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第17回消化管CT技術研究会学術集会が開催

2018-11-20

次回から日本消化管CT技術学会に名称変更

次回から日本消化管CT技術学会に名称変更

2018年11月17日(土),大崎ブライトコアホール(東京都品川区)において,第17回消化管CT技術研究会学術集会が開催された。大腸CT検査の知識習得と技術向上を目的して,診療放射線技師が中心となって2010年に発足した同研究会は,名古屋国際センターで行われた前回から学術集会となった。回を重ねるごとに内容の充実を図っており,わが国の大腸CT検査普及に貢献してきた。今回も趣向を凝らして,新たな試みとして前日11月16日に行われた第7回首都圏消化器画像技術研究会(M☆GIT)との共同企画「第1回CTC技術協議会」がプログラムに組み込まれた〔共催:キヤノンメディカルシステムズ(株),アミン(株)〕。開会に当たり代表世話人の坂本 崇氏(済生会熊本病院)は,この協議会に加え,講演を3題用意し,充実した内容構成となったと挨拶した。また,当番世話人の山本修司氏(国立がん研究センター中央病院検診センター)は,発足から9年を経たが,初学者にもわかりやすい内容としているのが本研究会の良いところであると述べた。山本氏の言葉どおり,初学者から熟練者まで興味を持てる構成となったプログラムは,講演と協議会のほかに一般演題が5題用意された。総合司会は吉川秀司氏(大阪医科大学関西BNCT共同医療センター)が務めた。

代表世話人:坂本 崇 氏(済生会熊本病院)

代表世話人:
坂本 崇 氏
(済生会熊本病院)

総合司会:吉川秀司 氏(大阪医科大学関西BNCT共同医療センター)

総合司会:吉川秀司 氏
(大阪医科大学関西BNCT共同医療センター)

 

 

最初に一般演題(1)の発表が行われた。座長は小林隆幸氏(北里大学北里研究所病院)と松井大樹氏(北福島医療センター)が務めた。最初に,鈴木千晶氏(聖隷健康サポートセンターShizuoka)が登壇し,「大腸CT検査における検査食にドック食を用いた前処置の検討」をテーマに発表した。鈴木氏は,大腸CT検査前日の昼食にドック食を使用した場合の検査への影響を検討し,難消化性デキストリンを加えることで検査食に近づけることができたことなどを報告した。2番目に発表した秋田裕介氏(亀田総合病院)は,「当院で経験した結腸瘻精査に対する大腸CT検査の報告」と題して,結腸瘻の手術において,大腸CT検査により事前に血管や臓器の位置情報を把握しておくことの有用性を解説した。次いで,「擬陰性症例 下部直腸・肛門管がん」と題して,神子枝里子氏(亀田総合病院)が,内痔核と判断した症例や,バルーンにより圧排されたため病変が描出されなかった症例などを説明した。

一般演題(1)座長:小林隆幸 氏(北里大学北里研究所病院)(写真左),松井大樹 氏(北福島医療センター)

一般演題(1)座長:小林隆幸 氏(北里大学北里研究所病院)(写真左),松井大樹 氏(北福島医療センター)

 

 

鈴木千晶 氏(聖隷健康サポートセンターShizuoka)

鈴木千晶 氏
(聖隷健康サポートセンターShizuoka)

秋田裕介 氏(亀田総合病院)

秋田裕介 氏
(亀田総合病院)

神子枝里子 氏(亀田総合病院)

神子枝里子 氏
(亀田総合病院)

 

この後,伏見製薬(株)共催のランチョンセミナーへと進んだ。鈴木雅裕氏(イーメディカル東京遠隔画像診断センター)が司会を務め,宮崎武士氏(進興会立川北口健診館)が「もし!! 消化管造影職人がCTCを企画したら」をテーマに講演した。宮崎氏は,自施設で大腸CT検査を導入する経緯について説明したほか,「職人」と言われるような診療放射線技師になるためには,仕事が好きであること,能動的であること,基本を重視した上で応用できることが重要だと述べた。

ランチョンセミナー司会:鈴木雅裕 氏(イーメディカル東京遠隔画像診断センター)

ランチョンセミナー司会:
鈴木雅裕 氏
(イーメディカル東京遠隔画像診断センター)

宮崎 武士 氏(進興会立川北口健診館)

宮崎 武士 氏
(進興会立川北口健診館)

 

 

ランチョンセミナーに続き,長澤宏文氏(国立がん研究センター中央病院)と三原嵩大氏(東京メディカルクリニック)が座長を務め,一般演題(2)が行われた。まず,渡辺朝久氏(国保軽井沢病院)が,「大腸CT検査・運用6年目の現状」をテーマに,大腸CTドックや,大腸内視鏡挿入困難症例,便潜血陽性二次精査目的で行ってきた大腸CT検査について説明。大腸内視鏡医の限られたマンパワーをカバーするため,大腸CTドックの比重を高めるなど,今後の方向性を示した。次いで,鈴木氏が登壇し,「日本放射線技術学会学術委員会学術研究班:『大腸CTにおける読影補助の標準化の検討』調査研究班 経過報告」と題して,標準化に向けたガイドライン作成の必要性について言及した。

