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GEヘルスケア・ジャパンとソフトバンクテレコムが医療IT事業で提携
クラウドコンピューティングを活用したデータホスティング事業を共同展開

(2011/3/1)

●問い合わせ先
GE ヘルスケア・ジャパン(株) 広報 松井
TEL 0120-202-021 Mail: aki.matsui@ge.com
http://www.gehealthcare.co.jp
ソフトバンクテレコム(株)広報室
TEL 03-6889-2300
http://www.softbanktelecom.co.jp/

  GEヘルスケア・ジャパン(株)とソフトバンクテレコム(株)はこのほど,医療IT事業で提携し,その第一弾として2011年9月1 日(予定)からクラウドコンピューティングを活用した医療用画像のデータホスティング事業を共同で展開することで合意した。
  大手ヘルスケア企業と国内トップクラスの通信会社による共同のデータホスティング事業は国内初であり,加えて本事業はGEヘルスケアにとって国内初のデータホスティング事業,ソフトバンクグループにとっては初の医療用データホスティング事業となる。

  このデータホスティング事業では,CTやMR,PETなどの画像診断装置で撮影した医療画像をPACSで保管・参照・管理するGEヘルスケア・ジャパンの顧客医療機関に対して,ソフトバンクテレコムの保有するデータセンター設備を活用した医療画像の院外保存サービスをブロードバンド回線経由でのクラウド型サービスとして提供する予定。

  本サービスの提供にあたり,GEヘルスケア・ジャパンはデータセンターにおいてホスティングされる医療画像の管理に必要なソフトウェアを医療機関に提供するとともに,医療画像保存に関する運用業務を手掛ける。一方ソフトバンクテレコムはデータセンターの設備,ストレージやサーバー等の機器,回線などのインフラを提供する。医療機関への本サービスの提供に際する料金体系は,基本使用料とホスティングしたデータ容量に応じた従量料金を組み合わせた形を予定している。

  両社が共同で本事業を展開する背景には,病院における医療画像管理負荷の加速度的な増大という問題がある。近年,画像診断装置のデジタル化の進展や診療報酬改定での「電子画像管理加算」の新設などに伴い,医療機関においてフィルムレスで画像データを一元管理する体制や病院内/病院間のネットワーク構築が急ピッチで進められてきた。また,画像診断装置機能の高度化,三次元画像解析の広範化により,検査あたりの画像枚数も大幅に増加してきている。
  一方で,医療機関は最低5年分の医療画像データを自施設内に設置したサーバーに保存することが要請されており,増え続ける画像データの管理・保管に関する負担が質・量ともに増大していくことが大きな経営課題となっている。
  そのような中,昨年2月に「診療録等の保存を行う場所について」(2002年3月29日付け医政発第0329003号・保発第0329001号厚生労働省医政局長・保険局長通知)の一部が改正され,一定の条件下において医療画像の外部保管が可能となった。

  本データホスティング・サービス等を活用し画像データの保管(セキュリティ対応を含む)を外部委託することで,医療機関は大容量の医療画像データを従来と同等の利便性を残したまま,従来よりも低いコストで利用できるようになる。
  また,医療画像の保管は,プライマリーデータセンターと遠隔地に設置されたバックアップ用のデータセンターにより完全二重化されるので,これまでの病院では手薄であったディザスタリカバリ(災害時復旧)体制を強化できる。

  特にGEヘルスケアのPACSは2ティア型と呼ばれる,「短期ストレージ」(主に撮影から3年以内の画像を保管)と「長期アーカイバー」(主に撮影から3年を超える画像を保管)の2層構造という特長を有しており,本データホスティング・サービスではこの長期アーカイバーに保管されている画像を対象とする。
このユニークな2層構造型PACSにデータホスティング・サービスを組み合わせることで,医療機関はこれまでにない以下のようなメリットを享受できる。

  1. 短期ストレージは引き続き院内に置くため,直近に撮影し頻繁にアクセスするデータはこれまでと同様,院内の高速ネットワークを活用した迅速な読影・参照が可能
  2. 長期アーカイバーを院外のデータセンターに持つため,長期・短期とも院内に保存されている現状に比べてディザスタリカバリ能力が大幅に向上するだけでなく,さらにバックアップ用のデータセンターを用意することでより強固な災害対策を実現
  3. データセンター上の長期アーカイバーにあるデータにプリフェッチ(予め必要なデータを特定し夜間等に短期ストレージにダウンロードしておく方法)をかける運用を実現することで,院内システムとデータセンター間をつなぐ超高速回線を新設する必要がなく,GEヘルスケア・ジャパンが既に提供しているセキュリティの確保された保守回線を利用可能。
    そのため,低コストかつ短期間でのサービス導入を実現

  GEでは現在「より身近で質の高い医療を多くの人々に」提供することを目指す「ヘルシーマジネーション(healthymagination)」を2009年5月から全世界で展開しており,その重点分野の1つである医療IT事業においてe-Health(イーヘルス)構想を掲げている。
  この構想は,ITを活用して医療・健康情報を電子化・標準化・共有化することで,一人ひとりのQOL(生活の質)を高めていこうとするものです。GEでは,医療画像向けのデータホスティング事業を皮切りに地域間での画像の共有から,電子カルテなど画像以外も含めた医療データの共有による遠隔医療の支援,そして個人の全人的・生涯包括的医療・健康情報の電子化・共有化により疫学・公衆衛生の観点を反映した最適な診断や治療への寄与までを長期的な視野に入れ,各種ソリューションの開発・提供を世界規模で進めている。

  一方,ソフトバンクグループでは現在,「情報革命で人々を幸せに」を理念として,医療先進国日本を目指すべく“いつでも,どこでも,つながる”医療クラウドを実現するためにIT技術の粋を結集させて総合的なサービス展開を図っている。

  そのような中,GEヘルスケア・ジャパンではこれまで,PACSや放射線医が読影所見報告書を作成するレポーティング・システム,循環器部門のワークフローを改善する業務支援システムなど,高性能システムを中心に多彩な医療用ITソリューションを顧客ニーズにあわせて総合的に提供してきた。これらのソリューションでは既に大学病院や地域基幹病院など大規模医療機関にて高いシェアを誇っていますが,最近では医療機関の経営効率化に加えて,急速に進む超高齢社会に不可欠な在宅医療や地域医療連携,遠隔医療など日本の医療課題の解決に向けて,e-Health推進のさらなる加速を模索してきた。

  一方ソフトバンクテレコムは,医療分野での高いセキュリティと可用性が求められる中で,「ULTINA」ネットワークサービスとホワイトクラウドの提供,スマートフォンなどの最新デバイス提供を通じてトータルなサービスを推進しており,日本の医療分野での高いプレゼンスを持つGEヘルスケア・ジャパンとの協業により相乗的に日本の医療IT革命を推進できるものと期待している。

  国内の医療IT普及によるe-Healthのさらなる推進を目指すGEヘルスケア・ジャパンと,医療分野でのビジネス拡大を図るソフトバンクテレコムのニーズが合致し,今回の提携に至った。
  両社は,今回の事業立ち上げを足掛かりとして,中小規模病院や診療所に向けたPACSのASPサービスや,病院間で医療画像を相互活用できるサービス提供の事業化を引き続き検討していく。