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取材報告

2011
日本超音波医学会第84回学術集会開催
工学・医学・技師の「永遠の三角形」による豊かな議論が新しい成果を生み出す

■ 日本超音波医学会第84回学術集会
■ 機器展示

会場風景
会場風景

竹中 克会長(東京大学)
竹中 克会長
(東京大学)

教育講演1の杉浦清了氏(東京大学)
教育講演1の杉浦清了氏
(東京大学)

外国留学経験者による講演1の足利洋志氏(Johns Hopkins University)
外国留学経験者による講演1の足利洋志氏
(Johns Hopkins University)

機器展示には19社が出展
機器展示には19社が出展

ポスター会場
ポスター会場

  日本超音波医学会第84回学術集会が,5月27日(金)〜29日(日)の3日間,グランドプリンスホテル新高輪国際館パミール(東京都港区)で開かれた。会長は,竹中 克氏(東京大学医学部附属病院検査部),テーマは「永遠の三角形」。開会式の挨拶で,会長の竹中氏は今学会のテーマとねらいについて次のように述べた。
「E(工学系),M(医学系),T(テクノロジスト:検査技師)が,1つの学会の中に集まっているのは超音波医学会だけである。これは,学会の特長であり強みであると考えて今回のテーマとした。この三角形が,ただ学会で集まり挨拶するだけでは意味がなく,学問に関する議論を活発に行うことが重要で,この学会がそれにふさわしい場であるように準備した。今回の学会は,議論を深める意味で日本語を使うことを基本として,演題などを含めてできるだけ外来語を使わないようにした。母国語で,世界的レベルの研究を生み出すための深い議論を大いに行ってほしい」

  プログラムでは,特別企画として,領域を超えた横断的な「超音波による硬さの評価」「学会とは何か?」と,循環器領域の「心臓を診る」の3つが設定された。特別企画は,教育講演や特別演題企画などいくつかのプログラムを集めたスタイルで構成され,「心臓を診る」では,教育講演と外国留学経験者による講演2題,特別演題企画2題が企画された。

  開会式に続いて行われた,特別企画「心臓を診る」の教育講演1「スーパーコンピュータで細胞から心臓を作り上げ臨床応用を目指す」では,杉浦清了氏(東京大学大学院新領域創成科学研究科)が,コンピュータ上に構築した“人工心臓”を使って薬剤の効果や手術のシミュレーションを行う研究内容を紹介した。神経構造などを計算した細胞モデルから組織を作り,その組織をマルチスライスCTの心臓3Dデータから有限要素法によって成形することで仮想の心臓モデルを作成する。この心臓モデルでは,電気的な刺激による拍動や血流の計算や,冠動脈の構成,弁の動きなどもシミュレートできる。実際の心臓と同じ心電波形や超音波画像のシミュレーションが得られており,例えば経食道の心臓エコーのシミュレータや超音波の反射の計算などが可能だという。杉浦氏は,バーチャル心臓によって治療法や機器の評価などが実際に可能になっており,最終的なゴールは患者個別のデータを入力したテーラーメイドの心臓シミュレータをつくることで,これが実現すれば疑似臨床試験も可能になると述べた。

  外国留学経験者による講演1では,足利洋志氏(Johns Hopkins University)が「心エコーによる心臓メカニクスの変数測定はどこまで正確か?」として,超音波で心機能を測定するストレインやstrain rate,Torsionなどのさまざまな変数がどこまで正確に計測できているかを検証した。特別演題企画では,「壁運動評価法を整理して理解する」が行われた。

  そのほかに東日本大震災に関する緊急企画として,「東日本大震災に直面して何が行われたか」,「震災時に何を学会に期待するか、学会はどのような期待に応えられるのかを考える」もプログラムされた。

  機器展示は,2部屋に分かれて19社が出展した。4月に新しく誕生した日立アロカメディカルが出展し注目を集めていた(機器展示の詳細は追って更新の予定)。

  次回は,東京医科大学消化器内科の森安史典氏を会長として,2012年5月25日(金)〜27日(日)の3日間,今年同じくグランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで開催の予定だ。

