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取材報告

2010
イーサイトヘルスケアが「遠隔画像診断セミナー」を開催

松尾義朋 氏(イーサイトヘルスケア)
松尾義朋 氏
(イーサイトヘルスケア)

萩野棋平太 氏(兼松エレクトロニクス)
萩野棋平太 氏
(兼松エレクトロニクス)

岩崎 康 氏(LLPテラーク)
岩崎 康 氏
(LLPテラーク)

岩崎氏のDICOM PASSPORTのデモンストレーション
岩崎氏のDICOM PASSPORTの
デモンストレーション

放射線科医などが参加したセミナーの会場
放射線科医などが参加した
セミナーの会場

  放射線科医や医療機関向けに遠隔画像診断のASPサービスを提供するイーサイトヘルスケア(株)は9月5日(日),兼松エレクトロニクス(株)(KEL)本館セミナールーム(東京都中央区)において,「遠隔画像診断セミナー─クラウド時代の遠隔画像診断」を開催した。イーサイトヘルスケアは現在,データセンターのサーバで画像ビューワとレポートシステムが動作するASPサービス「DICOM PASSPORT」を放射線科医や医療機関に提供している。今回のセミナーは,今後普及が進むと予想されるクラウド型の遠隔画像診断システムのメリットと可能性について紹介する場として設けられた。

  冒頭に同社の代表取締役社長で,放射線科医でもある松尾義朋氏が挨拶した。松尾氏は,2009年からクラウド型の遠隔画像診断システムを提供してきたがその利用が増えているとして,今回のセミナーがこれからの遠隔画像診断を考える機会になってほしいと述べた。

  この後,KEL札幌支店副支店長の萩野棋平太氏が,「遠隔画像診断におけるKELの役割」と題したプレゼンテーションを行った。KELは2002年にPACSの販売を開始したほか,昨年10月からはデータセンターを設けて,Web会議システムなどのクラウド型のシステムを提供している。さらに,現在はイーサイトヘルスケアとPACSを手がける(株)ジェイマックシステムと連携し,遠隔画像診断のASPサービスを展開している。このサービスでは,イーサイトヘルスケアがASPサービス,ジェイマックシステムがPACSやソフトウエア,KELがデータセンター運営・保守,ユーザーの発掘と,各社がそれぞれの役割を担っている。ユーザーはデータやソフトウエアをダウンロードすることなく読影が行えるので,セキュア,かつ低コストで,自宅や出張先など時間や場所を選ばず読影できる。萩野氏はこうしたASPサービスのメリットを参加者に向けてアピールした。

  続いて,DICOM PASSPORTのユーザーであるLLPテラークの岩崎 康氏が「遠隔画像診断を始める人のために」をテーマに講演した。独立して遠隔画像診断を行っている岩崎氏は,まず目的を明確にすることが重要だと述べ,その上で副業とするか,本業とするか手段を決め,方法として起業するか,企業に雇用されるかなどを考える必要があると説明。遠隔画像診断を行っていくためには,非常勤医として勤務しつつも起業するような形態も良いと述べた。さらに岩崎氏は,税金の話題や医局との関係についても触れた上で,心構えとして,「時間ではなく成果で考える」,「サービス業というビジネスマインド」,「雇われる方だけでなく雇用する側の視点」が求められると強調。大事なのは,信用,契約を守ること,病院はお客さまという考え方であると述べた。また,遠隔画像診断をビジネスで行うためには,Webサイトやブログを活用するほか,学会などに参加し顔を広めることも重要だと自身の経験も踏まえ話した。岩崎氏は,DICOM PASSPORTのメリットについても触れ,特別なハードやソフトウエアが不要であること,通常のインターネット回線が利用できること,いつも使用しているパソコンで遠隔画像診断が行えること,という3点を挙げた。

  最後に登壇した松尾氏は,「遠隔画像診断の将来展望」と題して講演した。松尾氏は勤務医だった2002年から副業として遠隔画像診断を行い,2008年にイーサイトヘルスケアを設立している。講演の中で松尾氏は,日本の放射線科医が,業務量の増大にもかかわらず,OECD26か国の中で数が最も不足しているデータを提示。この問題の解決に結びつく1つの手段として遠隔画像診断があると説明した。そして,同社のASPサービスについて取り上げ,サーバ,保守・管理,端末に専用アプリケーションが不要という利点を解説した。さらに,遠隔画像診断におけるクラウドの意義として,ロケーションフリーで,規模に応じたコストダウンが図れること,常に最新のソフトウエアが利用できること,ティーチングファイルなど教育への応用に適していることなどを挙げた。このほかに松尾氏は,遠隔画像診断の歴史について言及し,形成期,導入期,成長期を経て,現在は発展期に入っており,同社のようなインフラサービスが広まっていく状況にあると現状を分析した。また,松尾氏は,日本放射線科専門医会・医会の「遠隔画像診断ガイドライン」や日本医学放射線学会の遠隔画像診断小委員会の活動についても解説。今後の事業展開として,コニカミノルタヘルスケア(株)の開業医向けサービスとの連携など,協業体制についても紹介した。

  地域医療再生計画が本格的に動き出した中,遠隔画像診断はますます広まっていくことが予想される。こうした状況の中で,独立を志す放射線科医にとって同社が手がけるASPサービスを利用することは,大いに価値があると言える。それだけに今回のセミナーの参加者にとっては有意義なセミナーとなった。


●問い合わせ先
兼松エレクトロニクス株式会社
遠隔画像診断セミナー事務局
E-mail eimage-e@kel.co.jp