんの生活に寄り添った治療が可能になるという点で大きな意義があると考えています。」

超高齢社会を迎え今後もその患者数が増加すると言われている過活動膀胱,便失禁に対し,メドトロニックは,疾患および治療の啓発,治療の環境整備と多面的に取り組み,健康に暮らせる社会の実現を目指し貢献していく。

*1 本間 二夫. 排尿に関する疫学的研究. 日本排尿機能学会誌2003;14:266-277
*2 味村俊樹ほか,本邦における便失禁の実態調査報告-診断と治療の現状-.日本大腸肛門病学会誌 65:101-108, 2012

 

●問い合わせ先
日本メドトロニック(株)
www.medtronic.co.jp