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3Dを始めてみよう!

【月刊インナービジョンより転載】

●zioTerm2009でCPRを使いこなす!(2009年11月号)

2009年8月より,無料で使えるソフトウェア「zioTerm2009」のダウンロードが始まりました。zioTerm2009ではさまざまな3D画像処理ができます。3DのVRやMPRだけでなくCPR(Curved Planar ReconstructionまたはCurved MPR)も簡単に表示できます。

CPRの特長

マルチスライスCTの普及に伴い画像処理もさまざまな手法が用いられるようになりました。従来の2Dのスライス観察に加え,MPR(Multi Planar Reconstruction:多断面再構成)やCPR(Curved Planar Reconstruction:曲面多断面再構成。Curved MPRとも呼ばれます)もよく用いられています。
CPRとは任意に結んだ点を曲面で再構成し指定した方向へ投影したものです(図1)。CPRは蛇行した長い管状の構造物や曲面に沿った部位の観察に役立ちます。例えば,MPRでは一部しか表示されない血管も,血管に沿ったCPRを作成すると1枚の画像で血管全体を表示することができます(図2)。ただし,CPRでは曲面を再構成しているため歪みが生じています。AxialやMPRと併用が必要であることを理解しておかなければいけません。

図1  CPRの概念図
図1 CPRの概念図
図2  頸部の表示例 MPRでは蛇行した血管は一部しか表示できない。CPRでは血管全体を表示できる。
図2 頸部の表示例 MPRでは蛇行した血管は一部しか表示できない。
CPRでは血管全体を表示できる。

CPRを使いこなす

人体のパーツはほとんどが曲面と蛇行した管状の構造物で形成されています。連続した曲面で再構成したCPR画像で観察することで,前後のつながりや血管の走行,狭窄などを把握することも容易にできます。例えば,臨床的には血管の走行や狭窄の程度,範囲を把握するために役立ちます。血管では頸部や冠動脈,下肢動脈などの観察によく用いられます(図3)。また,膵管の描出にも有用です。膵がんの症例では膵管の不規則な狭窄や途絶が見られるため,CPRで膵管の走行を把握することが臨床でも意義があると言われています。

図3 CPRの表示例 a:心臓のAxial,Coronal,CPR,MPR短軸像の同時表示例 b:下肢のCPR表示例(石灰化や狭窄の範囲を把握できる)
図3 CPRの表示例
a:心臓のAxial,Coronal,CPR,MPR短軸像の同時表示例
b:下肢のCPR表示例(石灰化や狭窄の範囲を把握できる)

簡単な操作でCPR画像を作成

zioTerm2009ではAxial,Coronal,Sagittalのいずれの断面からでも,また,VRやMPRからでもCPRを作成することができます。今見ている断面や3D上でパスを指定するだけでリアルタイムにCPR画像を表示します。さらに投影面をAxial,Sagittal,Coronalで指定するだけでなく,自由な方向に回転して投影することができます。

●zioTerm2009で マスク処理をしてみよう!(2009年12月号)

CTやMRIなどのボリュームデータからVR画像やMIP画像を作成するためには,CT値(または信号値)の特性と「オパシティカーブ」の形状を理解して「マスク処理」する必要があります。

オパシティとマスク処理

CT値は臓器によって異なります。例えば水のCT値は0,空気は−1000,骨はおおよそ1000です。そのため物体を表示するCT値の範囲を調整すると物体の見え方が異なります。3次元画像処理ではこのCT値の特性を活かして「オパシティ(不透明度)」を用いてボリュームデータから物体を描出します。一般的にオパシティは横軸にCT値(または信号値),縦軸に不透明度を表し,オパシティのカーブ形状やしきい値を調整すると描出される物体の見え方が変化します(図1)。
マスク処理とは,ある画像の領域をマスク(隠す)することで目的の部位や形状を表示する画像処理法です。
3次元画像処理ではマスクとオパシティを組み合わせて画像を作成します。不要な範囲をマスク処理して隠し,その中でオパシティを調整することで物体を描出します。マスク処理を行う際には,必要な部分をマスク処理で隠してしまっていないか,適切なオパシティで目的とする部位が描出されているか,元画像(Axial画像など)を用いて確認することが重要です。