一般演題(2):長澤宏文 氏(国立がん研究センター中央病院)(写真右),三原崇大 氏(東京メディカルクリニック)

一般演題(2):長澤宏文 氏(国立がん研究センター中央病院)(写真右),三原崇大 氏(東京メディカルクリニック)

 

 

渡辺朝久 氏(国保軽井沢病院)

渡辺朝久 氏
(国保軽井沢病院)

鈴木雅裕 氏(イーメディカル東京遠隔画像診断センター)

鈴木雅裕 氏
(イーメディカル東京遠隔画像診断センター)

 

 

この後,「第1回CTC技術協議会〜Day 2〜標準化の前に,確認すべきこと」が行われた。このセッションは,吉川氏と鈴木氏が司会を務め,北海道消化管CT研究会,東北消化管CT技術研究会,首都圏消化器画像技術研究会(M☆GIT),関西CTコロノグラフィ研究会,中四国スクリーニングCTC研究会,九州大腸CT研究会,中部地区代表者が参加。会場内の参加者にはアンサーパッドが配布され,「鎮痙剤の使用について」「ガスの送気手順について」「CT撮影体位について」「直腸カテーテルのバルーンの使用について」「CT撮影条件について」「内視鏡不通過症例の検査について」をテーマに,標準化に向けて議論が繰り広げられた。

第1回CTC技術協議会〜Day 2〜司会:鈴木雅裕 氏(イーメディカル東京遠隔画像診断センター)(写真左),吉川秀司 氏(大阪医科大学関西BNCT共同医療センター)

第1回CTC技術協議会〜Day 2〜司会:鈴木雅裕 氏(イーメディカル東京遠隔画像診断センター)(写真左),吉川秀司 氏(大阪医科大学関西BNCT共同医療センター)

第1回CTC技術協議会〜Day 2のディスカッション

第1回CTC技術協議会〜Day 2のディスカッション

 

続いて,積水メディカル(株)とエーザイ(株)共催による講演2題が設けられた。先に,平野雄士氏(小樽掖済会病院)が司会を務め,永田和也氏(済生会熊本病院予防医療センター)による講演「CTC導入の軌跡〜事務方が牽引した成功への10年〜」が行われた。同院予防医療センターでは,大腸がん罹患数・死亡率の上昇などの状況を鑑み,専門性と独自性があり質の高い予防医療をめざして,2009年から大腸CT検査を開始した。当初,大腸CTの認知度は低かったものの,周知活動を行ったことで受診者も増加している。永田氏は,大腸CT検査が軌道に乗り,成功した要因にチーム力を挙げた。また,今後受診者数を増やすためには,精度の向上だけではなく,被検者にとって,より容易で負担の少ない検査にしていくことも重要だと述べた。次いで,坂本氏が司会を務め,松本啓志氏(川崎医科大学)が「大腸CT検査を真に普及させるために! これからどうまとめるか?」をテーマに講演した。松本氏は,大腸CT検査があまり普及していない理由として,認知度が低く,施行施設が少ないため,検査数が伸びないことを挙げた。その上で,これらの原因を解決するためには,検査名などの用語の統一や検査法の標準化,適応の明確化が重要であると指摘。標準化に向けた読影能力向上のためのトレーニングなどについて解説を行った。さらに,普及に向けては,(1)診療放射線技師が一丸となること,(2)がん検診に絞った検査として注腸検査の代替となること,(3)ティッピングポイント(普及・拡大となる閾値)を超えること,の3点をめざすべきであるとまとめた。

講演1司会:平野雄士 氏(小樽掖済会病院)

講演1司会:平野雄士 氏
(小樽掖済会病院)

永田和也 氏(済生会熊本病院予防医療センター)

永田和也 氏
(済生会熊本病院予防医療センター)

 
     
講演2司会:坂本 崇 氏(済生会熊本病院)

講演2司会:坂本 崇 氏
(済生会熊本病院)

松本啓志 氏(川崎医科大学)

松本啓志 氏
(川崎医科大学)

 

 

全プログラム終了後には,次回大会長の平野氏が挨拶した。第18回の学術集会は,2019年6月1日(土),札幌市民交流プラザクリエイティブスタジオ(北海道札幌市)を会場に行われる。なお,次回から,消化管CT技術研究会は日本消化管CT技術学会へと生まれ変わり,新たな歴史を刻むことになる。

次回大会長:平野雄士 氏(小樽掖済会病院)

次回大会長:平野雄士 氏
(小樽掖済会病院)

共催企業などによる機器展示

共催企業などによる機器展示

 

●問い合わせ先
消化管CT技術研究会
http://www.gict-tec.com

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