診療科のニーズに応えて、ziostation2の機能を駆使した最適な画像情報を提供 社会医療法人 敬愛会中頭病院

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診療科のニーズに応えて、ziostation2の機能を駆使した最適な画像情報を提供

社会医療法人敬愛会中頭病院は、沖縄県沖縄市にある326床、29診療科の総合病院である。1982年に設立された同院は、沖縄本島中部を医療圏として、高度医療の提供、"断らない"救急医療の展開、臨床研修指定病院としての研修医の受け入れ、隣接するちばなクリニックでのPET/CTによるがん検診など、地域医療支援病院として地域のニーズに応える医療を積極的に展開し、2009年には沖縄県で初の社会医療法人として認定されている。同院では、ziostation2のネットワークタイプを導入し、2台のマルチスライスCTを駆使して診療科のニーズに応えた3D画像の提供を行っている。放射線部の井戸昭博主任と城間政敏技師に、ziostation2による3D画像の運用を取材した。

CT・MR操作室にはziostation2を3台設置
CT・MR操作室にはziostation2を3台設置
読影室のziostation2でMPRを作成し確認する諸見里秀和放射線科部長
読影室のziostation2でMPRを作成し確認する
諸見里秀和放射線科部長

井戸昭博 主任
井戸昭博 主任
城間政敏 技師
城間政敏 技師
放射線部スタッフ
放射線部スタッフ
中頭病院
社会医療法人 敬愛会中頭病院
沖縄市知花6-25-5
TEL 098-939-1300
s ziostation2のネットワークタイプでCT、MRIを運用

同院では、2003年に16列のマルチスライスCT(Aquilion:東芝メディカルシステムズ)と同時に、ザイオソフトのM900 QUADRA(以下M900)を導入し、CTを中心とした3D画像処理がスタートした。その後、M900をZIOSTATIONにバージョンアップ、2009年からはziostation2のネットワークタイプが導入されている。ネットワークには、CT、MRのデータが転送され、ワークステーション(WS)はCTとMRIの共通の操作室にVGRクライアントが3台、2階の放射線科読影室に1台が設置されている。現在は、Aquilionが64列にバージョンアップされ、2010年に導入したBrilliance iCT(以下iCT:フィリップスエレクトロニクスジャパン)と合わせて2台体制で運用されている。
放射線部のスタッフは25名。3D画像処理は、整形外科領域(骨)と救急(頭部)は基本的に全スタッフが対応するが、腹部や循環器などの専門的な処理が必要な症例の作成は、井戸主任、城間技師を含めて 7名が専任であたる。
同院の3D画像処理の件数は、冠動脈が月間60〜70件、頭頸部が30件/月、下肢30件/月、整形外科が60件/月である。放射線部での3D画像処理業務の運用について井戸主任は次のように語る。
「基本的には、診療科からの依頼で対応しますが、整形外科に関しては、3D作成の依頼がなくてもルーチンで作成しています。これは、WS導入当初、放射線部側で全例を画像処理して提供していたところ、それが好評でそのまま定着したものです。そのほか、CTAについても全例で作成しています」

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s 診療科との密な連携によって、診療に直結する画像を提供する

同院のWSを使った3D画像への取り組みは、井戸主任と城間技師の二人三脚で進められてきた。M900の導入当初から、3Dデータの診療科での活用を拡大するため、各科に積極的に画像を提供して提案を行ったという。当初の取り組みを井戸主任は次のように言う。
「3D画像の可能性を診療科の医師に知ってもらうために、さまざまな画像を作成して提案しました。その中から、診療科側のニーズとマッチしたものが定着したり、反対に医師からの要望に応えて新しい領域にも取り組んでいきました」
放射線部での丁寧に作り込んだ画像が評価されて、院内だけでなく外部からの3D画像作成の依頼も増えている。診療科と連携したziostation2による3D画像の活用例を紹介する。

(1)胸腔鏡下手術(VATS)の 術前検査(図1
呼吸器外科からの依頼で、肺がんの胸腔鏡下手術(VATS)の術前検査として、肺の動静脈分離撮影を行い、それぞれのVR画像を作成し(図1 a)肺野のMPR画像と重ね合わせて(図1 b)、肺血管の走行異常などの情報を提供している。肺葉切除や亜区域切除では、術前の肺動静脈の同定や血管走行の確認が重要になるが、同院では肺がん症例では全例で実施している。
「ziostation2のマルチデータフュージョンで作成しています。造影CTを動脈相と静脈相で撮影してMPRとフュージョンすることで、よりわかりやすい画像を提供できます。呼吸器外科医と術後に、3D画像と実際の違いをディスカッションして、画像の角度や血管の彩色なども工夫してニーズに合った画像を提供できるようにしています」(井戸主任)

図1 胸腔鏡下手術(VATS)の術前検査
図1 胸腔鏡下手術(VATS)の術前検査
a:肺動静脈と気管支、腫瘍を色分けして表示
b:MPRとフュージョンして位置関係を把握