図1  マスクは同じでもオパシティカーブを調整することで このように全く見え方が異なる
図1 マスクは同じでもオパシティカーブを調整することで このように全く見え方が異なる

血管のVR画像を作成してみよう

ここでは骨を除去して血管と臓器のみのVR画像を作成してみましょう。zioTerm2009では「レンダリング設定」でオパシティカーブを調整します。マスク領域は赤色で表示されています。マスク処理には「3Dマスクツール」を利用します(図2)。
zioTerm2009にはターゲット画像を作る領域(ボリュームタブ)が4つ用意されているので,例えば骨と臓器を別の領域に作成し,より目的に合った画像を作成することも可能です。

図2 3Dマスクツールを用いたマスク処理例
図2 3Dマスクツールを用いたマスク処理例

●zioTerm2009の便利な機能を使ってみよう! ─クイックパレットとSlab MIP─(2010年1月号)

マウス移動が減る!

“そこから作業を始める”というコンセプトで「クイックパレット」 (図1)は設計されています。クリックするだけで作業に必要なツールが浮かび上がり,作業に必要なコマンドをすぐに使えます。
一般的に画像処理では目的に合わせて複数のツールを使います。それらのツールは画面横端にまとめてボタンで表示されていたり,画面上部のツールバーから選択する形式が多いでしょう。しかし,ある機能のツールを連続して使用する時に,何回も同じ場所までマウスを移動してボタンを選ぶのは煩雑だと感じたことはないでしょうか。モニタサイズが大きい場合などはマウスの移動距離が長くて操作が面倒だと思うこともあるでしょう。クイックパレットなら,使いたい場所にツールがすぐに表示されるので,マウス操作が格段に減ります。

図1  クリックした位置に表示される「クイックパレット」
図1 クリックした位置に表示される「クイックパレット」

クイックパレットを使ってみよう

例えば,A点からB点まで距離を計測する場合を,一般的なツールボタンを使った操作とクイックパレットの操作とを比較してみましょう。
一般的な操作ではA点からツールボタンにマウスを移動させた後に,再びA点まで戻る,つまりマウスを往復させる必要があります(図2)。一方,zioTerm2009のクイックパレットではA点でクリックすると同時にパレットが表示されるので,そのままマウスを移動することなく距離を測る作業が行えます(図3)。
このようにクイックパレットならいつでもクリックした点に表示してツールを選択できるので,マウス移動が減るだけでなく,ツールボタンのクリック数も減り,効率よく作業ができるのです。
クイックパレットには使用頻度の高いツールがすぐに使えるように配置されています。画像の保存,ROIや距離の計測,テキストの記入などがすぐに選べます。3Dマスク処理によく使うツールも配置されており,「More」ボタンをクリックすれば,ほとんどすべてのツールをクイックパレットから選択できます。

図2  一般的な操作ではマウスを移動してツールを選択する必要がある
図2 一般的な操作ではマウスを移動してツールを選択する必要がある
図3  クイックパレットではマウスを移動することなく ツールを使える
図3 クイックパレットではマウスを移動することなくツールを使える

Slab MIPとは

Slab MIPとはMIPで厚みをつけた断面を血管の走行に沿って移動しながら観察する方法です。MIPで厚みをつけた断面で観察できるので,血管の走行や石灰化を把握しやすいという特長を持っています。注目したいところを直交断面のMPRで観察することで,血管の内腔情報を把握することができます。
zioTerm2009にはSlab MIPが搭載されています。 zioTerm2009を使えば特別な画像処理を行わなくても,すぐに冠動脈を観察することができます。Slab MIPは心臓カテーテルのIVUSと似た角度で観察できるので,循環器内科の先生にもなじみやすい手法と言えるでしょう。

