innavi net画像とITの医療情報ポータルサイト

ホーム

東京ケアウィーク2019(4)——ロボット編:利用者の親しみやすさと使い勝手の良さで業務効率化に貢献

2019-3-8

さまざまな設備やテクノロジーが展示された会場には,製品導入を検討する事業者が多数訪れた。

さまざまな設備やテクノロジーが展示された会場には,
製品導入を検討する事業者が多数訪れた。

2019年2月6日(水)〜8日(金)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された東京ケアウィーク2019では,介護現場や施設で役立つ新製品やサービスが一堂に展示された。政府が進めるロボット戦略の中で,重点分野として介護分野が挙げられていることから,会場においてもコミュニケーションや見守りのためのさまざまなロボットが出展された。特にロボット型見守りシステムでは,スタッフの業務効率化への貢献と利用者の親しみやすさをアピールする製品が多く,介護・高齢者施設や病院・リハビリ施設の関係者,在宅介護事業者などが,各ブースで熱心に質問を行っていた。

ソフトバンクは,東京ケアウィークの展示に合わせ,人型ロボット「Pepper」の介護施設向けの無料トライアルキャンペーンを行った(受付はすでに終了)。介護施設向けの「Pepper for Biz」には,(株)ロゴスが開発した“まいにちロボレク”,“まいにちロボリハ”,“顔レコ”の3つのアプリケーションが搭載されている。まいにちロボレクでは,ゲームや体操,歌など多くのコンテンツが搭載され,各コンテンツを組み合わせてプログラムを作成することで,Pepperがレクリエーションを実行し,スタッフの業務効率化につながる。また,顔認証(顔レコ)と組み合わせ,リハビリテーション(ロボリハ)や個人レクリエーションを行うと,利用者ごとの結果や利用回数のデータが蓄積され,専用の管理画面で確認できるメリットを来場者にPRした。

Pepperを展示するソフトバンクのブース

Pepperを展示するソフトバンクのブース

 

ゲーム,体操,歌の中からコンテンツを選択できる。

ゲーム,体操,歌の中からコンテンツを選択できる。

 

NECプラットフォームズは,コミュニケーションロボットのオープンプラットフォームである「PaPeRo i」を中心にパートナー企業と共同で出展し,介護向けのソリューションを紹介した。共同出展したのは,(株)ソルクシーズ,NECソリューションイノベータ北海道支社,コンロッド,システムアプローチ,ソフィアプランニング,藤カマンダーソフト。

多くのパートナー企業が参加したブース

多くのパートナー企業が参加したブース

 

PaPeRo iは,基本仕様として顔認識用カメラや撮影用カメラ,日本語音声認識用マイク,赤外線センサー(人検知用),テキスト読上げ機能(日本語,英語,中国語)が搭載されたロボット型ユーザーインターフェイス機能と,高速ネットワークゲートウェイが融合している。また,顔のLEDを点滅させて,表情豊かにコミュケーションを図ることができる。

(株)ソルクシーズは,介護施設での認知症の利用者などの徘徊や離設の防止を支援する見守り支援システム「いまイルモ」を展示した。利用者が外に出ようとすると,出入り口に置いたPaPeRo iがセンサーで動きを検知,職員に通知する。同時に,利用者に施設内にいるよう声がけし,録画(連続画像)を開始して服装など捜索の手がかりとなるよう記録を残すなど,センサーとロボットの特性を生かして見守りを支援する。

見守り支援システム「いまイルモ」。PaPeRo iは,幅20cm,高さ30cm,奥行き23cmで,座布団部分が高速ネットワークゲートウェイになっている。

見守り支援システム「いまイルモ」。PaPeRo iは,幅20cm,高さ30cm,奥行き23cmで,座布団部分が高速ネットワークゲートウェイになっている。

 

