国立循環器病研究センター病院 循環器医療の最先端を支える3D画像処理ネットワークをziostation2で運用 電子カルテ導入に合わせて3Dボリュームデータの院内配信システムを構築

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国立循環器病研究センター病院
循環器医療の最先端を支える3D画像処理ネットワークをziostation2で運用
電子カルテ導入に合わせて3Dボリュームデータの院内配信システムを構築

国立循環器病研究センター病院では、循環器領域での高度で多様な画像診断に対応するため、CT、MRIなど画像診断機器の充実と、ザイオソフト社の3D画像ワークステーションによる三次元画像処理の体制構築にいち早く取り組んできた。 2007年には、ziostation2とネットワーク型の画像処理サーバーによる3D画像処理ネットワークを構築して、放射線科医と診療放射線技師が連携した3D画像処理体制を整えた。さらに、2012年1月からの電子カルテシステムの稼働にあわせて、3Dデータの院内配信をスタートし、さらなる利便性の向上を図っている。最先端の医療を提供するナショナルセンターにおけるziostation2を中心とする3D画像の運用を内藤博昭院長、放射線部の東 将浩医長、神崎 歩医師、中尾 弘副診療放射線技師長に取材した。

CT操作室ではziostation2のほか、VGRや、PACSの端末で3Dの作成、参照が可能
CT操作室ではziostation2のほか、VGRや、PACSの端末で3Dの作成、
参照が可能
PACS、レポート端末にVGRを搭載して3Dを活用した読影環境を構築
PACS、レポート端末にVGRを搭載して3Dを活用した読影環境を構築

内藤博昭 院長
内藤博昭 院長
東 将浩 医長
東 将浩 医長
中尾 弘  副診療放射線技師長
中尾 弘
副診療放射線技師長
s マルチスライスCTの導入に合わせ3D画像処理ネットワークを構築

国立循環器病研究センターに、ザイオソフト社のワークステーション(WS)が導入されたのは、4列のマルチスライスCTと同時にM900QUADRAが入った2001年が最初だ。2001年から放射線部長を務め、2010年に病院長に就任した内藤院長はセンターでの3D画像解析の活用について次のように説明する。
「当センターは、循環器病の究明と制圧を理念として高度な医療を提供することが使命ですが、同時に次世代の医療技術の研究、開発にも取り組んでいます。画像診断の領域では、患者さんにやさしく、効果の高い技術として3D画像解析に注目して早くから診療に取り入れてきました。CTの多列化、MRIの高磁場化と歩調を合わせて、3Dによる血管系の形態診断や冠動脈疾患の解析などが行える体制を整えました」
放射線部では、2007年にDSCT(シーメンス・ジャパン:SOMATOM Definition、2009年にDefinition Flashにバージョンアップ)、2010年に320列のADCT(東芝メディカルシステムズ:Aquilion ONE)が導入され、CTのデータ量が増加すると同時に3D画像解析の要望も高まり、PACSの導入と3Dネットワークの整備を進めていった。放射線部の東医長は、3D画像ネットワーク構築の経緯を振り返って、次のように説明する。
「最初に導入したザイオソフトのWSが、従来のWSに比べて操作性や処理速度が格段に優れていたこともあって、ザイオソフトを中心にした3D画像処理の体制を構築してきました。CTの性能向上による心臓CT検査数の増加と、3D画像処理の依頼増に対応するため、スタンドアローンからネットワーク型のシステムへと構成を発展させてきました。

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s ziostation2を中心にしたネットワーク型で3D画像作成を支援

放射線部では、3D画像ネットワーク については、高速大容量DICOMサーバーである「ZIOBASE」と画像処理サーバー「ZIOSTATION System 1000」を中心に、ziostation2の6台と、ネットワークタイプの端末としてのフル機能クライアント「VGR」 2台で構成している。また、放射線部ではPACS(シーメンス・ジャパン:syngo imaging)が導入されているが、そのうちの13台にVGRをインストールして、3D画像の作成、参照が可能な環境を構築している。3D画像を扱える端末は、CT操作室(ziostation2:4台、VGR:2台、読影端末:6台)、MRI操作室(ziostation2:1台、読影端末: 5台)、読影室(読影端末:4台)、RI室(読影端末:4台)、カテ室などに設置する(システム構成図参照)。3D画像処理ネットワークの有用性を東医長は次のように語る。
「ネットワーク型の運用によって、3D画像を作成する診療放射線技師と読影医の業務の分担がスムーズになり、運用のフローが良くなりました。ziostation2の機能であるワークスペース保存を活用することで、作業の分散と役割を分けた運用が容易に可能になっています。また、読影端末にVGRをインストールすることで、保存された静止画ではなく、任意の方向から3D画像を参照でき、必要な角度の画像を保存してレポートに添付するなど、3D情報を活用した画像診断が行えます」

