Haackeらが提唱した新たなコントラスト画像であるsusceptibility-weighted imaging(SWI)は,位相情報から得られる位相画像と強度画像(magnitude image)を複数回掛け合わせることで作成される磁化率強調画像化法である1)。この手法を応用したBOLD venographyは,血液中の磁性体により正常な静脈が低信号化する効果(bloodoxygenlevel dependent:BOLD 効果)を利用したもので,最小投影法(minimum intensity projection:minIP)という手法を用いて再構成される。SWIは,BOLD venographyのほかに,びまん性軸索損傷における微小出血の存在診断2)や,急性脳梗塞における塞栓子の描出・灌流異常領域の評価3)などへの応用が報告されている。
  これまでわれわれは,SWIと同様の手法であるphase-weighted imaging(PhWI)を用いて脳実質のコントラストについて検討してきた4)。本稿では,PhWIを用いた大脳皮質の検討について紹介し,新たな再構成法“位相差強調画像化法(Phase Diff erence Enhanced Imaging:PADRE)”と,最近導入された“T2 starweighted angiography(SWAN)”について概説する。

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