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核医学(PET, SPECT)  核医学(PET, SPECT

GEヘルスケア・ジャパン
心臓検査用SPECT装置の最上位機種
「Discovery NM 530c」を発売
―国内初の半導体検出器搭載SPECT装置,
画質の向上と検査時間の短縮を実現
(2010/11/10)

●価格
Discovery NM 530c
5億円(税抜)
Discovery PET/CT 600
14億2,400万円(税抜)
●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
広報 松井亜起
TEL 0120-202-021
FAX 042-585-5360
Mail: aki.matsui@ge.com
http://www.gehealthcare.co.jp

Discovery NM 530c

  GEヘルスケアグループ(以下「GEヘルスケア」)の世界中核拠点の1つであるGEヘルスケア・ジャパン(株)は11月10日(水),半導体検出器を搭載した国内初の心臓検査用SPECT装置(単光子放射断層撮影装置)「Discovery NM 530c(ディスカバリー・エヌエム530シー)」を,最先端の診療・研究を手掛ける大学病院や基幹病院,循環器病院を主対象に発売する。

  SPECT装置とは,体内に投与された放射性医薬品から放出される単光子の微弱なガンマ線やX線を検出し,その分布を画像化する装置で,Discovery NM 530cは核医学検査の中でおよそ4分の1の高い割合を占める心臓検査用SPECT装置のGEヘルスケアにおける最上位機種となる。Discovery NM 530cの最大の特長は,GEヘルスケアが独自開発した「Alcyone Technology (アルシオン・テクノロジー)」の搭載で,臨床用SPECT装置として国内で初めて,体内からの放射線を直接電気信号に変換する半導体検出器の実用化に成功したこと,ならびにGEヘルスケア製SPECT装置で初めて,検出器を半リング状に配置し同時に180度方向のデータ収集を可能にしたこと。これらの新技術の採用による主要メリットは以下の通り。

(1) トレードオフにある分解能と感度をともに向上し高画質な撮像を実現
従来の検出器では,体内から放出される放射線を一旦光に変えてから電気信号に変換するため放射線の損失が大きく,検出効率の低下を招いていたが,Discovery NM 530cでは体内からの放射線を直接電気信号に変換する半導体検出器の搭載で,エネルギー分解能を約2倍に高めたほか,トレードオフにある感度と空間分解能をそれぞれ4倍と2倍に高める(GEヘルスケア製心臓検査用SPECT装置「Ventri(ベントリ)」との比較)独自のシステムデザインの採用で,クリアな画像撮影を実現した。

Discovery NM 530c と従来装置で撮影した心臓画像の比較

(2) 検査時間を約4分の1に短縮し患者の負担を軽減
Discovery NM 530cはGEヘルスケア製SPECT装置で初めて,小型の半導体検出器を半リング状に配置し,検出器を回転させることなく,同時に180度方向のデータ収集に成功,従来の検出器を回転させて撮影していた際に発生していたアーチファクト(偽像)を削減するとともに,患者の安全性向上や検査時間の短縮を実現。半導体検出器の採用と小型検出器の180度方向への配置による多方向からの同時データ収集で,1回あたりの検査時間を従来の約11分から約3分へと約4分の1に短縮(Ventriとの比較),患者の負担を大幅に削減する。

(3) 新たな臨床応用への可能性を開拓
高感度検出器による同時データ収集に成功したことで,投与した放射性医薬品の集積状況やクリアランスを時系列で追いかけるDynamic SPECTが可能となり,冠動脈の狭窄度合いの指標である冠動脈血流予備能や心筋血流量の測定につながることが期待されている。また,複数の放射性医薬品(例:Tc-99m ,I-123など)を同時に投与して,一度で複数の検査を実施する2核種同時収集の臨床応用など,同装置の高いエネルギー分解能をはじめとする特長を生かした検査法への利用拡大が期待されている。

  SPECT装置は1965年以降現在に至るまで,ヨウ化ナトリウムの単結晶とPMT(光電子増倍管)を組み合わせた検出器が搭載されてきたが,同検出器は放射線を一旦光に変えてから電気信号に変換するため放射線の損失が大きく,検出効率の低下を招いてきたほか,エネルギー分解能と画像自体の分解能が十分でなく画質の低下につながっていた。この解消に向け,20年近くにわたり各社が半導体検出器の開発に取り組んできたが,技術面やコスト面などから実用化に至らなかった。

  そのような中,GEヘルスケアでは独自の半導体検出器向け総合システム設計技術「Alcyone Technology (アルシオン・テクノロジー)」を心臓検査用装置向けに開発することで,半世紀ぶりにこの課題を克服,国内の臨床用SPECT装置として初めて,テルル化亜鉛カドミウム(CZT)を使用した半導体検出器の実用化に成功した。

  Discovery NM 530cは2009年3月に世界に先駆けて米国で発売されて以来,米メイヨークリニック(ミネソタ州)など既に全世界で約40台が稼働し,導入医療機関から高い評価を獲得している。

  同社では,11日(木)〜13日(土)に大宮ソニックシティ(埼玉県さいたま市)で開催される第50 回日本核医学会学術総会に,Discovery NM 530cをはじめ,2009年4月に発売した,Motion Freeをコンセプトとした高感度PET/CT「Discovery PET/CT 600(ディスカバリー・ペットシーティー・600)」のモデルチェンジ機種を出展する。