(2)乳房再建術における腹直筋皮弁移植の下腹壁動脈の評価(図2
形成外科では、乳房再建術の際に、患者自身の組織を用いて行う筋皮弁移植術を行っているが、乳房に移植する脂肪組織を腹直筋下から切除する際の、血管走行の確認や同定のために3D画像を提供している。同院では、下腹部の皮下脂肪をそれに繋がる細い血管1本(穿通枝)とともに採取する、「深下腹壁動静脈皮膚穿通枝を用いた遊離腹直筋皮弁移植」を行っているが、採取の際には腹直筋を他の血管を傷つけないように切開し、0.5mm程度の下腹壁動脈を同定し(図2 a,b)、乳房に移植して胸背動脈と結紮することが要求される(図2 c)。
「形成外科医から依頼があった時は、術式も解剖もわからなかったので、実際の手術に立ち会い、どんな画像が要求されているのかを検討しました。再構成の際には、深下腹壁動脈皮膚穿通枝は細くCT値が低いため、2D画像と見比べながら血管を 1本1本取りこぼさないように注意しました。従来は、超音波のカラードプラのみで血管を確認していたようですが、3D画像を使うことで手術時間の短縮にも繋がっています」(井戸主任)

図2  乳房再建術における筋皮弁移植の血管評価
図2 乳房再建術における 筋皮弁移植の血管評価
a:腹直筋下のMPVR画像
b:皮下脂肪と穿通枝を同定する
c:乳房の胸背動脈のVR 画像

(3)肝臓評価、冠動脈評価、下肢血 管評価
そのほか、琉球大学医学部附属病院を含めた他院からの依頼で、肝切除術の術前のボリュームメトリーや血管抽出を行っている(図3)。また、256列のiCTが導入後は、心臓検査件数が急増しziostation2では,その処理をすべて行っている。井戸主任は「ziostation2になって冠動脈解析の精度が向上し、冠動脈の抽出が速く正確に行えるようになりました。iCTの導入と合わせて迅速に精度の高い検査が行えます」と心臓CTでのメリットを語る(図4)。

図3  肝切除術前の肝臓評価
図3 肝切除術前の肝臓評価
図4 冠動脈解析
図4 冠動脈解析

下肢動脈疾患に対する3D-CTAについても、外科と協力して取り組んでいる。下肢血管の描出は、通常は自動骨除去や自動抽出などのオート機能が使われるが、同院ではM900時代から下肢をいくつかのパートに分割して骨を作成し、マスク処理することで血管のMIP画像を作成する方法をとっている。城間技師は「現在は、オートの性能が向上し速く精度の良いCTA画像が得られるようになりましたが、以前からのこだわりで分割処理の手法を使っています。石灰化や狭窄がひどく撮影条件が悪い症例の場合には、この手法が有効です。ziostation2では、マニュアルの場合でも少ない手順で作成できます」と評価する。

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s ziostation2をシンスライスサーバーとして読影室でMPRを作成

ziostation2では、最大4フェーズを同時に3Dに構築することが可能で、当院では、主に最も3D画像作成に必要な動脈早期相、門脈相、肝静ziostation2での操作性について、城間技師は次のように評価する。
「チャンピオンデータを自動できれいな画像に仕上げることはどんなWSでもできますが、ziostation2では撮影条件の悪いデータから手をかけながら作成する時でも、操作の柔軟性が高く手数をかけずに思い通りの画像を作ることができます。特に、ziostation2では、自動骨除去や血管自動抽出など精度が向上したことで、サブトラクション画像と3Dのフュージョンなど、高度な処理がシンプルに行えます」
同院では、PACSが導入されておりziostation2で再構成した3D画像は、2D画像としてPACS側に転送して診療側に提供している。また、ziostation2をシンスライスデータのサーバーとしても利用し、すべての検査のボリュームデータを保存している。放射線科では、読影の際に、必要に応じてVGRクライアントでMPR画像を再構成して利用している。井戸主任は、「当院では、さらに細かいスライスが必要な場合や角度を変えて観察したい場合には、放射線科医が自ら作成しています。ziostation2では、技師が作成した3Dデータを"ワークスペース"に保存しておけば、ほかのクライアントからも簡単に利用できます」と説明する。

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s 診療科とコミュニケーションを深めて必要な情報を提供

同院での、これからの3D画像処理の方向性について井戸主任は次のように語る。
「現在は、主に3D作成を行うのは7名ですが、今後はより多くのスタッフが専門的な画像処理が行えるようにスキルアップを図っていきたいですね。そのためには、WSの機能の習得や解剖の理解も重要ですが、診療科の医師とのコミュニケーションを密にして、必要とされている情報は何かを把握することが求められます」
3DWSをいち早く導入し、沖縄県の画像解析を牽引してきた同院のこれからの活躍が期待される。

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(インナービジョン2011年8月号掲載)

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