◆国立循環器病研究センター3D画像処理ネットワーク構成図
◆国立循環器病研究センター3D画像処理ネットワーク構成図

VersaWebで院内の電子カルテ端末に3Dデータを配信
VersaWebで院内の電子カルテ端末に3Dデータを配信

同センターでの1日のCTとMRIの検査件数は、100〜150件、多い時には170件を超える。そのうち、WSを用いて3D画像を作成するのは20〜25件にのぼる。診療放射線技師41名のうち、3D画像作成業務に当たるのは約20名。3D画像の作成は、CT担当の診療放射線技師が中心に行い、そのほかMRI室や病棟X線撮影業務の担当者が対応する。3Dを作成する領域で多いのは大動脈、頭頸部、冠動脈などとなっている。東医長は、「ziostation2では、VRやMIPでの観察をはじめ、冠動脈に関してはCT冠動脈解析を利用して、MIPやCPRで診断しています。バージョンが上がるにつれて、自動解析の精度が向上しており、ほとんど最後の修正を行うだけで、作成にかかる時間は大きく短縮されています。緊急検査を含めて迅速な診断が要求されますので、大きなメリットですね」と言う。

同センターには、全国からさまざまな症例が集まるが、小児の先天性心奇形などの症例では、3D画像再構成によって、臨床医への有用な情報提供が可能になっていると東医長は言う。
「先天性心奇形の症例では、血管や心臓の位置や形状が通常と異なっており、CTを一見しただけでは全体を把握できません。3D画像で血管などのパーツを色分けし、透過度をつけて表示することで、術前のシミュレーションなど、次の治療のために有効な情報を提供できます」(症例画像参照)

先天性心疾患術後症例 (30歳代、ファロー四徴症術後)
先天性心疾患術後症例 (30歳代、ファロー四徴症術後)
先天性心疾患では、通常と異なる心臓血管の位置関係を表示するのに3DVR再構成画像が好まれる傾向で すが、この症例では上行から弓部大動脈と右室流出路のパッチ部分を別 ボリュームとして透過表示することで、 冠動脈と大動脈、肺動脈との位置関係、重なりがよりわかりやすくなり、 臨床医から高く評価されました。(神崎 歩医師)

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s 電子カルテ稼働にあわせて院内への3Dデータの配信システムを構築

同センターでは、2012年1月より電子カルテシステム(NEC:MegaOakHR)が稼働した。それにあわせて、データ配信サーバー「ZIOBASE」とVersaWebによる3Dデータの院内配信を開始した。院内への3D画像の提供について、内藤院長は次のように説明する。  「放射線部で作成した3D画像の院内への提供方法については、以前から議論し検討してきました。診療科によって必要とされる3D画像は異なりますし、WSの配置もコスト的に限られます。電子カルテの稼働にあわせて、Webブラウザによる3D画像配信システムを導入し、院内の電子カルテ端末で3D画像を参照、操作が可能な環境を構築しました」

システムの構築を担当した放射線部の中尾弘副診療放射線技師長は、システムの構築までの経緯と概要を次のように語る。
「3D画像の静止画の配信は2010年から行っていましたが、今回の更新ではthin sliceデータの管理を病院情報システムに一元化し、読影環境と配信を統一したシステムにしました。放射線部で作成した状態を保存するライブキャプチャー機能を利用することで、院内からは電子カルテ端末で3Dデータの拡大・縮小や回転などの操作が可能です」
同センターは、電子カルテ化に先駆けて、2010年9月からフィルムレス化を図っているが、中尾副技師長は、VersaWebの配信ではthin sliceデータの閲覧用としても有効活用されるのではと期待している。

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s 高度で患者にやさしい医療を提供する3DWSのさらなる発展に期待

東医長は、ziostation2への要望として、より一層の自動化を挙げる。「現状でもCT冠動脈解析などはかなりの部分まで自動化されていますが、最後の段階ではまだ手動での調整が必要です。3Dの処理時間の短縮は迅速な診断や所見作成につながりますので、完成形まで自動化されることが理想です。それには、人間の操作や制作過程を学習して、自動処理にフィードバックすることも必要ですね」

内藤院長は、3DWSのこれからに期待することとして、「3DWSは診療に必須のものとなり、CTやMRIの進歩とあわせて、より患者さんにやさしい医療の提供を実現しています。今後は、時間や機能を含めた四次元の解析や、造影剤や石灰化などの定量的な計測が可能になることなどが求められると思います」と語る。

ziostation2をはじめとする3D画像解析ネットワークが、日本の循環器医療を支えるナショナルセンターでの画像診断を支え、さらなる医療の質の向上に貢献することが期待される。

(2012年3月8日取材)

独立行政法人 国立循環器病研究センター病院
独立行政法人 国立循環器病研究センター病院
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(インナービジョン2012年5月号掲載)

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