マルチスライスCT(MSCT)の出現により,広範囲・高分解能な検査が可能となったが,組織分解能が低いため造影剤を使用する必要がある。このとき,造影剤をどのように使用しても検査としては成り立つが,造影剤の注入方法により描出能が大きく変化する。
  しかし,血管内ヨード量が多いほどCT値が高くなるが,どんなにヨード量を多く使用しても,病変部に血流量の相違がなければその描出は不可能となる。また,同一ヨード量においても,注入時間によりCT値が大きく変化する(図1)。
  このことから,造影検査において造影剤注入方法と使用ヨード量を決めることが適切な造影検査に必要となる。なお,注入方法を検討するに当たり,通常使用しているフローレート(mL/s)を単位として使用した場合,TDC(time density curve)に不都合が生じるため,時間あたりヨード量(mg/s)を使用する必要がある(図2)。

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