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MRI超音波  MRI,超音波

GEヘルスケア・ジャパン
日本初のMRガイド下集束超音波治療器
「ExAblate 2000(エクサブレート2000)」発売

〜子宮筋腫の治療が切らずに日帰りで可能に〜
−MRIで患部の位置や温度変化を常時確認しながら
超音波を照射し筋腫組織を壊死−

(2010/1/13)

●価格
10億円(税込)
●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
広報グループ
TEL 0120-202-021 FAX 042-585-9541
Mail: aki.matsui@ge.com
http://www.gehealthcare.co.jp

MRガイド下集束超音波治療器ExAblate 2000

MRガイド下集束超音波治療器ExAblate 2000
MRガイド下集束超音波治療器ExAblate 2000

 GEヘルスケアグループの日本法人であるGEヘルスケア・ジャパン(株)は,日本初のMRガイド下集束超音波治療器「ExAblate 2000(エクサブレート2000)」を全国の産婦人科を主対象に発売する。

 ExAblate 2000は,MRI(磁気共鳴画像診断装置)で撮影した画像をもとに,体外から超音波を照射して筋腫領域に集束させることで,筋腫組織を局所的に加熱し,壊死させるMRガイド下集束超音波治療器(MRgFUS:MR-guided Focused Ultrasound Surgery)。対象は痛みや出血などの自覚症状がある症候性子宮筋腫患者*1。治療は平均3〜4時間で腹部を切らずに低侵襲的に完了し,痛みや副作用も軽いため,日帰りでの治療が可能になるなど,患者のQOL(生活の質)を飛躍的に高める。またMRIと組み合わせて使用するため,MRIの撮影画像上で治療計画を策定できるほか,治療中もMRIから得られる画像データをもとに,超音波の照射位置や焦点温度などをリアルタイムで監視しながら治療できるため,高い安全性を誇る。

 女性ホルモンの影響で成長するとみられる子宮筋腫は子宮内にできる良性の腫瘍で,現在日本人成人女性の4人に1人が持っているといわれている。年齢別では家庭的・社会的に重要な役割を担う35〜50歳が筋腫人口の約8割を占めると推測されている*2。現在では,子宮全体を取る全摘手術,筋腫だけを切り取る子宮筋腫核出法(各々について開腹術と腹腔鏡術がある),そしてカテーテルを血管に入れて薬剤で血管を詰まらせて筋腫を縮小させる子宮動脈塞栓術(UAE:Uterine Artery Embolization)などの外科手術がその主な治療法だが,患者の体への負担が大きく,術式によって1日〜2週間の入院が必要で,しかも開腹術の場合には腹部に傷が残るという課題がある。

 ExAblate 2000では,MRIの画像をもとに,虫眼鏡で光を1点に集めるのと同様に,208個の発生源から出る超音波を1点に集めて,うつ伏せになった患者の患部に照射し,焦点組織の温度を65〜85度まで上昇させ,子宮筋腫組織を壊死させる(図1参照)。治療時間は平均約3〜4時間で,麻酔もかけないため,手術後1時間ほど安静にすれば日帰りも可能。また低侵襲的で体に傷跡が残ることもない。

 ExAblate 2000に組み合わせるMRIは,GE製Signa(シグナ)シリーズ1.5Tおよび3.0Tで,同MRI装置の既存ユーザーは新規にExAblate 2000を購入するだけで,症候性子宮筋腫患者の集束超音波治療が可能になる。
  さらに同社では,ExAblate 2000を使用してFUSを実施する医療機関に対し,社団法人日本産科婦人科学会の認定を取得したトレーニングを提供する。一企業が実施するトレーニングを同学会が認定したのは今回が初めてとなる。

図1

  ExAblate 2000は子宮筋腫治療の目的で,欧州では2002年にCEマークを,米国では2004年に食品医薬品局(FDA)承認を取得している。2009年12月現在,米国で30台,欧州で29台,アジアで20台と全世界で79台設置されており,同製品を使用した海外での治療件数は約5,500症例となっている。国内では2003年以降,全国9施設がExAblate 2000を個人輸入して,子宮筋腫のFUSを自由診療で提供している。

 2004年12月からExAblate 2000を使用したFUSを実施し,これまで約200例の治療実績を誇る板橋中央総合病院の森田豊・産婦人科部長は,「メスや麻酔を使わず体への負担が軽いのがFUSの最大のメリット。日帰りが可能で翌日から日常生活に戻れると知って,FUSを希望する患者さんが増えています。治療中に腹部の痛みを伴う人もいますが比較的軽く,皮膚の発赤などの副作用も極めて稀です。入院が不要なので仕事や育児に忙しい30,40代の女性や,子宮を残したい女性にとっては画期的な治療法です」とFUSの有効性を述べている。

 GEヘルスケア・ジャパンでは,子宮筋腫の治療を実施している全国の産婦人科を対象にExAblate 2000を積極的に販売することで,早期にFUSの第一人者としての地位を確立することを狙う。
 また,このExAblate 2000の市場投入を契機に,全国の産婦人科医や女性を対象に,各種トレーニングやセミナーを実施するなど,教育・啓発活動の充実も図り,子宮筋腫患者のQOLを向上するFUSの認知拡大ならびに理解促進を目指す。

*1 症候性子宮筋腫患者の中でもFUSを受けるにはいくつかの条件をクリアする必要がある。主なものは以下の通り。
・妊娠中でないこと,さらに挙児希望でないこと
・治療対象の筋腫が12cmを超える深さにないこと
・治療対象の筋腫が骨表面から4cm以上離れていること
・超音波が通過する経路に手術痕,腸管などの阻害物がないこと
・1回の治療範囲が500ccを超えないこと

*2 出典:水口弘司氏監修『子宮筋腫の知識』(日本臨床社)