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国際医療福祉大学が
医療制度改革の行方と
医療機関経営をテーマに
「第3回 医療経営セミナー」を開催

 

 1月31日(土),国際医療福祉大学が主催する「第3回 医療経営セミナー」が,東京・ホテルオークラ「平安の間」で開催された。今回は,「医療制度改革の行方と医療機関経営」がテーマ。厳しさを増す経営環境のなかで,今後の方向性を探り,健全な経営を目指す方策を考える場となった。
 開会に先立ち挨拶した谷 修一学長は,2003年8月の病床区分の届け出,厚生労働省が始めた地域医療計画の見直しなどが医療経営に大きな影響を与えているとともに,混合診療についても現実的な問題となっていると指摘。今回のセミナーが有意義な議論の場となるよう期待したいと述べた。
 この後,3名の基調講演が行われた。まず,幸田正孝氏(済生会理事長)が,「今後のヘルスケアシステムの方向」をテーマに講演した。幸田氏は,日本の保険福祉医療制度について,すぐに取り組むべき課題として,節度ある混合診療の導入,医療の質を高め,それを担保するための方策,診療報酬体系の再構築を挙げた。基調講演の2演題目では,厚生労働省医政局総務課長の榮畑 潤氏が「医療提供体制の改革の方向について」と題して,医療制度改革の現状を取り上げた。榮畑氏は,医師,医療機関数ともほぼ充足しているとの見解を示し,今後,臨床研修必修化や安全対策,IT化などにより,質を重視した改革を進めると説明した。続いて,川原邦彦氏(川崎医療福祉大学教授)が「医療機関における資金調達について」をテーマに講演。川原氏は,医療機関の場合,経営状況が判断しにくいなどの理由で,銀行が融資に慎重になっていると報告。資金調達しやすい環境を整備し,合わせて格付け・監査などの財務判断基準,信用保証制度の確立を進めるべきとの見解を示した。
 基調講演に続き,シンポジウム「医療制度改革の行方と医療機関経営」が行われた。開原成允副学長がモデレータを務め,4名のシンポジストが参加。渡延 忠氏(厚生労働省医政局指導課長)は,「これからの医業経営の在り方に関する検討会最終報告書」を基に厚生労働省の施策を説明した。また,全国社会保険協会連合会の伊藤雅治理事長は,社会保険病院の経営改革への取り組みと課題について発表。竹田綜合病院の竹田 秀理事長は,「民間医療機関経営の今後の課題」をテーマに,急性期病院の経営戦略についての意見を述べた。さらに,高木邦格氏(国際医療福祉大学理事長)は,民間医療機関の資金調達手段が限られていることを挙げて,病院債の可能性について言及。第三者の格付け機関として同大学が設立した(株)医療福祉経営審査機構の概要について報告した。
 セミナーでは,医療機関を経営していく上で,いかにして資金を調達していくかが,カギであることが示された。すでに,いくつかの格付け機関が事業を開始しており,注目を集めている。今後,医療だけでなく経営の質も問われる時代になることを,医療従事者は認識しなければならなくなるだろう。

問い合わせ先
国際医療福祉大学 国際医療福祉総合研究所
事務局:株式会社医療福祉経営審査機構
TEL 03-5414-6060 FAX 03-5772-8556



高木邦格 氏
(国際医療福祉大学)
谷 修一 氏
(国際医療福祉大学)
開原成允 氏
(国際医療福祉大学)

 

幸田正孝 氏
(済生会)
榮畑 潤 氏
(厚生労働省)
川原邦彦 氏
(川崎医療福祉大学)

 

渡延 忠 氏
(厚生労働省)
伊藤雅治 氏
(全国社会保険協会連合会)
竹田 秀 氏
(竹田綜合病院)