緊急インタビュー 地域医療の崩壊をどう救う?ITと地域連携 ベンダー編
マイクロソフト システム間をシームレスに結ぶ基盤技術・ソリューションでシンプルかつ利用価値の高い地域連携を 佐藤 正晃 マイクロソフト株式会社パブリックセクターヘルスケア営業部長 遠山 仁啓 マイクロソフト株式会社パブリックセクターテクノロジーソリューション本部ヘルスケアグループシニアテクノロジーストラテジスト
マイクロソフトは,特定のシステムに依存せずにシームレスにシステム間を結ぶソリューションを提供しています。容易かつ低コストで外部の医療機関向けのポータルを構築して,診療データやそれ以外の情報共有も可能にするなど,シンプルで利用価値の高い地域連携が実現します。
異なるシステムを結ぶ基盤を提供

─地域連携ソリューションについてお聞かせください。

佐藤氏:マイクロソフトは医療ITのインフラを提供する会社です。電子カルテシステムからしか情報が見えないといったことをなくし,特定のシステムに依存することなく,シームレスに各システムがつながるソリューションを手がけています。例えば,BizTalk Serverという連携基盤を用いることで,システムを相互に結ぶことができます。
  また,地域連携においては,紹介状・診療情報提供書の作成などの業務がありますが,こうした書類はMicrosoft Officeで十分対応ができます。一方,電子カルテシステムや画像などの診療データの連携は,先に述べた基盤技術を提供することで可能になります。このようにユーザーのニーズに合わせ柔軟に対応していくというのがわれわれの基本的なスタンスです。

ポータルを活用した地域連携ソリューション

─具体的にはどのようなソリューションを提供しているのですか。

遠山氏:院内に散在する異種プラットフォームシステムのプロトコールやフォーマットの差異をBizTalk Serverで吸収し,多システム間で相互運用・相互連携を実現します。BizTalk ServerやSQL ServerのIntegration Servicesを活用して集約したデータを,ポータル機能を持つMicrosoft Office Share Point Serverで共有することができます。
  この製品は院内ポータルとして採用いただくことが多いですが,外部向けのポータルとして活用することで診療データの参照などが可能です。外部の医療機関は,インターネットとブラウザが使用できる環境があれば,セキュアな環境の中でこのポータルにアクセスすることができます。

佐藤氏:医療に特化した製品ではなく,使い慣れたマイクロソフト製品であるため,ユーザーのカスタマイズも容易です。特にMicrosoft Office SharePoint Serverは,簡単な知識があれば使いやすくカスタマイズすることが可能です。われわれは,個々の運用に合った地域連携システムを医療機関の皆さんと一緒につくり込んでいきます。

─ユーザーの事例はありますか。

遠山氏:岡山県の倉敷中央病院様では,Microsoft Office SharePoint Serverで院内ポータルを構築されていましたが,さらに外部ポータルも構築され,周辺の20医療機関との間で,大腿骨頸部骨折連携パスを運用しています。ここでは,パス以外にも空床情報やお知らせ,スケジュールなどを参照できます。

佐藤氏:このポータルは病院の担当者が構築したものです。ポータルに診療データだけでなく,それ以外の有益な情報も低コストで提供できる点が,われわれのソリューションの強味だと思います。

医療ITの複雑さの解消をめざす

─読者へのメッセージをお願いします。

佐藤氏:われわれは,医療情報システムにおける複雑さの解消を訴求していきます。電子カルテシステムだけでなく,Microsoft Officeなど,日ごろお使いになっているわれわれの製品で,ITの専門的な知識がなくても医療現場で利用していただけるようなソリューションを提案していきます。

遠山氏:異なるシステム間の相互運用・相互連携ができる仕組みを整え,マイクロソフトの製品,サービスによって共通化して,より簡単にアクセスできる環境を提供するのがわれわれのミッションだと思っています。

(「ITvision」No.19(2009年10月25日発行)「特集 地域連携はどこまで進んだか」より転載)

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