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広島地区MRPユーザー会会場風景


会場では質疑と意見交換が活発に行われた。

 


挨拶する西 修一氏
(日立メディコ 中国支店支店長)


座長の中村 修 氏
(広島国際大学教授)


八杉幸浩 氏
(日立メディコ
MRIマーケティング統括部)


肥合康弘 氏
(熊本大学医学部附属病院
中央放射線部)


片山貴美夫 氏
(医療法人社団 飛翔会
東広島整形外科
スポーツクリニック)


渡部 滋 氏
(日立メディコ
MRIシステム本部
インテリジェントオペ室
プロジェクトリーダー)


挨拶する古屋 進 氏
(日立メディコ 柏事業所
システム拡販統括部長)

 


「広島地区MRPユーザー会」発足

 

 最新鋭の0.4TオープンMRI「APERTO」をはじめとした日立メディコ社の“MRPシリーズ”(永久磁石型MRI装置)は,2004年3月末の全世界での納入台数3139台,昨年度単年度 (2002年4月〜2003年3月まで)ではMRI装置の国内納入台数の28%を記録した。MRPシリーズの出荷台数の増加とともに,ユーザー会も各地に広がっている。MRI装置の1/3が“MRPシリーズ”であるという広島県においても「広島地区MRP  ユーザー会」が発足し,第1回がメルパルク広島(広島市中区)において,3月14日に開催された。中村修氏(広島国際大学教授)を座長に行われたユーザー会は,質疑と意見交換が活発に行われ,盛況であった。次回からは,さらにエリアを拡大し,鳥取県,島根県,山口県,岡山県の地域を含めた「中国地区MRPユーザー会」として,開催することが予定されている。
 第1回ユーザー会はまず,永久磁石型MRI装置の開発の歴史や特徴などを八杉幸浩氏(日立メディコ MRIマーケティング統括部)が発表。同氏は,永久磁石型MRI装置のメリットとして,経済性,コンパクト性,磁場漏洩が狭いこと,オープン性を挙げた。さらに,超電導方式との比較において,永久磁石方式は磁場均一度が低いとされるが,患者さんが入ったときの磁場均一度では超電導方式と変わらないこと,高機能撮像では,常に超電導方式が先行してはいるものの,技術力によってカバーすることで,永久磁石方式では不可能とされていたMRAやMRCPなども実現していること,垂直磁場方式であるため,高感度(感度差1.4倍以上)のソレノイドコイルが使用できること,T1コントラストや画像アーチファクトの点ではむしろ画質の優位性があること,などを強調した。
 ユーザー発表では肥合康弘氏(熊本大学医学部附属病院中央放射線部)が「0.4T MRI装置APERTOの使用経験(1.5T装置と比較して)」のテーマで,1.5T装置とAPERTOとの比較を各部位(@ 頭部,A 関節,B 骨盤,C 脊椎,D 腹部)における臨床例で示した。同氏は,磁場が低いことでS/Nの低下を心配したが,良好な画像が頭部で得られ,フィルターを用いることでさらに見やすくなり,血管系の画像(MRA)でも臨床評価する上で十分な画質であると報告した。関節,頸椎では,従来のトンネル型装置ではできなかった横向きの撮像が可能 になるなど,オープンの優位性を示した。また,骨盤部においては空間分解能も十分で,低磁場では難しいとされていたFATSATもDixon法で可能にしているとした。息止めが必要な領域である腹部では,T1WI,T2WI,MRCPを紹介し,ダイナミックスタディにおいては,TEの違いによる造影効果の違いがあるため,撮像条件の工夫が必要であること,そして,肝特異性造影剤SPIOとの相性が非常に良いことを報告した。さらに,Balanced SARGE(BASG)シーケンスの特性や,Single Shot EPIを用いた拡散強調画像の有用性を,1.5T装置との比較を含めて発表した。
 関節の中でも構造上撮像が難しいとされる肩関節造影法について,「肩関節におけるMR Arthrography」のテーマで発表した片山貴美夫氏(医療法人社団 飛翔会 東広島整形外科ス ポーツクリニック)は,関節造影において150〜200倍に希釈したGd造影剤を10〜20mlを用い,脂肪抑制法と併用することでSLAP lesionなどの描出が容易となる上に,普段描出されないMGHLやIGHLなどの関節上腕靭帯の描出ができるとした。トンネル型のMRIでは挙上位にならざるを得ず,患者さんが疼痛を感じる上に,体動によるアーチファクトが生じるとした。そこで,挙上位になることなく,オープンMRIの特性を最大限生かせる撮像法としてABER位(外転外旋位)を紹介し,ABER位での @ Bankart lesion,A SLAP lesion,B 関節唇の剥離,C 腱板断裂,D 関節上腕靭帯の弛みについて,臨床画像を示して報告した。そして,ABER位では棘上筋,棘下筋が骨頭から離れるため,腱板深層部断裂の診断が容易であること,関節上腕靭帯では前関節上腕靭帯の描出が可能であること,さらには,関節腔造影を行った場合において,T2*脂肪抑制画像を撮像することで,高いコントラスト分解能の画像が安定的に得られるとした。
 最後に渡部滋氏(日立メディコ MRIシステム本部 インテリ ジェントオペ室プロジェクトリーダー)から,「次期システムソフトV5.0のご紹介とオープンMRIの治療への応用」のテーマで技術発表が行われた。同氏は,V5.0においてのDW-EPIの画質向上など計測系の新機能,水脂肪分離画像の再構成時間短縮やMIP処理の改良などの後処理系,および使い勝手の向上について紹介した。そして,治療用MRIに要求される機能や性能,さらに治療応用における今後の展望を紹介。加えて,超高磁場装置と高磁場オープンMRIの棲み分けや,加速する中・低磁場装置のオープン化傾向など,オープンMRIの将来展望を述べた。

問い合わせ先
(株)日立メディコ
担当:中国支店 営業課(都澤)
TEL 082-243-8816  FAX 082-243-8859
http://www.hitachi-medical.co.jp