 



機器展示(順不同)

GEヘルスケア・ジャパン/日立アロカメディカル/東芝メディカルシステムズ/持田シーメンスメディカルシステム/
フィリップスエレクトロニクスジャパン/富士フイルムメディカル


GEヘルスケア・ジャパン
新製品の「LOGIQ S8」と「Voluson S8/S6」が中心に展示された。
多目的汎用タイプのLOGIQ S8は,最上位機種のLOGIQ E9と,コンパクトなLOGIQ P6の間の機種として位置付けられている。CTやMRIの画像と超音波画像を同一画像上に表示して容易な比較を可能にする“Volume Navigation”やエラストグラフィなどの,LOGIQ E9に搭載されている高機能はそのまま継承しつつ,よりコンパクトなデザインとなった。また,機能性にも優れており,直感的な操作を可能にするタッチパネルが搭載されたほか,操作卓の高さを590mmにまで下げることが可能となった。 産婦人科向け超音波装置のVoluson S8/S6は,経済性,設置性,操作性に優れた普及型装置でありながら,ハイエンド装置で培った高品質かつ高速な3D/4D表示を継承。周産期におけるリアルタイムの三次元エコー検査の標準化を実現する装置となっている。
GEヘルスケア・ジャパン ブース
LOGIQ S8
LOGIQ S8
Voluson S8/S6
Voluson S8/S6
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日立アロカメディカル
日立アロカメディカル(株)として初出展となった今回は,プレミアムのハイエンド装置「HI VISION Ascendus」と汎用タイプのハイエンド装置「Prosound F75」を中心に展示された。製品ラインナップの充実により,今後はより幅広いユーザーのニーズに応えられるようになったことがアピールされた。
HI VISION Ascendusは,超音波の送受信回路を一新してさらなる高画質化が図られたほか,より高性能となった画像処理エンジン“Ultra BE II”(Ultrasound Broadband Engine 2nd Generation)が搭載された。これにより演算処理能力が大幅に向上し,心臓検査ではリアルタイムでのSimpson法によるEF自動測定が実現。 また,リアルタイムでエラストグラフィを3D表示する“4Dエラスト”が搭載され,乳がんなどの浸潤の範囲の把握が容易となり,Cプレーンでの画像表示も 可能となった。さらに,RVS(Real-time Virtual Sonography)とエラストの同時表示も可能となった。
Prosound F75も超音波の送受信回路が一新された。従来よりも送受信開口を広げてビームを絞ることで,深部や端の方でも均一でシャープな画像が得られるようになった。また血流動態把握のための“eFLOW”モードでは,パルス圧縮技術により,従来はトレードオフの関係にあった感度と分解能の両立が可能になった。また,コンベックスプローブのカーブが従来の60mmRから50mmRとなり,視野幅が広くなったほか,形状もコンパクトとなり,女性でも持ちやすくなった。このほか,操作卓とモニタの可動域が従来よりも広くなっており,検査者にやさしいエルゴノミクスボディとなっている。
日立アロカメディカル ブース
「HI VISION Ascendus」(左)と「Prosound F75」(右)
「HI VISION Ascendus」(左)と
「Prosound F75」(右)
F75のプローブ
F75のプローブ
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東芝メディカルシステムズ
新製品として, Aplioシリーズの「Aplio 500/400/300」と,コンパクトな汎用型の普及機「Nemio MX」の計4機種が登場した。Aplioシリーズはロゴを一新し,従来よりもシャープさと力強さを打ち出している。最もハイエンドなAplio 500は,アーキテクチャを一新し,High-density beam forming技術によって超音波のビーム形成をよりシャープに,かつフレキシブルにしたことで,画質が大幅に向上した。また,新たに,管腔や血管の内腔の中心軸を自動検出し,内腔面を移動しながら観察できる“Fly Thru”機能が,超音波装置では初めて搭載された。CT画像などを取り込んで連動表示させる“Smart Fusion”機能も搭載されており,治療時のより高精度な病変位置の同定などに役立つと期待されている。一方,Aplio 400/300は,Aplio 500と同等の高性能を有しつつ,アプリケーションを絞ることでコストを低減し,実臨床で使いやすい装置となっている。Aplio 400には2Dトラッキング機能が搭載されており,循環器領域にも対応する。
