AZE

ホーム の中の AZEの中の 次世代の画像解析ソフトウェアの中の電子カルテと連携したAZE VirtualPlace 雷神 Anatomia

次世代の画像解析ソフトウェア

【月刊インナービジョンより転載】

■電子カルテと連携したAZE VirtualPlace 雷神 Anatomia

吉川 エミ/川崎 直正/瀧口 雅晴/西坂 秀彦/近藤 正美
九州厚生年金病院画像診断センター

●はじめに

当院では,2台のスタンドアローン型ワークステーション(WS)で3D-CT検査の画像処理を行ってきたが,2009年11月に「AZE VirtualPlace 雷神」(AZE社製:以下,雷神)を導入し,電子カルテと連携したネットワークシステムを構築した。
本稿では,当院の3D画像ネットワークシステムについて,約2年の運用経験から得られた有用性について報告する。

●院内すべての電子カルテで3D処理可能

雷神は,画像ファイルだけでなく,解析処理機能自体をネットワークで共有できるシステムで,ネットワークに接続された複数のクライアントPCから同時に画像処理ができる。当院は,雷神2台と,クライアントとして電子カルテ端末約800台を連携させたネットワークシステムを構築し,院内すべての電子カルテ端末で画像処理が可能である(図1)。

図1 当院の電子カルテと連携した3D画像ネットワークシステム
図1 当院の電子カルテと連携した3D画像ネットワークシステム

図2 使用風景(循環器カンファレンス)
図2 使用風景(循環器カンファレンス)

当院の3D画像ネットワークシステムの特長を以下に示す。
(1) クライアントPCのスペックに依存せず,WSと同等の高機能アプリケーションを共有できる。
(2) ID連携方式のため,閲覧している患者の電子カルテ画面より,ワンクリッでアプリケーションを起動できる。
(3) クライアントPCでアプリケーションを8台まで同時に稼働できる。この8台/800台を円滑に使用するため,15分間無操作の場合にはアプリケーションを自動でOFFにするように設定している。また,院内のどこからでも画像処理および閲覧ができるため,診察室やカンファレンスルーム,手術室など臨床の現場で使用されている。特に循環器カンファレンスでは,診療放射線技師がリアルタイムに画像処理を行い,提供画像の質の向上に努めている(図2)。

●AZE Auto Analyzer(AAA)を利用したサブトラクションの自動化

2010年8月に,WSをバージョンアップし,3Dサーバにボリュームデータが転送された時点で冠動脈解析が自動で行われる“AZE Auto Analyzer(AAA)”が搭載された。また当院では,DICOMタグのイメージコメントで単純データと造影データを自動判別させることによって,頭部CTAサブトラクションも自動化させた(図3)。この自動サブトラクションで得られた画像は,修正がほぼ必要なく,医師が技師の処理を待たずに画像処理や観察ができるようになったため,夜間救急時などにおいて迅速な対応が可能となった。

図3 AAAを利用したワークフロー
図3 AAAを利用したワークフロー

●Anatomiaへのバージョンアップ

さらに,2011年8月にWSをAnatomiaにバージョンアップし,冠動脈解析とサブトラクション機能の精度が向上した。これにより,冠動脈解析で得られた画像も修正がほぼ必要なく,処理時間の短縮につながっている。

●自動サブトラクションの小児頭頸部3D-CTAへの利用

小児頭頸部術前検査で,処理時間の短縮と細い異常血管を描出する高い処理技術が望まれる場合に,前述した自動サブトラクションが真価を発揮した。本稿では,自動サブトラクションが有用であった2症例を提示する。

●症例1:大血管形成異常(図4
他院の造影CTで頸動脈の異常血管を認めた生後間もない患児に,確定診断のため再度当院でCTAを施行した。自動サブトラクションにより,画像処理経験の浅い技師でも,頭部から胸部まで広範囲の複雑な異常血管を描出することができた。画像情報としては,大動脈弓部が低形成で蛇行し,狭窄が認められた(図4 b←)。また,右内頸動脈は起始部で閉塞し,頭蓋内は左内頸動脈,左椎骨動脈によって供血されていることを描出でき,治療方針が決定された。

図4 症例1:大血管形成異常
図4 症例1:大血管形成異常

●症例2:頸胸部血管異常(図5
2歳の患児に,頸胸部の異常血管走行の把握目的でCTAを施行した。頸椎や鎖骨に異常血管が複雑に入り組んでいるが(図5 b←),自動サブトラクションによって,技師が処理することなく骨が除去されたVR・MIP像を瞬時に得ることができた。これにより,検査直後の術前カンファレンスに画像を提供でき,手術方針が決定された。

図5 症例2:頸胸部血管異常
図5 症例2:頸胸部血管異常

●まとめ

すべての電子カルテ端末と連携することで,臨床の現場で求められていた,いつでも,どこでも,WSの高機能なアプリケーションを使用することが可能となり有用であった。また,AAAを利用したサブトラクションの自動化は,一刻を争う救急医療の現場で威力を発揮している。

【使用CT装置】 Aquilion 64(東芝社製)
【使用ワークステーション】 AZE VirtualPlace 雷神 Anatomia(AZE社製)

(2012年4月号)

▲ページトップへ

AZEトップへ