また,別ブースで出展したNECソリューションイノベータは,PaPeRo iを用いた言語トレーニング支援サービスを紹介した。高齢者や言語トレーニングが必要な利用者を対象に,言葉の発声・復唱トレーニングを支援する。PaPeRo iの発声に続いて復唱し,口やのどの筋肉を鍛え,口腔機能向上にも役立つ。あらかじめ言語聴覚士が個々の利用者に合わせて組んだプログラムでウォーミングアップを行い,スタッフはその間に別の利用者のトレーニングを行うといった使い方も可能。言語聴覚士や歯科衛生士などがいない施設でも,専門家の監修による早見表を基に,例えば食べこぼしが気になる利用者は「パ行」を繰り返しトレーニングするなど,目的に合ったトレーニングが設定できる。

PaPeRo iを使った言語トレーニング。画面に映し出された言葉を,PaPeRo iに向かって復唱する。

PaPeRo iを使った言語トレーニング。画面に映し出された言葉を,PaPeRo iに向かって復唱する。

 

エフ・アイ・ティー・パシフィック(株)が提供する介護業務効率化システム「monomill CARE」は,IoTプラットフォームをベースに,カメラやバイタルセンサー,人感センサー,ドアセンサーなどの各種センサーの情報を,一つの画面でまとめて表示し,状況を確認することができる。メーカーや種類を問わず,現在使用しているセンサーをそのまま使えるうえ,専用ソフトなどは不要で,標準装備のWebブラウザのみでPCやスマートフォンから同時に,どこからでも確認できるため,スモールスタートが可能となる。基幹システムは,テレビ局送信所の一元管理システムとして2005年から稼働しており,介護システムへの応用により,業務改善や負担軽減への寄与をめざす。

現在使用しているさまざまなセンサーとの連携が可能。

現在使用しているさまざまなセンサーとの連携が可能。

 

各部屋の状態が見やすく表示され,自施設で使いやすいようカスタマイズも容易に行える。

各部屋の状態が見やすく表示され,自施設で使いやすいようカスタマイズも容易に行える。

 

エコナビスタ(株)は,大阪市立大学医学部疲労医学講座と共同開発した健康見守り型クラウドサービス機器「ライフリズムナビ+Dr.」を紹介した。ベッドのマットレス下に敷くセンサーマット(体動センサー)と天井に取り付ける人感センサー,温湿度センサーからの情報やアラート履歴を,PCやタブレットでまとめて表示できる。異常時には,スマートフォンなどにリアルタイムでアラートが表示され,人手が少ない夜間の業務をサポートする。夜間スタッフを削減でき,「働き方改革」に直結することから,利用施設数は年々増加している。

マットレスの下にセンサーマットを設置する。必要な配線はセンサーマットへの電源1本のみで,特別な設置工事や専用サーバは不要なため,導入のハードルは低いといえる。

マットレスの下にセンサーマットを設置する。必要な配線はセンサーマットへの電源1本のみで,特別な設置工事や専用サーバは不要なため,導入のハードルは低いといえる。

 

施設用のPC表示画面。見やすい表示で,状況が容易に把握できる。

施設用のPC表示画面。見やすい表示で,状況が容易に把握できる。

 

東京ケアウィークに初出展したエア・ウォーター(株)は,超微粒子シャワー入浴装置「美浴(びあみ)」シリーズのリクライニング式装置(NB2500)を紹介した。美浴シリーズは,超微粒子シャワーとサウナ効果で高い温熱効果が得られ,装置内でボディソープを使用して入浴と全身洗浄が同時に行える。また,入浴時間が通常の約1/3の10分程度に短縮できるうえ,介助者一人で操作でき,介助者の身体的負担を軽減する。掛け流しのため,常に新しいお湯で入浴し,入浴中の失禁も同時に排水できるため,入浴者間の交差感染を予防するなど,衛生管理の面でも利点がある。プライバシーも守れる上,入浴時の水圧もなく,体への負担が少ないため,介護度4〜5の利用者にも対応可能となっている。

リクライニング式装置(NB2500)。専用チェアに座ったまま,スムーズに装置内に移動できる。

リクライニング式装置(NB2500)。専用チェアに座ったまま,スムーズに装置内に移動できる。

 

●東京ケアウィーク2019(1)——介護システム編
●東京ケアウィーク2019(2)——見守りシステム編
●東京ケアウィーク2019(3)——AI・IoT編

【関連コンテンツ】