Slab MIPを使ってみよう

「Slab MIPで開く」を選択すると,Slab MIPの観察に最適なレイアウトとして右にMIPで厚みを持ったMPR,左に血管の直交断面を表示します(図4)。Slab MIPではダブルクリックした位置が中心にきます。血管の走行に沿ってダブルクリックしていくだけで,屈曲した血管を見失うことなく血管全体を表示します。特に注目したい部分は左の直交断面(MPR)で血管内腔を観察することができます。さらにCT値の分布をカラーで表示すればプラークの分析にも役立ちます。

冠動脈を観察してみよう

例としてLADを観察してみましょう。
(1) 右画面でLAD起始部をダブルクリックして,起始部を画面の中心に移動する(図4 a)。
(2) 右下方向にドラッグすると血管全体が見えてくる(図4 b)。
(3) LADを起始部からダブルクリックしていく。(2) と (3) の操作を繰り返す(図4 c)。
(4) 左画面の直交断面を観察する場合は「直交面観察」ボタンをクリックする(図4 d)。
(5) 必要に応じて「カラーマップ」ボタンをクリックしてカラー表示する(図4 e)。

図4 Svwlab MIPの使い方
図4 Svwlab MIPの使い方
図4 Svwlab MIPの使い方

同様にしてLCXやRCAも観察します。血管の走行がわかりづらい場合は,Slab MIPの厚みを増やすと位置を把握しやすいでしょう。

●zioTerm2009で 仮想内視鏡表示をしてみよう!(2010年2月号)

CTやMRIなどのボリュームデータではCT値(MRIでは信号値)の特性と「オパシティカーブ」の形状を利用してさまざまな画像種で観察することができます。今回はVE像(Virtual Endoscopy:仮想内視鏡像)での観察方法について述べます。

仮想内視鏡表示とは

仮想内視鏡とはその名の通り,CT値とオパシティカーブの特性を用いて,仮想的に内視鏡のように表示する手法です。VR像(Volume Rendering:ボリュームレンダリング)が遠位の視点から物体を観察している状態に対して,VE像は視点を自由に移動させて観察します。そのため,物体に接近すると物体が拡大して見えたり,管状の内部を観察できるようになります(図1)。
CTやMRIのボリュームデータを用いた仮想内視鏡表示の最大の利点は,実際の内視鏡では実現できない視点から観察できることです。気管や腸管などで,通常の内視鏡では実際に観察できない角度でも,仮想内視鏡ならカメラの位置や方向を自由に動かせます。屈曲の大きな部位や壁,襞に隠れた部分も仮想的に表示することができます。さらにオパシティを調整することで壁の外側の情報も得られます。また,実際の内視鏡が入れない細い部分にも分解能が許すかぎり仮想的に入っていくことも可能です。

図1 VRとVEの違い
図1 VRとVEの違い

zioTerm2009で仮想内視鏡表示をしてみよう

実際に気管支を仮想内視鏡表示してみましょう。空気を含んだ器官をVEで表示するにはオパシティカーブは右上がりを選択します。VEのカメラ位置を気管支上にセットしてWL/WWを調整すると,仮想内視鏡で表示されます(図2)。カメラの種類を切り替えて広角表示にすることもできます(図3)。
なお,血管内腔を表示する場合にはオパシティカーブは左上がりに設定します。zioTerm2009では内視鏡のプリセットも用意されているので,表示部位に合わせてプリセットを活用すると便利です。

図2  VEのカメラ位置を気管支上にセットしてオパシティカーブを調整すると,気管支鏡のように表示できる。
図2 VEのカメラ位置を気管支上にセットしてオパシティカーブを調整すると,気管支鏡のように表示できる。
図3 カメラの種類を切り替えて広角表示も可能
図3 カメラの種類を切り替えて広角表示も可能

zioTerm2009を入手するには

ザイオソフト社のWebサイトからユーザ登録後,個人のPCにダウンロードしてインストールします。zioTerm2009は研究・教育を目的としています。

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