Nemio MXは,従来よりもコンパクトでありながら高画質を実現しており,小規模病院でも使いやすい装置となっている。
東芝メディカルシステムズ ブース
Aplio 500
Aplio 500
Nemio MX
Nemio MX
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持田シーメンスメディカルシステム
「ACUSON SC2000」,「ACUSON S2000」と「ACUSON S2000 ABVS(Automated Breast Volume Scanner)」が中心に展示された。
循環器専用装置のACUSON SC2000は,1心拍でのFull Volume Imagingを実現しているが,新たに,“In Forcus”技術を搭載し,高周波プローブでも浅いところから深部までを均一にフォーカシングすることが可能となった。これにより,以前は周波数に応じてプローブを替えなければならなかったが,1本のプローブで心臓全体を観察可能となった。
汎用型のACUSON S2000は,組織の硬さを測り数値化する機能“Virtual Touch”の対応領域が広がったことがアピールされた。従来から対応していた肝臓をはじめとする腹部領域に加え,乳腺,甲状腺や心臓への応用が期待されており,本学会でも17演題の発表が行われた。
また,ACUSON S2000と組み合わせて使用する乳房超音波検査専用スキャナABVSは,簡単な操作で術者の技量に左右されることなく短時間での広範囲のボリュームデータ収集が可能なことがアピールされた。
持田シーメンスメディカルシステム ブース
ACUSON SC2000
ACUSON SC2000
ACUSON S2000とACUSON S2000 ABVS(Automated Breast Volume Scanner)
ACUSON S2000とACUSON S2000 ABVS(Automated Breast Volume Scanner)
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フィリップスエレクトロニクスジャパン
腹部・表在を中心としたプレミアム汎用機iU22がxMATRIXテクノロジーを搭載した「iU22 xMATRIX」として発表された。
xMATRIXテクノロジーとは,新開発のX6-1プローブに搭載された技術。プローブの表面に9000以上の素子がマトリックス状に配列され,スライス厚方向にダイナミックフォーカスをかけることで,浅いところから深いところまで高画質が得られるようになった。また,xPlaneモードでは,通常面と直行する断面や平行する断面の超音波画像を同時に収集可能で,プローブの走査方向を変えることなく,任意の2方向を一度に観察することができる。さらに,プローブを動かすことなく,3D(ボリューム)データが取得可能で,CT/MRと同様な表示方法(iSlice)やMPR表示(縦,横,深さ方向)で任意断面の画像表示が可能となったことに加え,高画質での4D(ボリューム)データの表示も可能となった。
フィリップスエレクトロニクスジャパン ブース
iU22 xMATRIX
iU22 xMATRIX
X-61プローブ
X-61プローブ
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富士フイルムメディカル
汎用タイプのポータブル装置「FAZONE CB」が中心に展示された。小型・軽量でありながら,ZONE Sonography技術によりきわめて高画質を得ることができる。また,従来は1本のプローブしか接続できなかったが,超音波カート(FZONE CB MTPカート)がマルチプローブ対応となったことで,カート搭載時には,リニアプローブ,コンベックスプローブ,セクタプローブの3種類をモニタ上のボタン1つで簡単に切り替えて使用可能となった。
富士フイルムメディカル ブース
FAZONE CB
FAZONE CB
FAZONE CB MTPカート
FAZONE CB MTPカート
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●問い合わせ先
(社)日本超音波医学会事務局
TEL 03-6380-3711
http://www.jsum.or.jp/


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